自律神経を整えるツボ11選!部位別(頭・首・手・足裏)のツボ場所と押し方
最近疲れやすい。心臓がドキドキする。めまいや頭痛が増えた。あなたが悩んでいる症状は、自律神経の乱れが原因かもしれません。
自律神経は、体の機能を自動的に調節している神経です。私たちが生きるうえで大切な働きをしていますが、ストレスや生活習慣の乱れによって、バランスを崩してしまうことがあります。
「自律神経の乱れを整えるツボ」などがありますが、ツボ押しで自律神経の乱れは改善できるのでしょうか? 漢方養生指導士エステティシャンの白崎順子さんが解説します。
<このページの内容>
部位別:自律神経を整える、おすすめのツボ
次に、自律神経のケアにおすすめのツボを、部位別にご紹介します。それぞれ試してみて、自分に合ったツボを探してみましょう。
頭まわりのツボ
百会(ひゃくえ)
百会は副交感神経を優位にするツボです。頭のほぼ頂点にあり、左右の耳を結んだ線と、眉間から頭頂部を結んだ線が交わる所にあります。
中指を当て、まっすぐ下に向けて押しましょう。
前頂(ぜんちょう)
百会から、指1本半ほど前にあるツボです。
後頂(ごちょう)
百会から、指1本半ほど後ろにあります。
首まわりのツボ
天柱(てんちゅう)
後頭部の髪の生え際あたりにあるツボです。首の後ろにある太い筋肉の外側にある、左右のくぼみの部分にあります。両手で頭を包むように支え、親指で刺激するといいでしょう。
風池(ふうち)
左右の天柱から、指1本ぶん外側に2か所あります。生え際と、耳の後ろにある出っ張った骨の境界あたりです。天柱と同様に、両手の親指を使って押しましょう。
手・腕にあるツボ
内関(ないかん)
自分に手のひらを向け、手首のしわから指3本ぶん下の、真ん中あたりにあるツボです。
触ると細い筋が2本あるのがわかるのですが、この筋の間にあります。親指を使って刺激していきましょう。
労宮(ろうきゅう)
手のひらの中央あたり、中指と薬指の骨の間にあります。緊張して気持ちが落ち着かないときや、イライラしたときに押すと効果があるとされています。
合谷(ごうこく)
手の甲にあるツボです。親指と人差し指の骨が交わる所から、少し人差し指側寄りの位置にあります。親指を使って、ゆっくり押していきましょう。
足・足裏のツボ
太衝(たいしょう)
足の甲にあるツボです。親指と人差し指の骨が交わる、少し前の所にあるへこんだ部分です。
人差し指を曲げ、突き出た関節の部分を使って刺激しましょう。
足三里(あしさんり)
ひざのお皿の骨から、指4本ぶん下がった外側の位置にあります。胃をはじめとした、からだ全体の不調に効くといわれています。
湧泉(ゆうせん)
足の指5本をぐっと曲げたときにできるくぼみが、湧泉のツボです。足の裏を上に向けて、両手の親指を重ねて押すといいでしょう。
ゴルフボールなどを床に置き、足を乗せて刺激する方法も効果的です。
基本の知識! 自律神経とは
自律神経は、交感神経と副交感神経の2つで構成されています。
交感神経
血液循環や代謝を上昇させ、活動性を高めます。車でたとえると、アクセルの役割をする神経です。
副交感神経
活動性を低下させ、体を回復・修復するよう働きかけます。車でたとえると、ブレーキの役割をする神経です。
上記2つの神経がバランスよく働くことで、私たちのからだは維持されています。そのため、自律神経が乱れるとさまざまな不調が起こってしまうのです。
自律神経には、どんな役割がある?
自律神経の、代表的な役割を紹介していきます。
心拍数の調整し、動機や息切れを防ぐ
交感神経は心拍数を上昇させ、反対に副交感神経は低下させる働きがあります。
自律神経が乱れて交感神経が常に刺激された状態になると、動悸や息切れなどの症状が出ることがあります。
消化活動を管理し、便秘や下痢を防ぐ
胃や腸などの消化管では、自律神経は消化液の分泌とぜん動運動(食べ物を先へ送り出す働き)に作用します。
交感神経が高まると、消化液の分泌とぜん動運動が抑えられ、逆に副交感神経が優位になると促進されます。
消化吸収をスムーズに進めるうえで、大切な役割を担っているのが自律神経です。きちんと作用していないと、便秘や下痢を引き起こす原因になります。
呼吸の速さや深さを調整し、スムーズにする
呼吸はある程度私たちの意思でコントロールできますが、大部分は無意識、つまり自律神経がコントロールしています。
交感神経が優位になると浅く早い呼吸になり、反対に副交感神経が優位になると、深くゆっくりとした呼吸になります。
運動していないのに息切れしたり、息苦しさを感じるときは、自律神経の乱れが原因かもしれません。
血圧を正常な値に保つ
交感神経が高まると心拍数と心臓の収縮力が強まり、血管も収縮して血圧が上がります。
反対に副交感神経が優位になると心拍数と収縮力が低下し、血管も広がって血圧が下がります。
病院で血圧を測ると家で測ったときよりも高くなる、という経験をしたことはないでしょうか。これは、緊張により交感神経が刺激されて起こる現象です。
体温を適正に保つ
交感神経が活発になると体温が上がります。活動するためのエネルギーを生み出し、熱を外へ逃さないよう皮膚の血管が収縮するからです。
反対に副交感神経が優位になるとエネルギー産生が抑えられ、末梢血管が拡張して体温が下がります。
汗が多量に出たり、からだがほてったりする場合は、自律神経の乱れが原因の可能性があります。
ストレス反応の調節や、リラックス状態の維持をする
大事な試験や仕事の前に、心臓がドキドキして呼吸が浅くなり、胃が痛くなった経験はありませんか?
