2017年12月28日

横浜DeNAベイスターズが導入したベースボールトレーニングVRシステムの実力│デジタルでスポーツの勝利をつかむ #3〈野球×デジタル 前編〉 (2/2)

選手たちもVRに積極的に取り組んでいる

 選手たちの反響として、最も有効な活用例が1番バッターの桑原将志選手。トップバッターゆえ、ブルペンでの相手チームの投球練習だけを見て試合に臨まなければならないが、「iCube」導入後は試合前に専用ルームに来て、投球のタイミングを計っている。すでに1打席目から準備ができるというメリットがあるのだ。こうしたデジタル活用について、選手らは積極的だという。

▲正面から見た「iCube」の映像。ヘッドマウントディスプレイをかけて見ると、かなりの臨場感がある。登録された球種、スピードを自在に選ぶことができる

「もちろん、人によりますが、選手たちは『これは使える』と感じてくれた人は、積極的に使ってくれますね。彼らは、スマホやタブレットで主に試合映像を観られるようになっているので、例えば試合が終わったその日の夜、自分のその日の投球を見たり、次の対戦相手のピッチャーについて予習したりとか。先発ピッチャーだったら、打者について予習しておくような使い方が一番人気あります。映像のチェックは本当に多いです」

 今シーズンの結果も好成績だったが、その効果は如実に現れている。また、蓄積されたデータの活用法も新たに見えてきた。

「ITを導入することで可能になる、運動数値の“視える化”は大きいですね。使えるか使えないかは選手によりますが、すごくセンスがある人は感覚で『こうしてみよう』という風にできてしまう。やはりトップに行くほどそうゆう感覚が優れている人が多いので、使ってもらえると思います。『トラックマン』のデータも今シーズンから選手にフィードバックを開始しました。特にピッチャーはすごく興味を持ってくれていて、こんなデータはないのかという問い合わせもけっこうきています」

後編:横浜DeNAベイスターズのVRシステムと連動するレーダーシステム「トラックマン」から見える戦略の全貌

《取材協力》
横浜DeNAベイスターズ
https://www.baystars.co.jp

<Text:三宅隆/Edit:アート・サプライ/Photo:下城英悟>

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