トマトジュースを飲みすぎるとどうなる?体に起こりうる“リスク”とは[管理栄養士監修]
健康や美容に良いと広く知られているトマトジュース。手軽に栄養が摂れる飲み物として、毎日の習慣に取り入れている方も多いのではないでしょうか。しかし、飲みすぎや取り入れ方を誤ると、体調に思わぬ影響を及ぼすことがあります。
この記事では、トマトジュースのデメリットと飲み過ぎによる影響、そしてメリットを活かす飲み方について管理栄養士が解説します。
トマトジュースのデメリット・飲みすぎのリスク
栄養素を手軽に補えるトマトジュースですが、「体に良いから」と飲みすぎてしまうと、かえって体に負担がかかることもあります。
塩分過多になるリスク
市販のトマトジュースの中には、味を整えるために食塩が添加されている商品もあります。
製品によって異なりますが、食塩添加のトマトジュースではコップ1杯(210g)あたり約0.6gの食塩が含まれています。これは、女性の1日の塩分目標量のおよそ1割程度に相当します。そのため、健康のためにと毎日複数本飲んでいると、気づかないうちに塩分過多になる可能性があります。
塩分の過剰摂取は、むくみや血圧上昇につながることがあります。高血圧や腎疾患がある方は注意が必要です。
糖質の摂りすぎにつながることがある
トマトにも糖質は含まれているため、トマトジュースを飲みすぎると、糖質の摂りすぎにつながることもあります。
コップ1杯程度であれば糖質量は10g未満の商品が多く、健康な方であれば大きな問題になることは少ないでしょう。しかし「野菜の代わりに」と何杯も飲んでしまうと、知らないうちに糖質やカロリーを摂りすぎてしまう可能性があります。
血糖値や体重管理が必要な方は、摂取量にも目を向けながら取り入れることが大切です。
カリウムの摂りすぎに注意
健康な方であれば問題になることは少ないですが、腎機能が低下している方は注意が必要です。
カリウムは通常、腎臓で余分な分が排泄されます。しかし、腎機能が低下していると、体内にカリウムが溜まりやすくなります。この状態を「高カリウム血症」といい、重症化すると不整脈や筋力低下などを引き起こすことがあります。
実際に、腎臓や膀胱に疾患を抱えている患者さんでトマトジュースの多量摂取による高カリウム血症の症例が報告されています。
腎疾患がある方や透析を受けている方は、飲む量について事前に主治医に相談するようにしましょう。
胃腸への刺激になることがある
トマトジュースはクエン酸などの有機酸が含まれており、酸性度が高い飲み物です。空腹時に飲んだり、一度に大量に飲んだりすると、胃への刺激になることがあります。人によっては、胃もたれや胸焼け、胃の不快感を感じることもあります。
また、逆流性食道炎(胃食道逆流症)がある方では、トマトやトマト製品によって、症状が出やすくなることも報告されています。
胃腸が弱い方や、普段から胸焼けを感じやすい方は、空腹時を避け、一度に飲む量を調整しながら取り入れると良いでしょう。
リコピンの摂りすぎで肌が黄色くなることも
リコピンをはじめとするカロテノイド系色素を大量に摂取し続けると、皮膚が黄色〜オレンジがかった色に変色することがあります。
これは「カロテノイド皮膚症」と呼ばれる状態で、手のひらや足の裏などに現れやすい症状です。
健康への直接的な害は少ないとされていますが、体に「摂りすぎかもしれません」というサインが出ている状態です。トマトジュースを毎日何本も飲んでいる方や、サプリメントも併用している方は注意が必要です。
トマトジュースに含まれる主な栄養素
注意点はあるものの、トマトジュースには健康や美容をサポートする栄養素も含まれています。抗酸化作用をもつリコピンをはじめ、カリウムやビタミン類などは、現代人に不足しがちな栄養素でもあります。
ここでは、代表的な栄養素とその働きを見ていきましょう。
リコピン
リコピンは、トマトの赤い色の元になっている天然の色素成分です。カロテノイドと呼ばれる栄養素の一つで、強い抗酸化作用を持つことで知られています。
体内で増えすぎた活性酸素を除去する働きがあり、老化や生活習慣病の予防への効果が期待されています。例えば、紫外線によるシミの生成を抑える作用や、血管の健康維持に関わる可能性などが報告されています。
