走れるときに、走れるだけ。にしおかすみこ流“ランニングの楽しみ方”<後編> (2/2)
「まず逃げ道をなくすために、レースにエントリーしてみたら良いと思います。でもそうなると、大会で走る距離が悩みどころですよね。私の場合、ハーフマラソンとフルマラソンで迷っているのなら、フルマラソンをオススメします。だって距離が長くても短くても、どうせ決まった距離で全力を出し切ることに変わりないじゃありませんか。短ければその分だけ速いスピードで走ることになるので、どっちも同じくらい疲れます。先にフルマラソンを経験しておけば、次ハーフマラソンを走ろうというときに気持ちが楽ですよ。私はそういう考えで102kmのウルトラマラソンに出場してみたんですが、実際にフルマラソンが以前より短く感じました」
確かにハーフマラソンの距離は、フルマラソンなら半分の通過点。悩むくらいなら長い方をという考えは、理にかなっているのかもしれません。また、にしおかさんによれば、大会選びもランニングを楽しむうえでは重要なポイントのようです。
「例えば私の場合、女性しか出られない大会はすごく楽しいですね。初めて女性だけのイベントに出たときは、その場にいるだけで女子力が上がった気さえしましたよ(笑)。色鮮やかなウェアに見を包んだ、まさに女子力の高い女子に囲まれて走るんですから。また、例えば初めて走ったフルマラソンの『東京マラソン』は、まさにパレードのようでテンションが上がりました。初めてのマラソンは、そうやって外から盛り上げてくれる大会がオススメです。でも、そういう都市型の大会だけが良いというわけではありません。例えば以前に走った『さのマラソン』は、応援こそ多くないものの、地元の温かさを感じられる素敵な大会だと思います。いろんな大会を経験して、自分の中でのお気に入りを見つけるのも良いんじゃないでしょうか」
にしおかさんがこれまで出場したうち、特にオススメの大会は「青島太平洋マラソン」とのこと。たくさんの女子学生がスタッフとして応援してくれるため、ずっと楽しく走れたと言います。タイムを狙いたいのか、あるいはファンランとして楽しみたいのか。そうした目的によっても、適する大会は違ってくるのでしょう。
ランニングはいつまでも続けられるスポーツ
昨年の「つくばマラソン」で自己新記録を更新したにしおかさん。今度は、冬のシーズンで3時間10分切りを目指しています。どこまでも目標を高く持ち、チャレンジし続けるのには、どんなモチベーションがあるのでしょうか。
「マラソンは頑張った分だけ結果が出る競技です。ですから特に年齢が上がってくるにつれて、『自分はどこまでいけるのか』とやる気が高まってきますね。もちろん、いつまでも今と同じように走れるわけではありません。でも、ファンランならもう少し年取ってからでもできるじゃないですか。あるいは趣味としてのジョギングなら、何歳までだって続けられると思います。飽きたらやめればいいんですから、それまでは走り続けていきたいですね」
その他、トレーニングや大会後に美味しいご飯を食べたり、温泉に入ったりすることも、ランニングを続けるうえでの大きな楽しみになっているとのこと。都内では桜の時期に目黒川沿いを走ったり、お台場で海を眺めながら走ったりするのがお気に入りのようです。
にしおかさんとお話していると、自分に対する「厳しさ」と「甘さ」が上手く共存しているように感じます。週4日のトレーニングが必須と考えながらも、しかし無理はしない。だからこそ楽な気持ちでランニングが続けられ、かつ、記録を更新し続けているかもしれません。すでにランニングをしている方はもちろん、これからランニングを始めようと思っている方も、今回伺った“にしおかすみこスタイル”をぜひ参考にしてみてください。
にしおかすみこ/1974年11月18日生まれ、千葉県出身。「春風こえむ」として落語家としても活動。趣味はマラソン、料理。2016年の「つくばマラソン」を3時間11分58秒で完走し、自己ベストを更新。2015年には「能登半島すずウルトラマラソン」の102キロの部に出場し、10時間8分55秒で完走。テレビ東京「なないろ日和!」、千葉テレビ「熱血BO-SO TV」などにレギュラー出演中
<Text:三河賢文/Photo:野口岳彦>