ウェルネスフード
2025年9月11日

「酢玉ねぎ」が体にいいワケ。専門家に聞いた効果とは【痩せたい人・血圧が高めな人必見】

健康やダイエットにいいと、近年じわじわ注目を集めている「酢玉ねぎ」。「痩せた」「血圧が下がった」「便通がよくなった」など、SNSやテレビでも話題になる一方で、「本当にそんなに効果あるの?」と気になる人も多いはず。

そこで今回は、酢玉ねぎに関する複数の専門家記事をもとに、その栄養や効果的な食べ方、食べ過ぎの注意点までを総まとめ! 医師や管理栄養士の見解を交えながら、酢玉ねぎが私たちの体にどのように作用するのか、わかりやすく解説します。

酢たまねぎってどんな食べ物?

酢たまねぎとは、薄切りにした生のたまねぎをお酢に漬けたもので、冷蔵庫で数日保存できる簡単な常備菜です。

酢たまねぎにはどんな栄養成分が含まれている? おもな栄養素成分と期待できるメリット

酢たまねぎは、たまねぎとお酢それぞれの健康成分を一度に摂れる優れものです。たとえば以下のような特徴があります。

監修者プロフィール

三木彩

管理栄養士・ヨガ講師/ママニティオンラインヨガスタジオ認定講師。
保育園や企業(社員寮・社員食堂・介護施設)での栄養管理や献立作成の経験を経て、ママの心と体のケアに深く関わりたいと、ヨガインストラクターの資格を取得しフリーに転身。現在は、「ママの笑顔は家族の幸せ」をコンセプトに、オンラインでママ向けのヨガレッスンを行うほか、ママの仕事と子育ての両立を応援する活動にも取り組んでいる。管理栄養士としては、記事監修やレシピ考案なども行い、幅広く発信中。

1.疲労回復&血糖値の急上昇を防ぐ「酢酸」

酢に含まれる酢酸は、クエン酸回路を活性化して疲れにくい体づくりに役立ちます。また、食後の血糖値の上昇をゆるやかにするため、ダイエット中のサポートにもおすすめ。

2.血液サラサラ!「硫化アリル(アリシン)」

硫化アリル(アリシン)は、玉ねぎに多く含まれる成分で、独特の辛味や匂いのもとです。血液をサラサラにし、血栓予防や高血圧の改善が期待できるとされています。

3. 腸内環境を整えて、便通改善・血糖コントロールも「食物繊維」「オリゴ糖」

玉ねぎには水溶性食物繊維「イヌリン」や「オリゴ糖」が多く含まれています。これらは腸内で善玉菌のエサとなるプレバイオティクスとして働き、腸内フローラ(腸内細菌バランス)を整える効果が期待されます。

4.抗酸化作用バツグンのポリフェノール「ケルセチン」

ケルセチンは、玉ねぎに含まれる成分で、強力な抗酸化作用が特徴です。特に外皮(茶色い皮)に多く含まれますが、食べる白い部分にも含まれており、体のサビ(活性酸素)を取り除き、動脈硬化・老化・生活習慣病の予防に役立つとされています(※)

農研機構 ケルセチンの生活習慣病予防機能

5.むくみ対策・骨の健康にも「ミネラル(カリウム・カルシウムなど)」

カリウムは余分なナトリウムを排出し、むくみ解消をサポートします。ちなみに、カルシウムは酢と一緒に摂ると吸収率がアップするため、骨の健康が気になる人にもおすすめです。

6.エネルギー代謝をサポート「ビタミンB群(とくにB6)」

玉ねぎには少量ながらビタミンB6が含まれ、たんぱく質の代謝や神経の安定に役立ちます。疲れやすい人やストレスを感じやすい時期にもおすすめです。

また、血糖値の上昇をゆるやかにしたり、コレステロールの吸収を抑える効果も報告されています。

玉ねぎを食べるとどんなメリットがある?“血液サラサラ”…だけじゃない!