また、リコピンは生のトマトよりも、加熱・加工されたトマトジュースやピューレの方が吸収率が高いことも特徴です。
カリウム
ミネラルの一種であるカリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出し、水分バランスや血圧の調整に関わる栄養素です。
不足すると血圧が上がりやすくなり、脳卒中や心疾患など命に関わる症状のリスクとなる可能性が指摘されています。
令和5年の国民健康・栄養調査では、成人の男女ともにカリウム摂取量が目標量を下回っていることが報告されており、多くの人で不足しやすい栄養素の一つです。
ビタミンC・ビタミンE
リコピンほどの含有率ではありませんが、トマトジュースにはビタミンCとビタミンEも含まれています。これらはビタミンAと並び、高い抗酸化作用をもつ「ビタミンACE(エース)」として注目される栄養素です。
ビタミンCはコラーゲンの生成や免疫機能に関わり、ビタミンEは細胞の酸化を防ぐ働きをします。一方で、これらのビタミンは加熱により一部の栄養素で失われてしまう特徴があります。
市販のトマトジュースは製造過程で必ず加熱殺菌されていることから、生のトマト果実と比べると含まれる量は減ってしまうものの、現代人に不足しがちな栄養素でもあるため、手軽に補えることはメリットといえるでしょう。
トマトジュースに期待できる効果やメリットとは
ここまでに紹介した注意点や栄養素を踏まえたうえで、適切な量・方法で取り入れると、トマトジュースは健康や美容にさまざまなメリットをもたらします。
抗酸化作用による健康・エイジングケアのサポート
トマトジュースに含まれるリコピンは強い抗酸化作用があります。活性酸素による細胞へのダメージを抑えることで、老化や生活習慣病予防をサポートする働きが期待されています。
また、リコピンは生のトマトよりも、市販のトマトジュースなど加熱加工された状態の方が吸収率が高まります。
一方で、ビタミンCや食物繊維などは、生のトマトの方が多く含まれているため、両方をうまく取り入れることが理想的です。
美肌・美容をサポート
トマトジュースには、リコピンに加えてビタミンCやビタミンEも含まれています。これらは抗酸化ビタミンとして知られ、紫外線ダメージや肌の酸化ストレス対策に役立つ可能性があります。
ビタミンCはコラーゲンの生成にも関わるため、肌のハリや透明感を保つサポートにもつながります。
筋トレや運動の栄養補給をサポート
トマトジュースに含まれるクエン酸には、疲労感を軽減する働きが期待されており、運動後の回復ドリンクとして取り入れる方も増えています。また、カリウムも含まれているため、汗をかいた後の栄養補給にも役立ちます。
ただし、有機酸による胃腸への刺激を避けるため、空腹時に一気に飲むのではなく、間食時や食事と組み合わせながら取り入れるのがおすすめです。
トマトジュースと血圧の関係。カリウムが関係している?
トマトジュースと血圧の関係については、国内外でさまざまな研究が行われています。
食塩無添加のトマトジュースを継続的に飲んだ研究では、血圧がやや高めの方で、血圧の改善がみられたことが報告されています。また、同じ研究でLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の低下も確認されています。
このような結果の背景には、カリウムによる余分な塩分(ナトリウム)の排出作用や、リコピンによる抗酸化作用が関係していると考えられています。これらが血管への負担軽減につながる可能性があります。

ただし、こうした効果が報告されているのは、食塩無添加のトマトジュースを1日1本程度(約200ml)継続的に摂取した場合です。
反対に、食塩添加タイプを選んだり、1日に何杯も飲んだりすると、カリウムによるナトリウム排出作用よりも、塩分摂取量の増加による影響が大きくなる可能性があります。
血圧が気になる方は「食塩無添加」の表示を確認したうえで、適量を継続的に取り入れることを意識しましょう。
トマトジュース、おすすめの取り入れ方は?
