2020年9月24日

「水とお湯、交互に浸かると疲れがとれる」ってホント?お風呂博士が温冷交代浴を解説

 入浴は、海外におけるアスリートのリカバリーメニューにもあります。私たちが普通に入っているお風呂の入り方とはどう違うのでしょうか? 株式会社バスクリンの広報責任者でありお風呂博士の石川泰弘さんに、リカバリーメニューとして有名な「温冷交代浴」について伺いました。

※石川泰弘さんは現在、大塚製薬に所属(2019年4月より)。本稿の情報は初出当時のものです。

水とお湯へ交互に浸かる「温冷交代浴」、一般家庭でも効果ある?

◆水道水ではぬるくて意味ナシ!

「アスリートのリカバリーメニューでは、冷たい水と温かい湯に交互に入る交代浴などがありますが、水道レベルでは意味がなくて15度とか13度ぐらいのかなり冷たい水に入らないとならない。家庭のお風呂でそれをやるのは難しいし、交代浴って意外と昔からあるメニューですが、本当にいいかっていうと、実はまだよく分かっていないんですね」(石川さん)

 石川さん自ら交代浴を実験したそうで、15〜13度の水は身の危険を感じてしまうような冷たさだったとか。このような冷たい水に入ると、人間は自分の身体を守るために血液をぐーっと上に持ってきて体温を下げまいとするので血液が増え、皮下組織全体に血液を回します。そうすると筋肉の中に血液がしっかり入ってくることから疲労回復に効果があるのだとか。これはもはや生体防御反応で、血液循環としてはかなりハードです。

◆一般人は普通に湯に浸かって寝るべし

「トップアスリートは我々とはカラダの鍛え方が違うので、一般の人には交代浴をおすすめはしません(笑)。日常的な疲れなら、そんなことしなくてもいい。ただ、しっかり血液循環させるためにお風呂で湯に浸かって、1日1回は体温を上げて血行を促進する、リラックスするというのが大切です。時間は15分も浸かれば十分。遅く帰宅した夜ならカラダを洗わなくても、湯に浸かって軽くでも血液循環させて寝たほうが結果、疲れがとれますから」(石川さん)

《疲労回復のための入浴3ヶ条》
・お風呂に入って1日のうち1回は体温を上げる
・ぬるめのお湯に15分ほど浸かってリラックス&血液循環
・就寝2時間前には入って、ちゃんと食事は摂る

 石川さんはオリンピック代表選手たちにも入浴指導をしていて、レクチャーを受けたアスリートたちから「シャワーで済ませず、毎日お風呂に入るようにした」という声を多く聞いたとか。

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[プロフィール]
石川泰弘(いしかわ・やすひろ)
株式会社バスクリン販売管理部販売促進課マネージャー広報責任者。博士(スポーツ健康科学)。温泉入浴指導員や睡眠改善インストラクターの資格を持ち、“お風呂博士”としてTVやラジオ、雑誌などに数多く登場。健康・スポーツとお風呂の関係や、効果的な入浴法などについて学校や自治体、他企業など全国各地で講演会も行なっている。サッカー好きで週末ランナーというスポーツ愛好家。著書に『バスクリン社員が教える究極の入浴術 お風呂の達人』(草思社)、『バスクリン社員が教える おうちでバスタイム』(ネコ・パブリッシング)、『バスクリン社員がそっと教える肌も腸も健康美人になる入浴術26』(スタンダードマガジン社)ほか共著、監修も多数
【バスクリン公式HP】https://www.bathclin.co.jp/

※本記事はMELOSで公開された記事「お風呂に入れば睡眠の質も上がる。疲れたカラダに効果的な入浴法をお風呂博士に聞いてみた(前編)」を再編集したものです。

<Edit:編集部/Text:京澤洋子(アート・サプライ)/Photo:Getty Images>