酢たまねぎの基本の作り方

さまざまなメリットが期待できそうで、さっそく作りたくなりますよね。レシピはとても簡単!

【材料】
たまねぎ:1個(中サイズ)
酢:100〜150ml(黒酢、リンゴ酢、穀物酢など好みで)
はちみつ:大さじ1(砂糖でも可)

【作り方】
1.たまねぎを薄くスライスする
2.切ったたまねぎを水にさらし、辛みを抜く(5分ほど)
3.水気をよく切ったたまねぎを保存容器に入れる
4.酢とはちみつを加えて軽く混ぜる

冷蔵庫で一晩漬け込めば完成! 冷蔵で1週間以内を目安に食べきりましょう。

水にさらすのは5分程度

水にさらし過ぎると、玉ねぎの健康成分である硫化アリル(アリシン)や水溶性ビタミン・ミネラルが水に溶けてしまいます。

5分以内が目安ですが、切ってから空気に2~3分さらす(置く)+「氷水で1〜3分」着けることで、シャキッとした食感を保ちつつ、辛さを和らげることができます。

黒酢、リンゴ酢……どの酢でもいい?

基本的にはどの酢を使ってもOKですが、酢によって風味や栄養価が異なります。

  • 黒酢:アミノ酸が豊富でコクがあり、疲労回復や美容効果が期待されます
  • リンゴ酢:まろやかで飲みやすく、フルーティな香りが特徴。初めての人におすすめ
  • 穀物酢:クセが少なく万能。どんな料理にも合わせやすいスタンダードタイプ
  • 米酢:やさしい酸味とほんのり甘みが特徴で、和食にぴったり。自然な味わいが好きな人におすすめ

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酢たまねぎ、いつ・どうやって食べるのが効果的? おすすめは「食事の最初に少量」

食べ始めに酢たまねぎを少量取り入れることで、血糖値の上昇をゆるやかにし、食べすぎを防ぐ効果も期待できます。

そのまま食べるのはもちろん、サラダや納豆にトッピング、肉や魚料理の付け合わせとして。筆者は納豆やスープに加えて酸味のアクセントにしています。

毎日の食事に無理なく取り入れるのが、継続のポイントです。

酢たまねぎ、1日にどれくらい食べるといい? 食べ過ぎはデメリットに!

酢たまねぎは食べ過ぎてもよくありません。

目安は1日大さじ2〜3杯程度(30〜45g)。食べ過ぎると以下のようなデメリットが起きることもあります。

  • 酢の刺激で胃腸に負担がかかる
  • たまねぎの硫化アリルによる胃もたれや口臭
  • 血圧が低い人は、酢の摂りすぎでふらつきを感じることも

最初は少量から試して、自分に合った量を見つけましょう。

酢たまねぎの注意点。こんな人は医師に相談を

以下のような方は、酢たまねぎを日常的に摂る前に医師に相談するのがおすすめです。

✓  胃腸が弱い・胃炎や胃潰瘍のある方
✓  血圧が低い人
✓  糖尿病や腎臓病などで食事制限がある方
✓  薬を服用中の方(相互作用の可能性があるため)
✓  玉ねぎアレルギーがある方

安全に、美味しく、そして無理なく。自分の体に合った“酢たまねぎ習慣”を見つけていきましょう。

酢玉ねぎを食べると「血圧が下がる」はホント?

血圧が高い。40代、50代などある程度の年齢になってくると、薬だけに頼らず、食事でも高血圧対策はできないかと考える人も多いはず。そこで注目されたのが「酢玉ねぎ」。

刻んだ玉ねぎをお酢に漬けるだけという手軽さながら、「血圧が下がった」「健康診断の数値が改善した」という声もちらほら。しかし本当に効果があるのでしょうか?

