フィットネス
2024年9月25日

背中筋トレ「ベントオーバーロウ」のやり方・重量・効果的に効かせるコツ[トレーナー解説]

背中を鍛える代表的なトレーニングの一つ「ベントオーバーロウ(ベントオーバーローイング)」。しかし、フォームや動作など、背中に効かせるのに難しく、正しくできているかどうかわからないという筋トレ初心者の人も多いのではないでしょうか。

今回は、ベントオーバーロウについてやり方や、効果的に効かせるポイントなどを解説していきます。

ベントオーバーロウの基本のやり方 -バーベル編-

まずは、オーソドックスなバーベルでのベントオーバーロウのやり方を説明していきます。

バーベルベントオーバーロウ

1.肩幅くらいに足を広げ軽く膝を曲げて立ちます。上体を前に倒し、胸をしっかり張ります。両手にバーベルを持ちましょう。

2.肩甲骨を寄せるように意識しながら、脇腹の方へ重りをひきつけるように肘を曲げていきます。この時、上体を動かさないように意識しましょう。

3.上げられるところまで上げたら、ゆっくりと肘を伸ばして元の姿勢に戻ります。

4.この動作を繰り返し行います。

動作中、背中が丸くならないように注意しましょう。背中が丸くなると腰への負担が大きくなり、腰痛を引き起こす可能性があります。

しっかり胸を張って、腰を曲げないようにしながら行いましょう。

ベントオーバーロウの基本のやり方 -ダンベル編-

ダンベルベントオーバーロウ

次に、ダンベルを使って行うベントオーバーロウを説明していきます。

1.肩幅くらいに足を広げ、軽く膝を曲げて立ちます。上体を前に倒し、胸をしっかり張ります。両手にダンベルを持ちましょう。

2.肩甲骨を寄せるように意識しながら、脇腹の方へダンベルをひきつけるように肘を曲げていきます。この時、上体を動かさないように意識しましょう。

3.上げられるところまで上げたら、ゆっくりと肘を伸ばして元の姿勢に戻ります。

4.この動作を繰り返し行います。

ベントオーバーロウはどこに効く?

まずは、ベントオーバーロウがどんな部分に効くのか、確認してみましょう。

ベントオーバーロウで鍛えられる筋肉

ベントオーバーロウで刺激される主な筋肉は以下の通りです。

  • 広背筋
  • 僧帽筋

その他にも補助的に以下などの筋肉が刺激されており、背中全体を鍛えるのに効果的なエクササイズといえます。

  • 脊柱起立筋
  • 上腕二頭筋

ベントオーバーローイング、ベントオーバーロー、ベントオーバーロウ……どれが一般的な呼び方なの?

エクササイズには同じ動きでも、名前がいろいろあるものがあります。

ベントオーバーロウにも、「ベントオーバーロー」「ベントオーバーロウイング」などいろいろな呼び方がありますが、どれも同じです。

「ベントオーバー」とは、股関節と膝を曲げ、体を前傾させた姿勢のことを指し、「ロウ」とは、引っ張るという意味です。ロー、ローイングも引っ張るという意味なので、どれも同じ意味なのです。

どれが正式であるというのはないので、自分の呼びやすい呼び方で問題ありません。ここでは「ベントオーバーロウ」で統一しています。

ベントオーバーロウの効果と行うメリット

ベントオーバーロウにはどのような効果があるのでしょうか。

効果とメリット1 厚みのある背中を作る

ベントオーバーロウで主に鍛えられる広背筋は、広い背中を作るために欠かせない筋肉です。

背中のトレーニングでは、広い背中を作るのに効果的なエクササイズと、厚みのある背中を作るのに効果的なエクササイズに分ける場合がありますが、ベントオーバーロウは、厚みのある背中を作るのに効果的です。

●背中を鍛えたい場合、ベントオーバーロウと懸垂(チンニング)どっちがいい?

数ある背中のエクササイズの中から行う種目を選択する場合、先述の通り、背中の厚みを作りたいか、広い背中を作りたいかを考慮して選ぶのもテクニックの一つです。

その場合、以下の通りに覚えておきましょう。

  • ベントオーバーロウ → 厚みのある背中を作りやすい
  • 懸垂 → 広い背中を作りやすい

どちらのエクササイズが優れているというわけではありませんので、目的に合わせて、または両方を組み合わせて行うのが良いでしょう。

懸垂(チンニング)の効果と正しいやり方、できない人の練習方法|総まとめ

効果とメリット2 姿勢が良くなる

背中全体を刺激できるベントオーバーロウは、良い姿勢の保持や姿勢の改善に役立ちます。

背中の筋肉は、重力に対抗して姿勢を保持するために働く “抗重力筋”が多く、猫背などの姿勢の悪さは、脊柱起立筋や僧帽筋の筋力低下などで起こる場合があります。

その場合、抗重力筋を鍛えることで、良い姿勢を保つことができるようになります。

ベントオーバーロウはダンベルとバーベルどっちがいい?

