ヘルス&メンタル
2023年6月3日

おならは1日何回?“おなら博士”に良いおならを出すコツや臭いについて聞いてみた

話題にするには、ちょっと恥ずかしい“おなら”。おならは腸にたまったガスが肛門から排出される気体で、無意識のうちに、なんと1日10回前後しているそう!

どうせおならが出るならば、においがなく、音も出ない“良いおなら”を目指したいもの。そこで、“おなら博士”とも呼ばれている広島大学病院副病院長 感染症科 教授の大毛宏喜先生におならの原因や対策方法についてお話を伺いました。

おならの発生メカニズム

おならの元となるのは、

  • 飲食する際などに口から飲み込む空気
  • 腸内細菌が食物繊維を餌として発酵する過程で発生するガス

などが混ざったものです。

実は、私たちは水100ccを飲むとき、その倍の約200ccの空気を飲み込んでいます。空気の成分は酸素が約2割、窒素が約8割。酸素は体内に吸収することができますが、窒素は吸収されないため、げっぷなどで体外に出さない限り、腸まで運ばれおならの元となります。

おならは誰でも出るもので、体に悪いものでは決してありません。我慢しても、体内に吸収されることはなく、そのままため込んでしまうことになり、いつかは必ず出るものなのです。

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“良いおなら”を目指す方法

ビオフェルミンが、20~69歳の男女300人を対象に行った調査によると、おなら対策で気をつけていることの1位が「特になし」に次いで、「便秘の改善を心がけている」が2位にランクインしました。

“おなら博士”によると、便秘改善のためには自分に合った食物繊維を摂ることが大切だそう。

当院の外来には便秘に悩む患者さんが多く来院されます。皆さん野菜を意識して摂取していると言いますが、その多くは生野菜。厚生労働省が推奨する1日約20gの食物繊維*を摂取するには、生野菜だとおよそ1~2㎏摂る必要があります。その量を毎日食べることは難しいので、温野菜や煮物にしてかさを減らしたり、食物繊維が多く含まれている海藻類やキノコ類(しいたけ・舞茸)を意識して選んだりすると良いでしょう。一方で、食物繊維を含む食品は種類もさまざまで、体質によっては合わないものもあるかと思います。「食べるとおなかがゴロゴロする」「便がゆるくなる」などの症状がでる食材は控え、自分の体に合うものを上手に見つけて摂取してほしいです。(“おなら博士”の大毛宏喜先生)

*食物繊維の一日あたりの「目標量」(生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量):18~64歳で男性21g以上、女性18g以上。(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より)

 おならの臭いのヒミツ

おならは、誰でも少なからずにおいがあるもの。

腸内細菌の活動で発生するガスの99%が無臭、においの元になるのは残り1%のガス。においの元になる成分として代表的なのが「硫化水素」です。

音のあるおならの方が臭いが少ない!

おならはそのボリュームとスピードによって肛門が振動し、音となりますが、音が出ないおなら(いわゆる“すかしっぺ”)と大きな音が出るおならでは、後者の方がにおいが控えめなイメージはないでしょうか。

これは飲み込んだ空気、つまり窒素の割合が多いためにおいが少ないと考えられます。飲み込む空気量が増えるタイミングは人によって異なりますが、飲食時のほかに緊張をしているときも空気を飲み込みやすいかもしれません。

 おならは悪いものではない!

腸内細菌が食べ物を発酵する過程でおならは発生しますが、この発酵は腸の粘膜を育てるために必要な過程でもあります。便やおならは腸を育てた結果の産物であり、悪いものではありません。

腸を上手に育てると体のさまざまなことに良い影響を与えることが分かってきており、その研究も今後10年でさらに明らかになるでしょう。

今のうちから腸を育てる意識が必要です。腸を育てるためには、自分に合った食物繊維を摂ること、おなかの中に良い菌を良い状態で保っておくことが大切です。

“おなら博士”のプロフィール

広島大学病院 感染症科
教授 大毛 宏喜(おおげ ひろき)先生

1991年 広島大学卒業、同第一外科入局
2002年 ミネソタ大学大腸外科留学
2004年 広島大学第一外科 助教
2010年 広島大学病院感染症科 教授
2018年 広島大学病院 副病院長

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<Edit:編集部/調査結果引用:ビオフェルミン製薬株式会社>