林外科・内科クリニック理事長の林裕章先生に伺いました。

監修者プロフィール

林裕章(はやし・ひろあき)林外科・内科クリニック理事長

国立佐賀医科大学を卒業後、大学病院や急性期病院で救急や外科医としての診療経験を積んだのち2007年に父の経営する有床診療所を継ぐ。現在、外科医の父と放射線科医の妻と、全身を診るクリニックとして有床診療所および老人ホームを運営しており、医療・介護の両面から地域を支えている。また、福岡県保険医協会会長として、国民が安心して医療を受けられるよう、また医療者・国民ともにより良い社会の実現を目指し、情報収集・発信に努めている。

公式サイト https://www.hayashi-cl.jp/

酢玉ねぎの高血圧対策は「ほんの少し」

酢を毎日大さじ1杯ほどとると、血圧の数字が気持ち下がったという報告があります。玉ねぎに含まれる色素なども、血管をゆるめる手助けをします。

ただし下がる幅はほんの少し。あくまで“おかずの一品”として取り入れるイメージでいてください。

【食べ方の目安】
・1日分:酢 大さじ1、玉ねぎ(生)半分
・しょっぱくなりすぎないよう、塩はごく少量・砂糖も控えめに

酢玉ねぎが合う人・あまり効かない人

酢玉ねぎによる高血圧対策が合う人もいれば、あまりおすすめではない人もいます。

合いやすい人

  • 血圧が少し高めで薬がまだ1種類以内
  • 塩分をとりすぎているけれど減らしにくい
  • お腹まわりが気になる

あまり変化を感じにくい/注意が必要な人

  • 塩分にとても敏感な高齢の方
  • すでに薬をたくさん飲んでいる方
  • 胃酸が上がりやすい、胃潰瘍がある
  • 血をサラサラにする強い薬を飲んでいる

【試し方】
1) まず2~4週間、毎日食べてみる
2) おうちで測る血圧が平均で2~3くらい下がれば続ける
3) 変わらなければ、ほかの方法(減塩や運動など)を優先

「酢玉ねぎ」の効果がスゴい!栄養素やその働き、食べ方のコツ|管理栄養士監修

酢玉ねぎ以外では、こんな食生活に気をつけて

もちろん酢玉ねぎはあくまでサブ的な存在。ほかにも意識すべきポイントはさまざまあります。

1. 塩分は1日6グラム未満を目標

- 市販のおかずや加工食品は、「食塩1.5グラム以下/1食」を目安にする
- だしのうま味や減塩しょうゆを活用する

2. 野菜と果物をたっぷり、雑穀や玄米も取り入れる

- 野菜と果物で1日両手2杯ほど
- 青魚は週2~3回。脂っこい肉や加工肉は控えめに

3. 体重管理とお酒の量

- 体重を1キロ減らすだけでも血圧は少し下がるため、体重管理を
- お酒はビールなら中びん1本程度まで。女性はその半分を目安に

4. 甘い飲み物・白いパンやお菓子は控えめに

- ジュースや清涼飲料は水やお茶に置き換える
- 果物はジュースより“そのまま”がおすすめ

5. よく眠り、身体を動かす

- 7時間前後の質の良い睡眠を意識する
- 早歩きなどの有酸素運動を週合計150分、軽い筋トレを週2回ほど行うとよい

運動がもたらす4つの効果。なぜ「体を動かすと健康にいい」と言われるのか

酢玉ねぎだけでは高血圧対策は難しい

酢玉ねぎは“サポート役”。血圧を少しだけ下げる助けにはなりますが、主役は「減塩・バランスの良い食事・運動・十分な睡眠」です。

それを踏まえた上で、まずは酢玉ねぎを2~4週間試して様子を見ましょう。続けるコツは「塩と砂糖を控えめにし、いつもの料理の付け合わせとして常備する」ことです。

胃の弱い人や薬を飲んでいる人は、始める前に医師に相談してくださいね。

玉ねぎを食べるとどんなメリットがある?“血液サラサラ”…だけじゃない!

酢玉ねぎ、食べ過ぎるとどうなる?どのくらいからが過剰摂取なの?

