疲れて走れない、坂道がきつい。経験者が指南する、マラソン大会でよくある挫折ポイントと対処法 (1/2)
いよいよマラソンシーズンも本格化。トレーニングの成果を発揮すべく、大会に向けて調整に入っている方も多いことでしょう。記録更新はもちろん、初めてのマラソン完走など、大勢のランナーが目標に向けて取り組んでいるはずです。
マラソンには走力だけでなく、“気持ち”がとても大きな影響を及ぼします。疲労で足を止めたくなったり、目の前に現れた上り坂に戦意喪失など、さまざまな困難が待ち構えているものです。そうした際に必要なのが、“心のゆとり”。ここでは具体的に起こり得る困難な状況を取り上げ、気持ちで負けないための向き合い方についてご紹介します。
混雑していて思うようなペースで走れない
大会のスタート直後から数kmは、どうしてもコースが混雑します。先頭集団やそれに近い位置でスタートしない限り、周囲に他ランナーがいて思うように走れません。しかし、無理に隙間をぬって追い抜こうとすると、接触の危険があるほか、蛇行などの余計な動きで疲労に繋がります。
対処法:自分のペースで走ることをいったん諦める
こうした混雑に巻き込まれたら、早々に自分のペースで走ることを諦めましょう。混雑が緩和されるまでをウォーミングアップ、そして気持ちをレースモードに切り替える時間だと考えてください。しっかり身体を温め、いざペースアップできるタイミングからしっかり走ります。
大会にもよりますが、混雑は続いても2~3kmほど。とはいえ周囲も走っていますし、多くの大会では事前に申告したタイムで走る順番を分けているため、そこまで大幅に遅いペースとはならないはずです。そのため、予定よりペースダウンしても、取り戻すべき時間はたった数分。焦って余計な疲労を溜めながら追い抜くより、むしろ落ち着いてレースに臨む時間にできるはずです。
給水所が混雑していて取りに行けない
規模の大きな大会では、給水所にランナーが群がります。特に初めてのマラソン大会など不慣れな場合、あまりの混雑ぶりに圧倒され「給水が取れない」と焦ってしまうかもしれません。
対処法1:焦らずペースダウンして取る
給水所での補給は「焦らないこと」が基本。かっこよく、上手に取る必要なんてありません。少しペースを落とし、よくタイミングを見計らいましょう。焦って無理やり取りに行き、取りこぼしたり落とす方が大変です。場合によっては、周囲のランナーと接触するなど危険も伴うでしょう。そうしたトラブルに比べれば、多少のペースダウンなど問題になりません。しっかり補給し、そのうえで取り返せばいいのです。
対処法2:手前でとらず奥まで走って取る
また、つい給水所では「少しでも早く給水を」と思いがち。しかし給水所は多くの場合、数mに渡ってテーブルを設けて用意されています。規模が大きい、参加ランナーの数が多いほど、余裕が持たれているものです。わざわざ激戦となる手前で取るのではなく、少し先まで走って空いているテーブルで取りましょう。「早く取らなきゃ」ではなく「きちんと取れれば早い必要はない」と考えてください。
なお、万が一給水を取り損ねても、そこまで落胆しないようにしましょう。給水所は数kmごとに用意されていますので、次で取ればいいのです。そのために、可能なタイミングでは少しずつでもこまめに補給しておくことをオススメします。そうすれば、1回くらい取り損ねても、走りに影響は及びません。
ランナーを苦しめるレース後半での上り坂
同じ場所を何周回もするようなコースを除き、マラソンという長距離に坂道はつきもの。走っていると、いきなり目の前に急な上り坂が現れた……なんていうこともあるでしょう。元気いっぱいの前半ならば、さほど気にせず登りきることができます。しかし疲労の溜まり始めた後半になると、まるで立ちはだかる壁のように感じ、心折れそうになるかもしれません。
対処法:「上り坂のあとは下り坂がある」と考える
しかし、これが下り坂だったらどうでしょうか。おそらく多くのランナーは、楽に走れるとよろこぶはずです。それなら、ぜひ上り坂も歓迎してあげてください。上った分は、きっとその先に楽な下り坂が待ち構えています。
また、上り坂はキツいものと捉えがちですが、実際のところキツいばかりではありません。平地と上り坂、下り坂では、自然と筋肉の使い分けが行われます。つまり上り坂では、平地や下り坂で使った筋肉の一部が“お休み”となるのです。上りきった後の平地や下り坂は、きっと少し楽に走れるようになるでしょう。
対処法2:少し目線を落とし、少し先の地面やランナーの足を見ながら走る
もちろん、レース終盤となれば「坂道を上って終わり」というケースもあります。そうなれば、上っても下り坂は現れません。そんなときは、自分を騙して走りましょう。少し目線を落とし、少し先の地面、もしくは前を走るランナーの足なんかを見ながら走ってみてください。よほどの急坂でないかぎり、視認しなければ坂道はさほどキツく感じないものです。「ずっと平地を走っている」「大きなアップダウンはない」と言い聞かせながら、知らないうちに坂道を攻略してしまいましょう。
対処法3:歩いてしまうのもひとつの手
なお、後半の疲労でペースが落ちているなら、上り坂は無理に走らなくても構いません。休憩時間として、歩いてしまうのもひとつの方法です。疲労困憊の状態では、実際のところ走っても歩いてもさほど時間は変わりません。それなら歩いて気持ちを切り替え、それ以降をしっかり走るための準備に使ってみてください。その際、坂道を見るのではなく、周囲のランナーや景色を眺めながら楽しむと、つらさを感じにくくなります。