2022年3月21日

ぐっすり眠れない人は試してみて。睡眠の質を高める「食事」と「夜の過ごし方」

 季節の変わり目は眠れない、または寝すぎてしまうという人は多いかと思います。自律神経も崩れやすいタイミングですが、良い睡眠のためにできることは多々あります。

 夕食に何を食べるか、お風呂の入るタイミング、寝具、室温……これらと睡眠の関係性について、疲労回復や安眠を促すリカバリーウエア「リフランス」の新商品発表会で登壇した管理栄養士・築地麻結さんが解説してくれました。

なぜ睡眠は必要なの?

 睡眠の役割は、大きく分けて2つあります。ひとつは「脳や神経の情報処理」、もうひとつは「細胞や筋肉の新陳代謝」です。眠ることで、脳と心のメンテナンスを行っているのです。

 しかし、睡眠時間を多くとっても、その質が悪ければリカバリーのパフォーマンスは正しく発揮されにくいでしょう。以下に当てはまる人は、リカバリー力が低下している可能性があります。

リカバリー力の低下チェック

✓ 集中力が続かない
✓ 不安になる
✓ 疲れがとれにくい
✓ 肌が荒れる
✓ 傷が治りにくい

睡眠によるリカバリー力を高めるには

 それでは、寝ても疲れが取れない、または限られた睡眠時間で効率よく疲れをとりたい人が意識したいポイントとは。

 「睡眠の質には、眠りに入ったときの『入眠』が深く影響します。そのため、寝る前の環境がとても大事です」と語る築地さん。夜寝るまでの行動が、睡眠の質に大きく左右するようです。

よりよい睡眠のためのポイント

快眠につながる食生活とは

 築地さんは、食習慣の基本は「量」「時間(いつ食べるか)」そして「質(何を食べるか)」であると語っています。五味五色を意識してさまざまな食材をバランスよく摂り、今の自分の体型に合った量を、お腹が空いたタイミングで食べるようにすると良いと言います。

 この食習慣の基本を抑えつつ、「セロトニン」と呼ばれる神経伝達物質の分泌を促すのがポイントです。セロトニンには精神を安定させるはたらきがあり、夜間睡眠を誘うホルモンである「メラトニン」へ変換されます。

 そのため、セロトニンの材料になるトリプトファン、ビタミンB6を多く含む食べ物を摂るほか、セロトニンの90%は腸で作られているので、腸を綺麗にする食べ物を摂ったり、便秘をしないよう腸活を行うのも効果的とのことです。

参考:「バナナは快眠にいい」ってホント? バナナが眠りに与えるメリットとは

腸のメンテナンスをしてくれる食材

・水溶性食物繊維
海藻類、納豆、なめこ、オクラ、とろろなど

・発酵食品
味噌、ヨーグルト、塩麹、醤油麹、漬物、キムチ、チーズ、納豆、甘酒など

・難消化性オリゴ糖
ゴボウ、玉ねぎ、豆乳など

・オメガ3脂肪酸
サバ、イワシ、鮭、えごま油、亜麻仁油など

参考:砂糖をオリゴ糖に変えるとどんなメリットがある?マッスルデリ管理栄養士が解説

 ちなみに腸内環境をチェックするなら、便の状態を見るのがおすすめ。少しヒビが入ったやや硬めの便、バナナ型の普通便、水分が多めのやや柔らかい便が「理想のうんち」なのだとか。ウサギの糞のようなコロコロ便や、泥水のような軟便を繰り返す場合は、腸内環境の悪化が考えられます。

快眠におすすめの夕食は?

 パフォーマンスを落とさない夕食のポイントは以下の通り。

・血糖値を上げない
寝る前に血糖値を上げてしまうと交感神経が優位になり、眠りの質を低下させるおそれがあります。同じ理由で、寝る前の甘いスイーツなども血糖値上昇で交感神経が優位となり、悪夢や歯ぎしり、寝汗などの要因にも繋がりやすくなります。

・消化の良い食材
低脂質で低カロリー、常温以上のものが胃に負担をかけないポイント。よく噛むことは消化の第一段階です。しっかり噛むことで食べものが細かくなり、さらに唾液に含まれる消化酵素と混ざることで胃の消化負担軽減につながります。

ちなみに夕食は、お風呂の1~2時間前に済ませるのが消化に負担をかけないそうです。

・腸活食材とミネラルを含む食材の摂取
先述した腸のメンテナンス食材や、外食ランチなどで不足しやすいミネラルを夕食で補うのがベスト。ミネラルサプリメントなら夜に飲むのがオススメです。

より良い睡眠のための「睡眠環境」

 よく眠るための環境作りとしては、以下のポイントを意識しましょう。

寝室の暗さ

 寝室の明かりは、色や物がぼんやりと見える程度(30ルクス※1)がベスト。明るいままだと眠りを誘うホルモンのメラトニンが抑制されてしまい、良い入眠につながらないといいます。

寝室の静けさ

 ウトウトしかけたとき、音で目が覚めてしまった経験はありませんか? 音も睡眠を妨げる要因のひとつです。

参考:睡眠におすすめの耳栓、コレで決まりかも|編集部の推しアイテム

寝室の室温

 冬は16℃以上、夏は27℃前後が良いと言われています(※2)。湿度は50~60%ほど(※3)。自分に合った快適な温度を探しましょう。

※1 北堂真子 良質な睡眠のための環境づくり バイオメカニズム学会誌 = Journal of the society of Biomechanisms 29(4),194-198,2005-11-01
※2  集合住宅における快適・健康性と省エネ性の両立を目指したウェルネスZEHの研究 (第4報)住戸における温度差に着目した提案と検証
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 2019.10(0),237-240,2019空気調和・衛生工学会
※3 川島庸,垣鍔直 夏期の睡眠時における最適な冷房条件に関する実験的研究 人間と生活環境(J、Hllmamlnd ljvlngEninonlllcllt),11(1),31/37,2004

参考:ぐっすり眠れると噂の「快眠ネックウォーマー」使ってみた|編集部の推しアイテム

<Text:編集部/Photo:オフィシャル画像>