フィットネス
2022年3月4日

疲れて走れない、坂道がきつい。経験者が指南する、マラソン大会でよくある挫折ポイントと対処法 (2/2)

もう足が動かない! 筋疲労がピークに達したとき

 レース終盤ともなれば、どんなランナーでも筋肉に疲労が蓄積してくるもの。いわゆる“30kmの壁”に代表されるように、足が重く感じられ、走ることがつらくなってくるかもしれません。このタイミングこそ、まさに“気持ち”が試されます。つらい気持ちに負けて動くことを止めてしまうと、身体が一気に動かなくなってしまうものです。ですからきついと感じても、“動き続ける”ことが大切です。

対処法1:ペースを落とす、歩く……とにかく前へ動くこと

 制限時間が目前に迫った中での絶望的な状況を除けば、実のところ足が動かないからとレースを諦める必要はありません。ペースを落とそうと、あるいは歩いてしまおうと、足を前に出し続ける限り残りの距離は短くなる。つまり、あなたはゴールへ着実に近づいているのです。ですから、とにかくその時点での全力を尽くすこと。そうすればいずれゴールに到達しますし、タイムなどの結果は後からついてきます。

 怪我をしていない限り、ゴールすれば必ず何か得られるものはあるでしょう。目標タイムに到達しなくとも、「つらさを乗り越えてゴールした」経験は自信になりますし、ゴールしてこそ改善すべき課題が見えてくるものです。

対処法2:周囲のランナーを見る

 つらいときこそ顔を上げ、周囲を見回してみてください。きっと、誰もが同じようにつらい中、それでも懸命にゴールを目指していることでしょう。「自分だけじゃない」ことを認識できれば、自然と前へ進む意欲は高まるというもの。つらさのあまり地面ばかり見ていたら、奮起するキッカケすら得られません。また、ランニングフォームは崩れ、どんどんつらさは増すばかりです。

 ちなみに私は、「つらい」と思ってからが本番だと思っています。その先にこそ限界を越えた走りがあり、自分自身で「つらい」と感じるレベルなど、実のところ限界ではありません。たとえば「もう動けない」という状況で後ろから怪物にでも襲われたら、きっと多くの方は疲れを忘れ、全力で逃げることでしょう。これこそ、“気持ち”が本来ある力を押し止めている証拠。ぜひ気持ちで負けず、その先にある限界を越えた自分を見つけてください。

キツさを乗り越える武器は「気持ちの強さ」

 マラソンという長距離では、何が起きるか分かりません。今回取り上げた内容だけでなく、いくらベテランのランナーでも困難に悩まされることは多いものです。そんなときこそ、身体ではなく心、気持ちを強く持ちましょう。気持ちさえ切れなければ、きっと、その先もまだまだ走り続けられるはずです。

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[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。また、ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】https://www.run-writer.com

<Text:三河賢文/Photo:Getty Images>

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