インタビュー
2022年2月7日

スケート、ダンス、サッカー。“何かのために”ではなく純粋に楽しむ、だから続く。スピードスケート髙木美帆(前編)│子どもの頃こんな習い事してました #1 (1/3)

 スポーツ界の第一線で活躍するアスリートに、幼少期の習い事について訊く新連載。自身の経験を振り返っていただき、当時の習い事がどのように競技に活かされているか、今の自分にどう影響しているかを伺います。

 第1回は、中学3年生でバンクーバー五輪に出場して以来、数々のすばらしい記録を樹立してきたスピードスケートの髙木美帆選手。3人兄妹の末っ子で、兄、姉の影響で幼いころからスケートだけでなくさまざまなスポーツに取り組んできました。

兄、姉の背中を追っていた幼少時代

――スケートは、幼稚園の頃、5歳のときから始めたそうですね。

はい。はじめは兄が地元、北海道・帯広のクラブチームに入団していて、その影響で姉とほぼ同時期に入団しました(編集部註:4歳年上の兄・大輔さん、2歳上の姉・菜那さん、菜那さんも現役スケート選手)。私が生まれ育った十勝地区はスケートが盛んな地域で、小学生は学校でもスピードスケートを習うんです。だから特に珍しい習い事というわけではありませんでした。

――他にはどんな習い事をしていましたか。

幼稚園から小学校低学年までは水泳を習っていました。小学1年生の終わりごろからはヒップホップダンス。これも兄と姉が先に習っていた影響です。一番長く続けた習い事で、高校3年生まで本格的にスタジオに通っていました。

小学2年生からはサッカー。これも姉が先に少年団に入っていたんですが、私はボールを扱うのは器用ではなかったので、なじむのに時間がかかりましたね。

――中学校では男子に混じってフォワードで活躍、ナショナルトレセンU-15の合宿にも参加し、「なでしこジャパン」候補とも報じられていました。

うーん、たぶんサッカーが上手いというよりは足が速かったんだと思います。小学3年か4年生のときには陸上少年団にも入っていました。ただ、「自分からやりたい」と思って始めたのは、ダンスだけだったと思います。

――スケートはどうでしたか。楽しんではいなかった?

幼い頃は特に楽しいとは思わなかったですね。同級生のなかでは速いほうで、大会に出て記録を更新していく楽しさはあったんですけど、「どうしてもスケートがしたい!」というほどではなかった。「中学生になったらやめる」とも言っていましたし。大会に行って各地から集まってくる同世代の選手たちに会えるのがうれしくて続いていたようなものでした。

スケートを選んだのは「どうすれば強くなれるか」を考えられたから

――スケートにやりがいを見出したのはいつぐらいですか。

小学校高学年くらいかな。自分で考えて滑る、考えて取り組むという方向に変わってきたときに、スケートの楽しさが感じられるようになった記憶があります。

――小学6年生のときに陸上の全道大会800メートルで2分24秒66の好記録を出すなど陸上でもよい成績を出していましたし、ダンスも大好き、サッカーでは将来が期待され、どの道に進もうか迷うことはありませんでしたか。

陸上は正直なところあまり好きではなかったんです。ダンスは私にとって楽しむもの。続けていくにしても趣味としてだろうなということは、高校に上がる前から思っていました。

――サッカーでオリンピックを目指そうとは?

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