バーベルとダンベルを使ったベントオーバーロウを紹介しましたが、どちらで行うのがいいの? という疑問が出てきます。

どちらも同じ効果を得ることができますが、使用重量や可動域の広さなど若干異なります。

バーベルで行うメリット

  • 両手でバーベルを持つため、動作が安定しやすい
  • 高重量を扱いやすい

ダンベルで行うメリット

  • 片手ずつ分離しているため、可動域を大きく使うことができる

同じエクササイズばかりでは刺激に慣れてしまうので、バーベルとダンベルをうまく組み合わせて行ってみましょう。

ベントオーバーロウの平均重量と回数

ベントオーバーロウの使用重量はどのくらいに設定すればいいのでしょうか。基本的には、他のトレーニング同様の負荷が目安となります。

筋肥大の場合

8~12回程度で限界になる重量を目安に行いましょう。

ダイエットの場合

8~12回程度で限界になる重量を目安に行いましょう。

筋持久力の場合

12~20回程度で限界になる重量を目安に行いましょう。

ベントオーバーロウの効果を上げるポイントと注意点

ここでは、ベントオーバーロウを行う際のポイントを紹介していきます。

ウエイトではなく肘を後ろに引く意識を!

背中のトレーニングは、意識するのが難しいエクササイズが多いです。ベントオーバーロウもその一つといえます。

「ウエイトを引っ張る・持ち上げる」ということばかり意識してしまうと、背中よりも上腕二頭筋や三角筋後部などを多く使ってしまい、背中にはあまり刺激が入らない場合も。

背中を効果的に刺激するためには、「ウエイトではなく肘を後ろに引っ張る」、「肩甲骨を寄せる」という意識が大切。腕に力を入れて引こうとしてはいけません。

ウエイトを持ち上げるというよりも、「背中を動かす」という意識を持ちながらエクササイズに励んでみましょう。

背中の筋肉はなぜ鍛えにくい?効果的な鍛え方とは

握り方を変えてみると背中を意識しやすい

「背中の意識がしにくい」、「背中よりも腕が先に浸かれてしまう」という人は、グリップを変えてみましょう。

親指をバーベルに巻き付けた握り方は「サムアラウンドグリップ」といい、一般的な握り方ですが、初心者の場合、腕を使いやすくなってしまう場合があります。

ベントオーバーロウの場合、バーベルに親指を巻き付けず、人差し指と並べる握り方である「サムレスグリップ」で行うことで、腕が使われにくくなり、背中を意識しやすくなります。

ただし、サムレスグリップは、サムアラウンドグリップに比べ、ダンベルやバーベルを落としやすくなるので注意が必要です。

逆手と順手、効果に違いはある?

バーベルやダンベルは、逆手で握る場合と、順手で握るバリエーションもあります。それぞれにはどのような違いが起こるのでしょうか。

順手で握る場合

  • 僧帽筋下部を刺激しやすい
  • 腕への意識が少なくなるので背中に効きやすい

逆手で握る場合

  • 広背筋を意識しやすい
  • 腕を使いやすくなり、背中への刺激が逃げることも
  • 関節可動域を広く使える
  • 順手より重い重量を扱える

このように、それぞれにメリット・デメリットがあります。

どちらが優れているということはなく、どこをターゲットにしたいかや、背中への効きやすさによって変えてみるとよいでしょう。

トレーニングギアを活用すると高重量を扱いやすい

背中を鍛えるなら、リストストラップやパワーグリップなどのギアを使うことをおすすめします。

握力に関係なく動作を続けられますし、バーベルやダンベルを落とす心配もありません。高重量を扱いやすくなるうえ、腕への意識を減らすこともできるなど、メリットがたくさんあります。

前腕の筋肉が刺激されなくなるというデメリットもありますが、背中を鍛えるならこれらのギアを活用すると効果が高まるでしょう。

毎日やったほうがいい? どのくらいやればいいのか、頻度と継続期間を探る

ベントオーバーロウも高重量を扱うことのできるトレーニングです。高重量を扱うトレーニングは、筋肉の回復にも時間がかかるため、週に1~2回程度が適切です。

ベントオーバーロウと組み合わせたい、筋肥大させる食事・サプリメント

トレーニングと並行して、「たんぱく質」の摂取を心がけましょう。たんぱく質が不足していると、効率よく筋肉が作られず、効率の良い筋肥大にはつながりません。

サプリメントで摂取するなら、プロテインやBCAA、EAAなどがおすすめです。1日を通して、十分なたんぱく質量を摂取するように心がけましょう。

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ベントオーバーロウは背中に大きな刺激を与えることができる筋トレ

今回は、ベントオーバーロウについて解説しました。ベントオーバーロウは高重量を扱うことができ、大きな刺激を背中に与えるのに効果的なエクササイズです。

今回紹介したポイントを参考に、正しいフォームや動作をチェックしながら行ってみてください。

著者プロフィール

和田拓巳(わだ・たくみ)

プロスポーツトレーナー歴22年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院や競技チーム帯同で得たケガの知識を活かし、リハビリ指導も行う。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。現在、様々なメディアで執筆や商品監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信中。2021年 著書「見るだけ筋トレ」(青春出版社)発刊。

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<Text:和田拓巳/Edit:編集部>