鶏胸肉のカロリーと栄養、タンパク質が多い部位ランキング[管理栄養士監修] (2/2)
「筋たんぱく質の合成反応は、筋トレ終了後48時間、少なくとも24時間上昇しています。バルクアップを目指すならば、この時間内にできるだけ鶏肉などたんぱく質を摂取し、血液中のアミノ酸濃度を一定(低下させない)にします。『合成>分解』の状態を常に意識すると効果的です」(深野さん)
食べ方としては、たんぱく質をしっかり摂りつつ、脂質を抑えることがポイントとのこと。
「たんぱく質は調理による損失が比較的少ない上、鶏肉は調理法によっていろいろな料理で食べられます。義務的に食べるのではなく、おいしく、食べやすいレシピを見つけていくと良いでしょう。ささみやむね肉はもともと低脂質ですが、調理法によってさらに脂質をダウンすることができます」(深野さん)
脂質をカットできる調理法のバリエーションは、基本油を加えないことです。
「調理法は、蒸す・茹でる・グリル・網焼きがおすすめです。蒸すなら『バンバンジー』、ゆでるなら『ゆで鶏のねぎソース』、グリルなら『チキングリルのトマトソース』、網焼きならそのまま『素焼きチキン』と、工夫しだいでいろいろな味が楽しめますよ」(深野さん)
続いて、鶏肉と組み合わせたい食材について。
鶏肉はこの食材と食べるべし。相乗効果バツグンの組み合わせ
いくら筋肉のためといっても、鶏肉ばかり食べるわけにはいきません。鶏肉の豊富なたんぱく質を余さず筋肉の栄養とするためには、相乗効果が得られる食材の組み合わせがポイントとなります。
「ささみや胸肉は、たんぱく質量がしっかり確保でき、低脂質かつ低価格なので、バルクアップを目指す人には強い味方です。しかし、鶏肉だけを食べていては摂取できる栄養素にも偏りが生じてしまいます」(深野さん)
では、たんぱく質と組み合わせて食べたい栄養素と食材とは?
たんぱく質×炭水化物(糖質)
血糖値の上昇によってインスリンが分泌されることで、アミノ酸が細胞へ取り込まれやすくなります。また、体内のグリコーゲンの低下によって筋肉が分解されるため、極端な炭水化物(糖質)の制限は控えましょう。
[食材]主食であるごはん・パン・麺など(雑穀米や麦飯、ライ麦パンなど精製度の低い穀類を選び血糖値を急上昇させないものが望ましい)
たんぱく質×ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの吸収を促すだけでなく、筋肉の合成を促す作用もあります。
[食材]しめじ・しいたけ・まいたけ・エリンギなどのきのこ類
たんぱく質×ビタミンB群
たんぱく質の代謝をサポート。糖質や脂質のエネルギー代謝にもかかわり、特にB6はたんぱく質の合成を促します。
[食材]B6を比較的多く含むかつお・まぐろ・とりささみ・バナナ・パプリカ・モロヘイヤ・アボカド・ブロッコリーなど
では、鶏肉は毎日どれくらい食べればよいのでしょうか。
鶏肉は毎日どれくらい食べればいい? 食べる頻度と量
「空腹感を感じているときは、血糖値が低下し筋肉の分解が起こっているサインです。1日3回の食事でたんぱく質摂取することを基本として、3~4時間ごとに間食でもたんぱく質を意識的に摂取するようにしてください」(深野さん)
トレーニングの強度や体重により必要量は異なりますが、1食あたりのたんぱく質の摂取量の目安は20~30g(たんぱく質量)、1日あたりのたんぱく質摂取量は体重の1.5~2.0gが目安。バルクアップを目標にハードなトレーニングをしている人は、体重の2.0gを目標にすると良いようです。
「1日のたんぱく質摂取イメージとしては、(1)朝→(2)間食→(3)昼→(4)筋トレ前→(5)筋トレ直後→(6)夕食→(7)就寝前に、1回あたりのたんぱく質量は20~30gを目安にしましょう」(深野さん)
ただし、摂りすぎると体脂肪の増加につながり、腎臓や肝臓に負担がかかりミネラル欠乏のリスクもあるとのことで、摂ればとるほどOKということではないので注意が必要とも。
自分の身体に相応しく、美しく見える筋肉量があるように、たんぱく質も適量をしっかり摂ることが大切ですね。
監修者プロフィール
深野祐子(ふかの・ゆうこ)
管理栄養士・ジョギングインストラクター。Japanマラソンクラブでインストラクター兼フードアドバイザーとして市民ランナーに向け走り方の指導や食事の指導を行なう。
<Text:京澤洋子(アート・サプライ)/Photo:Image by AI素材.com>