
「魚肉ソーセージは健康に悪い」はウソ?ホント?専門家の見解は…
手軽に美味しく食べられることから人気の魚肉ソーセージは健康に悪いという噂が。これって本当なのでしょうか?
健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子先生と、医療法人藍整会なか整形外科理事長でバレーボールVリーグのサントリーサンバーズのチームドクターも務める樋口直彦先生に聞いてみました。
魚肉ソーセージは健康に悪い、添加物は危険という説がある
望月先生:過剰摂取しなければ、大きな健康被害につながるとは考えにくいです。
添加物や塩分を含んでいる魚肉ソーセージの場合、1日2本以上を毎日食べるなど、食べ過ぎによる健康被害(発ガン性や死亡リスクを上げるなど)が発生する可能性があるため、「健康に悪い」と言われることもあるかもしれません。
では、「添加物が多いから健康に悪い」という説はどうでしょう。魚肉ソーセージには、以下などの添加物が含まれていることが多いです。
リン酸ナトリウム | 保水性、結着性の向上、食感を良くするなどの働きが期待できる。健康な方が過剰摂取しても、尿と一緒に排泄されます。 長期的に過剰摂取すると、腎臓に大きな負担がかかるため要注意です。 |
亜硝酸ナトリウム | 加工食品の発色を良く見せるために使用されます。 亜硝酸ナトリウムは、アミンという物質に反応する性質があります。アミンに反応すると発がん性物質に変化する場合があると考えられています。 さらに、腸内で発がん性物質とタンパク質が結合すると、悪玉菌の作用により、大腸がんを誘発する恐れがあるアミンに変化するケースもあります。 ただし、日本の添加物の基準であれば、そこまで心配する必要はありません。 |
着色料 | 色を付ける際に使用されます。よく使われている着色料としては、赤色102号、赤色106号が挙げられます。 ラットの研究で、発ガン性やアレルギー、甲状腺異常、肝臓異常などがあるとの懸念がされています。 ただし、過剰摂取しなければ問題ありません。 |
望月先生:添加物自体には、発ガン性やアレルギー発症などの懸念があります。
しかし、日本で製造・販売されている添加物入りの食品の適量摂取であれば危険性はないと言えます。添加物の使用量などは食品衛生法によって厳密に管理されているためです。
そもそも、添加物は悪者になりがちですが、栄養成分の保持・味や香りの向上など、メリットがあるからこそ使用されています。
根拠のない情報に惑わされることなく、正確な知識を身に付けましょう。
添加物がどうしても心配な方は、合成色素ではなく、植物系色素(クチナシ、トマトリコピン)を使用しているものを選ぶと良いでしょう。
監修者プロフィール
健康検定協会理事長
望月 理恵子
株式会社Luce代表取締役、管理栄養士、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、小田原銀座クリニック栄養顧問、日本臨床栄養協会評議員。サプリメント・ビタミンアドバイザーなど、栄養・美容学の分野で活躍。多くの方が健康情報を学ぶための健康検定協会を主宰するとともに、テレビ・雑誌などで根拠ある栄養学を提供・監修をしている。「栄養学の◯と×」、「やせる時間に食べてみた!」など著書も多数。
ここからは、魚肉ソーセージを日常的に食べる際の適量や健康への影響について、医療法人藍整会なか整形外科理事長でバレーボールVリーグのサントリーサンバーズのチームドクターも務める樋口直彦先生に聞きました。
魚肉ソーセージは毎日食べても大丈夫?
樋口先生:魚肉ソーセージは手軽にタンパク質を補える便利な食品です。しかし、毎日食べる場合には、塩分や添加物の摂取量に注意が必要です。
とくに高血圧や腎臓疾患をお持ちの方は、塩分制限の観点から1日1~2本程度を目安にすると良いでしょう。
また、魚肉ソーセージに限らず、バランスの取れた食生活を心がけることが健康維持には重要です。
添加物が気になるけれど健康に問題ない?
樋口先生:魚肉ソーセージに含まれる添加物は、食品衛生法に基づいた基準の範囲内で使用されています。そのため、通常の範囲で摂取する分には大きな問題はありません。
しかし、加工食品に含まれるリン酸塩は摂りすぎると腎臓に負担をかける可能性があります。適量を守ることで、安全に楽しむことができます。
こんな食べ方はデメリットも! 魚肉ソーセージのNGな食べ方
塩分過多にならないよう注意
樋口先生:魚肉ソーセージは意外と塩分が多い食品です。味が濃い他の食材と組み合わせると、知らず知らずのうちに塩分過多になる可能性があります。
魚肉ソーセージだけ or 食べ過ぎに注意
樋口先生:魚肉ソーセージだけに頼る食事は、ビタミンやミネラルなど他の栄養素が不足しがちです。新鮮な野菜や果物、他のタンパク源と組み合わせることをおすすめします。
保存状態に注意
樋口先生:開封後の保存状態が悪いと、細菌が繁殖する可能性があります。とくに夏場は冷蔵保存を徹底し、早めに食べ切るようにしてください。
監修者プロフィール
樋口 直彦(ひぐち なおひこ)
医療法人藍整会 なか整形外科 理事長
医療法人藍整会 なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック 院長
帝京大学医学部卒業、日本整形外科学会認定専門医
Vリーグ「サントリーサンバース」チームドクター
帝京大学医学部卒業後、いくつかの病院で勤務し、院長を経験後、2021年1月に医療法人藍整会 なか整形外科の理事長に就任。バレーボールVリーグのサントリーサンバーズのチームドクターも務める。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。Vリーグ サントリーサンバーズの選手の治療の経験を含めて、スポーツ整形外科医として、患者さんの個々のケース、タイミングを共に考え最善の治療を行なっている。クリニック運営にICTを推進し、お待たせすることない診療が信条。
医療法人藍整会 なか整形外科
京都北野本院 https://www.naka-seikei.com
京都西院リハビリテーションクリニック https://nakaseikei.com
<Edit:編集部>