
水1L飲んでも大腸に届く量は“ほぼ0%”!夏便秘を招くカラッカラの大腸に届けるべき「栄養素」とは[医師監修] (1/4)
夏のジョギングで汗をかくのは当然ですが、実はその汗が思わぬ健康リスクを招いていることをご存じでしょうか。朝の涼しい時間帯や夕方でも、大量の発汗により体内の水分バランスが崩れ、腸内で「大腸の砂漠化」という深刻な状態を引き起こす可能性があります。
この現象により、夏は他の季節とは異なる特有の便秘が起こりやすくなります。単なる不快感にとどまらず、腸内環境の悪化を通じて全身の健康に影響を及ぼすことが最新の研究で明らかになっています。
今回は、国立消化器・内視鏡クリニック院長の吉汲祐加子先生に、夏の便秘が起こるメカニズムと効果的な対策法について詳しく解説していただきました。
夏の便秘は「大腸の砂漠化」が原因
夏の便秘には、他の季節とは異なる特徴的なメカニズムがあります。最も重要なのが「大腸の砂漠化」という現象です。
人が経口摂取した水分は、小腸で約90%が吸収されます。大腸に届くのはわずか10%程度。つまり、1リットルの水を飲んでも、大腸に届くのはコップ1杯程度なのです。
夏の高温多湿な環境で大量の汗をかくと、体内の水分不足を補うため、大腸へ届く水分がさらに減少してしまいます。これが「大腸の砂漠化」の正体です。
当院で大腸内視鏡検査を受けた患者さんのデータを季節別に解析したところ、興味深い結果が明らかになりました。夏便秘を訴える方は年間平均と比較して約2割も増加していたのです。
特に猛暑となった2023年と2024年では、前年同期と比べて夏便秘の患者さんが約2割増加しており、気温と便秘の関連性が数値でも裏付けられています。
実際に、6月からすでに真夏日・猛暑日が続く今年は、猛暑による脱水や水分不足により便秘を訴える患者さんが増加しています。
また、便秘に伴って残便感、腹部膨満感、食欲低下といった連鎖的な不調を訴える方も増えている状況です。
次:夏便秘の5つの特徴