偉大な警察官や軍人などを讃える「ヒーローワークアウト」とは?カッコイイ上に体も鍛えられる (1/3)
クロスフィットは、ジムごとに日替わりのワークアウトプログラムを行うことが大きな特徴です。ルーティン化を避けて毎回異なった刺激を受けることができるメリットがある反面、自分の成長具合を見極めにくいというデメリットも。
その対策として、一定の基準となるワークアウトのセットメニュー(WOD – Workout Of the Day:ワッドと呼ばれます)が、クロスフィット本部から用意されています。
WODには、殉職した警察官や消防士、軍人の名前が冠された「ヒーローワークアウト」というものがあります。最近では、カナダ東部ノヴァ・スコシア州で発生した銃乱射事件で殉職した警察官Heidi Stevenson(ハイディ・スティーブンソン)さんを記念した“Heidi(ハイディ)”というワークアウトメニューが新たに加わりました。
ヒーローワークアウトは必ずしも効率的なトレーニング効果だけを目指したものではなく、犠牲になった人を偲び、いま自分が生きていることに感謝するのが目的です。
代表的ヒーローワークアウト「マーフ(Murph)」
2005年にアフガニスタンで戦死した、米国海軍中尉マイケル・マーフィー氏を記念したワークアウト。その内容は、以下のような手順で行います。
1マイル(1600m)を走る
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その後に懸垂を100回、腕立て伏せを200回、自重スクワットを300回
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最後にまた1マイル(1600m)を走る
正式ルールでは、これらを重量ベスト着用で行います。重量ベストの規定重量は男性が約9kg、女性は約6kgです。
毎年5月のメモリアル・デー(米国の戦没将兵追悼記念日)には、このマーフを全米だけでなく世界中のクロスフィットのジムが一斉に行う伝統があります。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、世界中でほとんどのジムが閉鎖されていた期間、「どうせジムに行けないのなら、この機会にマーフを毎日連続してやってやろう」などと、ものすごいことを考える人たちも出てきました。YouTubeで検索すると、そんな動画をいくつか見つけることができます。
こんなにもある、ラン+自重筋トレのヒーローワークアウト
マーフは懸垂をするための鉄棒が必要ですが、まったく器具を使わないヒーローワークアウトも数多くあります。その多くが、ラン(有酸素運動)と自重筋トレ種目(腕立て伏せ、シットアップ、スクワット、ランジ、バーピーなど)を組み合わせたものです。私は自粛期間中、そうしたヒーローワークアウトをずっと1人で行ってきました。
ランは陸上トラックの400mを基準にした距離が多く使われますが、道路や公園で行っても何ら問題ありません。また、距離は正確でなくてもいいので、大体それぐらい走るのだと思えばよいでしょう。ただ、なるべくなら信号待ちなどがなく、連続して走ることができる場所が望ましいです。
風通しのよい屋外で他人との距離を2m以上確保して行うことができるクロスフィット。ここで、いくつかのヒーローワークアウトを紹介しましょう。参考までに、私が行ったときの所要時間も記しました。