ダイエットや高血圧対策など、健康にいいと言われる酢たまねぎ。毎日の習慣にしている人も多いかもしれませんが、「体に良いなら、たくさん食べた方がいい」と思っていませんか?

実は、酢たまねぎにも“食べ過ぎ”によるリスクがあります。胃腸への負担、体臭や口臭、さらには栄養バランスの崩れから逆効果になるケースも。

一体どのくらいからが食べ過ぎになるのでしょうか。監修は、池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック 東京豊島院の柏木宏幸先生です。

監修者プロフィール

柏木 宏幸先生

埼玉医科大学医学部卒業後、沖縄で初期臨床研修を修了。総合内科医としての土台を築いた後、消化器・内視鏡診療に深い歴史を持つ東京女子医科大学消化器病センターに入局。大学病院および複数の市中病院にて、消化器疾患および内視鏡診療の経験を積み重ねる。その後は訪問診療医としてがん終末期の在宅医療にも従事。多くの患者と向き合う中で、胃がん・大腸がんの早期発見と予防、内視鏡医療の普及に尽力することを決意。2023年4月には東京都豊島区にて『池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック』を開業。地域に根ざした専門性の高い医療を提供し続けている。

酢たまねぎを食べ過ぎると、こんなデメリットが!

酢たまねぎは健康に役立つ食品ではあるのですが、食べ過ぎると体に負担をかける可能性も。たとえばこんなデメリットがありそうなのです。

胃腸への刺激・負担がかかる

お酢に含まれる酢酸は、摂りすぎると胃の粘膜を刺激し、胃もたれ・胸やけ・腹痛・下痢などを引き起こすことがあります。とくに空腹時に大量に食べるのは避けましょう。

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歯のエナメル質を傷める可能性

酢は酸性が強いため、過剰に摂ることで歯の表面(エナメル質)を徐々に溶かすリスクがあります。

食後はうがいや水を飲むことや、歯を磨くことで口内ケアを意識することが大切です。

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血糖値が下がりすぎる可能性

玉ねぎには血糖値を下げる作用があるとされており、糖尿病の治療中の方が大量に食べると、低血糖を起こすリスクがあります。こうした治療中の場合、医師に相談しながら取り入れるようにしましょう。

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口臭、おなら・便のにおいが強くなる

玉ねぎに含まれる硫化アリルの影響で、消化の過程でガスが発生しやすくなり、人によっては口臭が残ったり、おならや便のにおいが強くなったりすることがあります。

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酢たまねぎは1日どのくらい? 過剰摂取のライン

適量の目安として、一般的には1日50gまで(約大さじ2〜4杯程度)が目安でしょう。これ以上を毎日続けて摂取するのは控えたほうが安心です。

酢たまねぎを食べ過ぎたときの対処法

まずは摂取を止め、消化の良いおかゆやスープ、白湯などで胃腸を休めましょう。コーヒー、炭酸、アルコール、辛いもの、冷たいものなどは胃に刺激を与えるので避けてください。

他の食べ物と一緒に食べることで中和することも良いです。

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そして水分補給が重要です。酢や塩分の摂りすぎを中和し、体内のバランスを整えるためです。一気に大量に飲むのではなく、こまめに常温の水を摂るようにしましょう。

再開する場合は「少量から」「間隔を空けて」

症状が落ち着いたら、すぐに再開せず、数日休んだうえで、ごく少量から試すようにしてください。毎日の習慣にしたい場合は、1日大さじ1〜2杯程度を目安に、様子を見ながら調整するのが理想です。

万が一、上記の症状が改善されずお困りの場合には、胃腸薬や整腸剤などの市販薬をお試しいただくのも一つの方法です。どの薬を選べば良いか迷われる場合や症状が続く場合には、内科や消化器内科を受診されることをおすすめします。

体に良い酢たまねぎも、「ほどほど」が大切です。適量を守って、胃腸に負担をかけないよう継続していきましょう。

<Edit:編集部>