トマトジュースは、飲み方を少し意識することで、栄養をより効率よく取り入れやすくなります。毎日の習慣に無理なく取り入れるためのポイントを見ていきましょう。
まずは 「食塩無添加」を選ぶ
市販のトマトジュースには、食塩添加タイプと食塩無添加タイプがあります。血圧やむくみに関して良い影響が報告されているのは、食塩無添加タイプを使用しています。
購入前には、成分表示の「食塩相当量」を確認する習慣をつけましょう。目安としては、100gあたり食塩相当量0.1g未満のものを選ぶと、塩分を抑えやすくなります。
1日の適量は200ml程度を目安に
先ほど紹介した研究では、1日1回・約200ml程度(コップ1杯)の継続摂取で血圧やLDLコレステロールの改善効果が示されています。
大量に飲んでも効果が高まるわけではなく、むしろ塩分・カリウム・酸の摂りすぎにつながる可能性もあります。適量を、毎日継続することがポイントです。
食事や間食と組み合わせて取り入れる
トマトジュースは、食事や間食と組み合わせて取り入れることで、効率よく栄養補給しやすくなります。
リコピンは脂溶性の成分のため、食事中の油脂と一緒に摂ることで吸収率が高まりやすくなります。また、他の食材に含まれる栄養素と組み合わせることで、栄養バランスが整うことも期待できます。

一例として、筆者自身は亜麻仁油を小さじ1杯加えたトマトジュースを、午前中の間食として取り入れています。良質な脂質を組み合わせることでリコピンを効率よく摂りやすく、手軽で続けやすいと感じています。
単体で飲む場合も、空腹時は避け、胃腸への負担を抑えやすいタイミングで取り入れるとよいでしょう。
持病がある方・薬を服用中の方は医師へ相談を
腎疾患がある方や透析治療中の方は、カリウムの摂りすぎに注意が必要です。
また、高血圧の治療薬(ACE阻害薬・ARBなど)や利尿薬を服用している場合、カリウム摂取が薬の作用へ影響することがあります。
継続的に取り入れる場合は、事前に主治医へ相談するようにしましょう。
トマトジュースは食塩無添加、1日200ml程度に
トマトジュースは、リコピン・カリウム・ビタミンCなど、健康や美容をサポートする栄養素を含む飲み物です。ただし、飲みすぎや食塩添加タイプの選び方を誤ると、塩分の摂りすぎや胃腸への負担につながることもあります。
まずは「食塩無添加」のものを選び、1日200ml程度を目安に、食事と組み合わせながら1週間続けてみましょう。あわせて、体調やむくみなど、ご自身の体の変化にも目を向けてみてください。
さらに自分の体質や目的に合った食事設計を知りたい方は、管理栄養士によるオンライン食事指導サービス「CHONPS」で、あなたに合った食事サポートを受けてみてください。
監修者プロフィール
中村瑞樹(管理栄養士)
大日本印刷グループにて社員食堂運営や従業員の健康管理事業、特定保健指導に従事。その後、クックパッドグループにて栄養食事指導および健康記事の企画に従事したのち、管理栄養士として独立。現在は「科学的知見と日々の暮らしをつなぎ、食と健康に関する迷いや不安を減らす情報発信を行う」をテーマに執筆・メディア出演・琉球料理の伝承活動を行う。
https://note.com/nuchigusui365
参考資料
・厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~(e-ヘルスネット)「カリウム」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討報告書」
・文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース 野菜類/(トマト類)/加工品/トマトジュース/食塩無添加
・文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース 野菜類/(トマト類)/加工品/トマトジュース/食塩添加
・Heidarzadeh-Esfahani N, et al. Dietary Intake in Relation to the Risk of Reflux Disease. PMC. 2021.
・Jones JS, et al. Severe hyperkalemia related to excessive tomato juice ingestion. J Urol. 2004.
<Edit:編集部>













