「軽い運動を長時間」と「キツい運動を短時間」、どっちが痩せる? (2/2)
LISSは継続しやすいためダイエット向き
ダイエットでもっとも重要なのは継続すること。どれだけ脂肪燃焼効果がある運動をしても、それが数日しか続かないのではダイエットに向きません。
2015年に米国のスポーツ科学・医学雑誌『Journal of Sports Science and Medicine』に発表された研究 (※1) では、55人のあまり運動歴のない20代の男女をLISSとHIITを行うグループに分けて、8週間のトレーニング効果を比較しました。
それによると、LISSで1回にかかる所要時間は平均してHIITの倍になるにもかかわらず、LISSグループの方が運動習慣は長続きする傾向があるとしています。
また、別の研究 (※2) では「肥満」から「やや肥満」とされる被験者たちを対象にしましたが、ここでもLISSグループの方がHIITより運動を継続する割合が大きくなると結論で述べているようです。
1人でもグループでも行うことができる
LISSが継続しやすいもう1つの理由は、1人でもグループでもできるということでしょう。1人で行うときは、運動しながらぼんやり考えごとをするのに向いています。
有酸素運動が脳の働きをよくするのは知られています。LISSは会話ができるペースでの運動ですので(そうでなくては意味がありません)、家族や親しい友人と一緒に楽しむこともできます。
HIITとLISS、自分に合うほうを選ぶ
LISSが優れているとする説を紹介しましたが、これはHIITを否定するものではありません。
山へ登るのに頂上へ向かうルートがいくつかあるように、フィットネスやダイエットもひとつの方法が合わないと思ったら、別の方法を試してみてはいかがでしょうか。
関連記事:通勤や家事もダイエットになる。日常動作で運動不足を解消する「HIIPA」とは
参考文献
※1.
The Effects of High Intensity Interval Training vs Steady State Training on Aerobic and Anaerobic Capacity.
Foster, C. et. al., 2015
※2.
Is high-intensity exercise better than moderate-intensity exercise for weight loss?
Pierpaolo De Feo, 2013
[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
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