スクワット ひざ
フィットネス
2025年11月4日

スクワットの正しいフォームは「膝を出してOK」|最新理論でわかる安全なやり方

スクワットのフォームについて「膝をつま先より前に出してはいけない」と聞いたことがある人も多いはず。しかし近年、トレーニング現場では「膝を出してもOK」という考え方が主流になりつつあるようです。

人体構造に詳しく、健康運動指導者の資格を持つパーソナルトレーナー三原 大和さん監修のもと、最新の姿勢づくりのポイントを解説します。

スクワットで「膝が出てもOK」な理由

スクワットは膝が出てもOK、というのはどういうことなのでしょうか?

三原さん「従来は『膝を出すと関節に負担がかかる』とされていましたが、最近の研究(*)では必ずしも危険ではないとされています。

スクワットでは股関節と膝が連動して動くのが自然で、無理に膝の動きを抑えると腰や背中に過剰な負担がかかることもあります。

重視すべきは膝の位置よりも重心のコントロールミッドフット(足裏の真ん中)でしっかり床を押せば、膝が前に出ても安全に動けます。

*IJSPT(International Journal of Sports Physical Therapy)、Frontiers in Sports and Active Living(いずれもスクワット動作における関節負荷分散を示した研究)

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【最新版】スクワットの基本フォーム

スクワット姿勢のポイントは「股関節主導」と「ミッドフット重心」です。

1.足幅は肩幅~安定する幅で、つま先は軽く外側へ

2.背すじは自然なS字カーブを保ち、胸を張りすぎない(肋骨を開きすぎない)

3.すねと胴体をなるべく平行に保ち、ミッドフットを意識

最近のトレーニング理論では、すね(脛骨)の傾きと胴体とすねの角度も重要視されています。すねと胴体の傾きを平行に近づけるように動くと、股関節と膝の負担が分散し、自然にバランスの取れたフォームになります。

「ミッドフット」とは、足裏の真ん中(母趾球・小趾球・かかと)のことです。このミッドフットを意識して床を押す意識で動いてみてください。

ミッドフット

4.お腹に力を入れ、股関節を引くように

5.膝はつま先と同じ方向へ自然に前進でOK(ニーインNG)

膝が内側に倒れる「ニーイン」にならないよう注意。膝はつま先と同じ方向に動かすのが基本です。

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胸を張りすぎたり、「膝を出さない」と意識しすぎると、動きが不自然になりがちです。

今のトレーニング現場では、股関節とミッドフットを意識したフォームが主流です。

姿勢を安定させるためのコツ

しゃがむときは「お尻を後ろに引く+下げる」イメージで行いましょう。背中が丸まりやすい人は腹圧を意識し、呼吸は止めない。下りながら吸い、上がりながら吐く。

足首が硬くてかかとが浮く人は、軽くヒールを上げるプレートを使うのも効果的です。プレートの代用としては、ヨガマットや雑誌をかかとの下において行いましょう。

スクワットの悩みを解決!(Q&A)

人体構造に詳しいトレーナーの三原さんに、スクワットに関する悩みについて、回答いただきました。

Q.フォームを守っているのに膝が痛いです。お腹の脂肪が重いから?と思ったんですが、何かアドバイスはありますか

三原さん「お腹の重さが直接の原因とは考えにくいです。膝の痛みは、重心が前に流れていることや、股関節をうまく使えていないことが多いですね。

股関節を折る(ヒップヒンジ)、お腹と骨盤まわりに軽く力を入れる(腹圧)。そして、つま先側に体重が寄っている場合は、足裏の真ん中=ミッドフットを意識して床を押してみてください。これだけで膝の負担はかなり減ります」

Q.スクワットが苦手な人の特徴はありますか?

三原さん「足首や股関節が硬いと、しゃがむ動作でバランスを崩しやすくなります。体幹の力(腹圧)が抜けている人も苦手な傾向がありますね。

足首が硬い人は、ヨガマットや雑誌でかかとを少し上げる(ヒールアップ)とフォームが安定します。体幹が弱い人は、しゃがむ前に息を吸ってお腹に圧をつくる練習から。『お腹で体を支える』意識を持つことが大切です」

Q.スクワットをしないほうがいい人はどんな人?

三原さん「関節に強い痛みや変形がある人は控えましょう。また、猫背や反り腰が強くて正しいフォームがとれない人は、一度専門家にフォームを見てもらったほうが安全です。

筋力低下が著しい高齢の方などは、まずは椅子を使ったスクワット(チェアスクワット)など、安全な形から始めるのがおすすめです」

Q.スクワットが上手くできない…代わりのメニューは?

三原さん「もし通常のスクワットが難しい場合は、ヒップリフト(お尻上げ)やレッグエクステンションなど、関節への負担が少ないトレーニングから始めると良いですよ。

特にヒップリフトは仰向けで行えるため、膝や腰に不安がある人でも安全にお尻や太もも裏を鍛えられます」

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監修者プロフィール

パーソナルトレーナー
三原 大和(みはら やまと)

三原 大和専門学校にてパーソナルトレーニングと人体の構造について体系的に学び、JATI-ATI(日本トレーニング指導者協会 認定トレーナー)や健康運動指導者など複数の資格を取得。卒業後は女性専用パーソナルジムにてトレーナーとしてのキャリアをスタートし、丁寧で寄り添う指導に定評がある。

また、10年以上にわたり自身が競技者として取り組んできたバドミントンの経験を活かし、スポーツパフォーマンス向上やジュニア指導にも精通。現在は大阪・高槻にある「パーソナルジムBREEZE」のトレーナーとして、ダイエットから機能改善、競技力向上まで、幅広いニーズに対応した指導を行っている。

保有資格:
JATI-ATI(日本トレーニング指導者協会認定)
健康運動指導者(健康・体力づくり事業財団)

<Edit:編集部>