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低負荷の有酸素運動トレーニング「LISS」とは。HIITと同じダイエット効果も

 ここ数年、フィットネスやダイエットに関心がある人たちを中心に、高強度インターバルトレーニング「High-Intensity Interval Training(HIIT/ヒット)」が人気です。ダイエットの主流だったジョグやサイクリングなどの単調な長時間運動とは異なり、HIITは短時間で効率よく体脂肪を燃やす効果があるからでしょう。

 しかしながら、HIITは全力でへとへとになるまで行うことが前提です。そのため、運動が苦手な人には「きつすぎる」と敬遠されたり、せっかく始めても長続きしない人が多かったり。また、怪我の心配を口にする人も少なくありません。

 その反動か、最近はHIITと真逆のコンセプトである「Low Intensity Steady State(LISS)」による脂肪燃焼が見直されてきています。

LISSとは

 LISSとは、要約するならば負荷の軽い運動(最大心拍数の60%程度ぐらい)を30~60分行うもの。いわば伝統的な軽いジョグと同程度の運動量ですが、HIITのようにきつい運動を避けたい人たちには向いており、怪我のリスクも低くなるでしょう。そして、ダイエット効果もHIITに劣らないとする研究がいくつか発表されています。

なぜLISSにダイエット効果があるのか

 LISSを推奨するトレーナーたちは、穏やかで安定したペースでの運動を長時間続けることは体内の血流を増やし、酸素を細胞に運ぶ能力を高める効果があると言います。つまり、心肺能力の向上を意味しているのです。

 HIITのように急激にカロリーを燃やすのではなく、LISSは体内でチロチロと種火が燃えていることをイメージするとよいでしょう。別の言い方をするならば、目に見えて大汗をかかなくても、体内でエネルギーは消費されているのだということです。

 また、安全面も重要な要素です。LISSでは膝や肘などの関節への負担が軽いため、激しい運動に比べて、怪我をする確率が格段に低くなります。

LISSのやり方

 LISSの持つ最大の長所は、誰にでも取り組みやすいことです。場所や種目も多岐に渡ります。屋外であれば早歩きやジョグ、サイクリング、水泳など。ジムに行けばトレッドミルやロウイング、ステアマスター、ステップマシンなどが並んでいます。どれを選んでも構いませんし、好みや気分によって運動の種類を変えてもまったく問題ありません。

 重要なのは、ゆっくりとした心拍数(最大心拍数の60%程度ぐらい)を維持すること。そして、その運動を最低でも30分以上行うことです。そのためには、心拍数モニターがついたスポーツウォッチや活動量計などを用意するとよいでしょう。なお、ジムのマシンには、心拍数モニターがついているものも多くあります。

最大心拍数とは

ここで重要な指標になる最大心拍数とは、つまり限界まで追い込んだ状態の心拍数のこと。その値を正確に測定するのは、実際のところかなり困難です。従って、年齢に基づいた計算式によって推定した値を用いることが一般的となります。以下2つが代表的な計算式として知られています。

Fox式:最大心拍数=220-年齢
田中式:最大心拍数=208-0.7×年齢

 仮にあなたが30歳なら、最大心拍数はFox式では毎分190拍、田中式では毎分187拍と推測できます。その約60%ですから、毎分110~115拍ぐらいがLISSの目安です。

LISSは継続しやすい

 ダイエットでもっとも重要なのは継続すること。どれだけ脂肪燃焼効果がある運動をしても、それが数日しか続かないのではダイエットに向きません。

 2015年に米国のスポーツ科学・医学雑誌『Journal of Sports Science and Medicine』に発表された研究 (※1) では、55人のあまり運動歴のない20代の男女をLISSとHIITを行うグループに分けて、8週間のトレーニング効果を比較しました。それによると、LISSで1回にかかる所要時間は平均してHIITの倍になるにもかかわらず、LISSグループの方が運動習慣は長続きする傾向があるとしています。

 また、別の研究 (※2) では「肥満」から「やや肥満」とされる被験者たちを対象にしましたが、ここでもLISSグループの方がHIITより運動を継続する割合が大きくなると結論で述べているようです。

1人でもグループでも行うことができる

 LISSが継続しやすいもう1つの理由は、1人でもグループでもできるということでしょう。1人で行うときは、運動しながらぼんやり考えごとをするのに向いています。有酸素運動が脳の働きをよくするのはよく言われていること。LISSは会話ができるペースでの運動ですので(そうでなくては意味がありません)、家族や親しい友人と一緒に楽しむこともできます。

HIITとLISS、自分に合うほうを選ぶ

 LISSが優れているとする説をご紹介しましたが、これはHIITを否定するものではありません。山へ登るのに頂上へ向かうルートがいくつかあるように、フィットネスやダイエットもひとつの方法が合わないと思ったら、別の方法を試してみてはいかがでしょうか。

関連記事:通勤や家事もダイエットになる。日常動作で運動不足を解消する「HIIPA」とは

参考文献
※1.
The Effects of High Intensity Interval Training vs Steady State Training on Aerobic and Anaerobic Capacity.
Foster, C. et. al., 2015
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4657417/

※2.
Is high-intensity exercise better than moderate-intensity exercise for weight loss?
Pierpaolo De Feo, 2013
https://www.researchgate.net/publication/257752911_Is_high-intensity_exercise_better_than_moderate-intensity_exercise_for_weight_loss

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text:角谷剛/Photo:Getty Images>

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