人間はストレスを受けると交感神経が刺激され、からだが緊張状態になります。
反対に、リラックスしている状態で優位になるのが副交感神経です。からだを休ませて回復する働きが強くなり、心拍数や血圧は低下、呼吸は深くなります。
睡眠と覚醒のリズムを調節し、スムーズな入眠と起床を促す
私たちが朝スッキリ起きられるのは、交感神経のおかげです。朝から日中の間は交感神経が優位になることで、人は明るい時間帯を活動的に過ごせます。
そして、夜になるにつれて副交感神経が優位になり、からだは休息モードに入ります。
寝付きを良くしてぐっすり眠るために、大切な働きをしているのが副交感神経です。
朝になってもなかなか起きられない、布団に入っても寝付けないなどの悩みは、自律神経の乱れが関係しているかもしれません。
自律神経の乱れは、ツボ押しで改善できるのか
東洋医学において、ツボは「経絡」の要所
適切なツボを刺激すると、自律神経の乱れを整える効果が期待できます。ツボは東洋医学に基づく考え方で、主に鍼灸医学の分野で活用されています。
東洋医学でツボは「経絡」の要所です。
経絡とは、体中をめぐる「気」というエネルギーの通り道を指し、気には、人間の生命活動を支える大事な役割があると考えられています。
健康な状態では、気が体内をスムーズに流れています。
しかし、気が減少したり滞ったりすると、体の機能が低下して、さまざまな症状が出ると言われています[*1]。
この気のよどみを改善する方法が、ツボ押しです。ツボは経絡に沿って全身に点在していて、刺激すると、気の流れを整える効果があるとされています。
361個のツボが、国際標準として定められている
気・経絡・ツボは科学的に完全には解明されていませんが、東洋医学では古くから重要な概念として考えられています。
ツボの存在は世界的にも認められていて、2006年にはWHO(世界保健機関)によって361個のツボが国際標準として定められました[*2]。
手軽なセルフケアとして、ツボ押しはおすすめ
ツボ押しは科学的に未解明な部分も多いものの、古くから一定の効果が期待できるとされています。
不調を感じたときに手軽にセルフケアができるため、活用してみてはいかがでしょうか。
ツボを押すときの注意点。間違ったやり方は思わぬ不調を招く可能性も!
ツボ押しは自律神経を整える効果が期待できる一方、間違ったやり方をすると思わぬ不調を招く可能性もあります。
ここではツボを押すときに注意したい点を、4つご紹介します。
適切な場所を押す
ツボ押しは、効果と位置を事前に確認してから行いましょう。神経や血管がたくさん集まって、交差する位置にあるのがツボです。
適切な場所を押さないと効果が出なかったり、痛みが出たりなどかえって逆効果になる場合があります。
ただし、ツボの位置には個人差があるため、微妙なズレや、同じ人でも体調によって数ミリ移動することもあり得ます。
ある程度の見当をつけてツボを押し、自分が心地よいと感じる箇所を探してみましょう。
適度な力加減で押す
ツボ押しの力加減は「少し痛いけど気持ちがいい」と感じるくらいが適切な強さです。
痛いほど効くはずだとグイグイ押してしまいがちですが、力任せに刺激するのはよくありません。
筋肉が緊張してしまい効果が得られないばかりか、炎症を起こすなど体調を崩す原因にもなります。
とくに自律神経が乱れているときは、交感神経が優位になりやすい状態です。強い痛みを感じると、交感神経が刺激されてしまう恐れがあります。
過度な力をかけず、心地よい範囲の力加減で押しましょう。
リラックスした状態で行う
ツボ押しは焦ったり急いだりせず、リラックスして行いましょう。急いで押すと筋肉に力が入ってしまい、ツボに刺激がうまく伝わらない可能性があります。
おすすめのツボ押しタイミングは入浴後です。血液やリンパの流れが促進され、気分もリラックスしているのでツボ押しの効果が高まります。
からだが安定しやすい座った姿勢で、ゆったりと気持ちに余裕を持って行いましょう。
深呼吸を忘れずに
ツボを押すときは息を止めずに、深呼吸をしながら行いましょう。
息を吐いているときは副交感神経が優位になるので、体の力が抜けて刺激が入りやすくなります。リラックス効果も得られるので、自律神経の乱れを整えるのにも有効です。
ツボを押す前に大きく息を吸い、細く息を吐き出しながらツボを押していきます。力を込めすぎて息を止めてしまうのはよくありません。常に呼吸を意識しつつ、ツボを押していきましょう。
ツボ押しで自律神経を労わろう
私たちが意識せずとも、心臓や呼吸・血圧など生命を維持するために休みなく働いているのが自律神経です。
しかし、精神的なストレスや気温の変化・不規則な生活などの影響で自律神経はバランスを崩してしまいます。
ツボ押しは東洋医学に基づいた、手軽に始められるセルフケアです。「なんだか体調がすぐれない」と感じたときは、ツボ押しで自律神経を労わってみてはいかがでしょうか。
<参考>
[*1]https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/61/6/61_6_821/_pdf/-char/ja
[*2]https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam/57/5/57_5_576/_pdf/-char/ja
監修者プロフィール
白崎順子(しらさきじゅんこ)
漢方養生指導士エステティシャン。自身の病をきっかけに東洋医学に興味を持ちエステと融合させた「美養生エステ」を発案。「エステティシャンが知っておくべき東洋医学」のスクールも開講し全国に500名以上の生徒を持つ。
<Edit:編集部>