ヘルス&メンタル
2025年4月30日

言い合えない職場を変えるはずが…「1on1ミーティング」が機能しない理由 (1/2)

「毎年4月下旬から5月にかけて、『五月病』のGoogle検索数が顕著に増加する」。

一般社団法人 教育コミュニケーション協会が、2020年4月19日~2025年4月19日までのGoogle検索データを分析した結果です。

なんとなく理解できますよね。

「やる気が出ない」「無気力」「何もしたくない」といったキーワードも、「五月病」の検索数増加とともに上昇する傾向が見られたそう。

「何もしたくない」は年間検索数が多い

「何もしたくない」というキーワードは、そもそも年間を通して比較的高い検索数を示しています。

そして「仕事 辞めたい」「退職代行」も、「五月病」のピークとほぼ同時期に、検索数が急増する傾向にあるといいます。

五月病による心理的な不調が、直接的に退職願望に結びついている可能性を強く示唆しており、2025年の現時点でも、「五月病」と「仕事辞めたい」を中心に検索数の上昇が見られます。

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こうした悩みが大きくなる前に、職場の誰かに相談すればいいのに……と考えた人も多いのでは。しかし相談までには高いハードルがあるようなのです。

「“言えない”のではなく、“言い合えない”職場環境が問題」

これらの分析結果を踏まえ、一般社団法人 教育コミュニケーション協会代表の木暮太一氏は、次のようにコメントしています。

木暮氏:「五月病」という言葉で表現される不調の初期段階において、人々が「やる気が出ない」「無気力」といった曖昧な言葉で検索するのは、自身の状態を明確に認識できていない、という側面だけでなく、職場において心理的な不調を率直に「言い合えない」環境が背景にある可能性も否定できません。

もし、風通しの悪い職場環境であれば、たとえ自身の不調に気づいていても、それを上司や同僚に相談することに躊躇してしまうでしょう。不調を「言えない」のではなく、「言っても無駄だ」「理解されないだろう」といった諦めや恐れから、「言い合えない」状況が生まれてしまうのです。

その結果、心理的な負担は増大し、「何もしたくない」という強い言葉の検索や、「仕事 辞めたい」といった最終的な手段を検討する検索行動につながってしまうのではないでしょうか。心理的な不調を気軽に相談できる、オープンなコミュニケーションが不足した職場環境こそが、問題の深刻化を招く根本的な原因であると考えられます。

言い合えるよう、1on1ミーティングなどを導入している企業も多いでしょう。しかしそれもいまいち効果が出ていない。なぜでしょうか。

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