ヘルス&メンタル
2022年12月9日

疲れたときの眠り方とは。明日に疲れを残さない睡眠ポイントを専門家に教えてもらった (1/2)

よく眠ったはずなのに、昨日の仕事や運動の疲れがまだ残っている……。そんな悩みを抱えている人はいないだろうか。

その日の疲れはできるだけ明日に持ち越したくないもの。そこで明日に疲れを残さないための睡眠法について、睡眠医療を専門とする精神科医で、早稲田大学准教授の西多昌規氏にお話をうかがった。

西多昌規[プロフィール]
西多昌規(にしだ・まさき)
早稲田大学スポーツ科学学術院・准教授、精神科医。1970年、石川県生まれ。東京医科歯科大学卒業。東京医科歯科大学助教、自治医科大学講師、ハーバード大学、スタンフォード大学の客員研究員などを経て、早稲田大学スポーツ科学学術院・准教授に。精神科専門医、睡眠医療認定医。専門は睡眠、身体運動とメンタルヘルス。著書に「『昨日の疲れ』が抜けなくなったら読む本」「休む技術」(大和書房)、「『テンパらない』技術」(PHP文庫)など多数

理想的な睡眠習慣とは

まずは理想的な睡眠についてのお話から。寝る前に注意すべきポイントとは何だろうか?

「やはり決まった時間に寝て、決まった時間に起きるというのが理想です。夜勤と日勤が交互に来るような仕事をしている方もいると思いますが、正直なところ体内時計がかなり乱れるので、心身ともに病気のリスクが高まります」(西多氏)

やはり、よく言われることではあるが、就寝と起床の時間をある程度固定するのが理想的な睡眠習慣につながるとのこと。ただ、それもしっかり睡眠時間が取れていることが前提となる。

「睡眠時間は6〜7時間が理想ではありますが、現代の社会人となると、なかなかその時間を確保するのも難しいですよね。そういう場合には、週の真ん中あたりになるべく仕事を早く切り上げて帰り、いつもより長く寝る日を作るといいでしょう。ただ、よほど睡眠不足が蓄積していれば別ですが、人間というのは早寝がなかなかできません。ですので、寝る時間を早めるのは、せいぜい1〜30分程度でいいと思います」(西多氏)

睡眠の質を高める良習慣とは

どうやら、多少は睡眠時間が不規則になっても、睡眠時間を確保するほうが重要ということのよう。とはいえ、30分しか多く眠らないなら、わざわざ早く帰宅する必要もない気がするが……。

「重要なのは仕事が終わってから寝るまでの間に、睡眠の質を高めるような活動をすることです。オススメはやはり運動ですね。運動による適度な疲れは睡眠の質を高めますから。同じ6〜7時間の睡眠でも、深く眠ることができ、疲労が回復するんです」(西多氏)

就寝の60〜90分前に入浴する

就寝の60〜90分前にお風呂に入るのも効果的とのこと。

このときシャワーで済ませるのではなく、湯船につかるのがポイントだ。お風呂を張るのが面倒であれば、前述の早寝と決めた日だけ、近所の銭湯に行くようにするのも良いだろう。

なお、湯質については「湯船のお湯を炭酸泉にするのが睡眠にいいというデータがあります。お湯に入れると泡が出る炭酸入りの入浴剤を使ってみるといいかもしれません」とのことだ。

寝具に過度なこだわりは必要ない

では、寝るときの状況=寝具についても聞いてみよう。西多氏によると「寝具に過度なこだわりは禁物」だそうだが……。

「寝るときに敷くマットや布団などは、個人の嗜好が強いんですよね。マットでも低反発性で深く沈み込む素材もあれば、逆に高反発のものもあります。枕も大きさや硬さの好みが大きいですね。高すぎるのは単純に首が曲がって呼吸がしづらくなり、良くないとは言われています。ただ、要は“これが絶対いい”というものはありません。それよりも寝る前の習慣を見直した方がいいでしょう」(西多氏)

睡眠の質を悪くする悪習慣とは

睡眠の質が悪くなるのは、眠りが浅くなってしまう悪習慣が原因のこともある。これを排除していくのも、深い眠りにつながるだろう。

代表的なものでいうと、お酒、カフェイン、タバコ、スマホなどがある。ひとつずつ見ていこう。

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