
残念だけれど…自律神経の乱れを招く“控えたい食べ物”とは?
自律神経の乱れは、ストレスや睡眠不足だけが原因とは限りません。「食生活」も影響します。
現代人の食生活に多く登場する加工食品や食べ過ぎ、飲み過ぎは、自律神経の働きを乱し、不眠、だるさ、集中力の低下などの不調を引き起こすことも。
今回は、意外と知られていない“自律神経を乱す食べ物”とその理由について、栄養学的視点からわかりやすく解説します。
よく食べてるわ……自律神経を乱す“食べ過ぎ注意”の食べ物とは
これらのものを食べたとしても、もちろん一度で影響が出るわけではありません。「毎日」「寝る前」「複数の悪習慣の併発」など慢性的な摂取があると、症状として現れやすくなります。
ここでは、毎日の食卓に何気なく登場しがちな「自律神経に悪影響を与える食べ物」を紹介します。
1. 白砂糖を多く含むお菓子・スイーツ類
ほっとリラックスさせてくれるおいしいお菓子たち。しかし食べ過ぎると血糖値を急上昇させ、その後インスリンにより急降下することで、交感神経が過剰に刺激されてしまいます。この状態が繰り返されることで、自律神経のバランスが乱れやすくなることがあるのです。
甘いものを食べたいときは、果物やはちみつ、黒糖など血糖値の上昇が穏やかなものを少量にとどめるのがおすすめです。どうしてもという場合、せめて空腹時は避けましょう。
Q.編集部員のギモン「和菓子ならOK?」
和菓子は脂質や添加物が少なく、自律神経に比較的やさしい食品です。しかし、やはり白砂糖が多く含まれるため、食べすぎると交感神経を刺激してしまいます。1日1個程度を、温かい飲み物と一緒に楽しむのがおすすめです。
2. 高脂肪・高塩分のファストフードや加工食品
ファストフードやインスタント食品、ソーセージなどの加工食品は、飽和脂肪酸やナトリウムが多く含まれている傾向があります。これらを継続的に摂りすぎると、血圧や心拍数の調整に関わる交感神経が刺激されやすくなり、自律神経のバランスが崩れる要因となることも。
とくに塩分や脂質の摂りすぎは、交感神経優位の「緊張モード」状態を続けてしまいやすいため、意識的に控えるのが望ましいです。
脂質はオメガ3系(青魚、えごま油など)を意識し、加工食品はなるべく控え、手作り中心の食事にシフトしましょう。
Q.編集部員のギモン「塩分が多い漬物もダメ?」
漬物に多く含まれるナトリウムは、血圧を上げる作用があります。血圧が高くなると、体はそれを抑えるために自律神経(交感神経)を働かせます。これが日常的に続くと、常に交感神経が優位な「緊張モード」になりやすく、副交感神経(リラックス)とのバランスが崩れます。また、塩分の摂りすぎは、腎臓や血管に過剰な負荷をかけてしまい、健康にもよくありません。
3. カフェインを多く含む飲食物(コーヒー・エナジードリンクなど)
カフェインは交感神経を刺激し、覚醒作用をもたらします。適量であれば問題ありませんが、摂りすぎや夕方以降の摂取は自律神経のリズムを乱す原因になります。
午後以降のカフェイン摂取は避け、カフェインレスコーヒーに切り替えるのがおすすめ。
Q.編集部員のギモン「緑茶とかもカフェインを含むけど自律神経に悪いの?」
緑茶もカフェインを含むため、夕方以降に飲むと自律神経を刺激し、睡眠の質に悪影響を与える可能性があります。ただし、リラックス成分のテアニンも含まれており、朝〜昼に1〜2杯程度であれば、自律神経のバランスを整える助けになると考えられます。
4. 冷たい食べ物・飲み物
冷たいものが胃腸を直接冷やすことで、胃腸の血流が低下し、体温調整や内臓機能の維持のために自律神経がフル稼働することに。このような状態が続くと、バランスが乱れやすくなるといわれています。
常温〜ぬるめの飲み物やスープなど、体を内側から温める食事を意識してみましょう。
監修者プロフィール
安江千尋
天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長。
防衛医科大学校卒業後、同大学病院、自衛隊病院を経て、がん研有明病院にて下部消化管内科副医長として勤務。2024年、大阪・天王寺に消化器内視鏡専門クリニックを開院。大腸がんの予防・早期発見に取り組む一方、便秘・過敏性腸症候群など、自律神経の影響を受けやすい機能性疾患にも多く関わる。生活習慣や食事、ストレスとの関連を踏まえた総合的な診療を心がけている。
<Edit:編集部>