徒競走(かけっこ)で速く走る方法&コツ【子ども向け】 (2/3)
スタートダッシュのコツ
- 前へ出した脚に体重をかけ、後ろ脚はリラックスさせる
- 走りだしたとき、前の腕を思いっきり後ろへ振る
- 次の脚が地面につく前に、体が一直線になるようにする
走るときは、以下のポイントに注意しましょう。
- 足が地面に接地する時間を短くする
- 腕振りは大きくする
- 足が地面に接地したとき、ヒザとヒザの間に空間ができないようにする
接地時、ひざとひざが揃うのが理想。そのためには足を前に出す力と、地面への接地時間の短さが必要
●よくある疑問「どっちの脚を前に出せばいい?」
- まっすぐな姿勢で両足を揃えて立ち、前に倒れる
- 倒れる! と思ったときに片脚を出す
- その脚を後ろに持っていく
個人差はありますが、これがスタートしやすい足となります。
出したほうの足を……後ろへ!
なお、転ばないよう第三者が向かい側に立ってあげると安心です。
腕の振り方
速く走るためには、腕を大きく振ることが大切です。腕を動かすことで、脚も動きやすくなるからです。
肩と股関節は、離れているようで身体の中で繋がっています。肩の動きが少ない腕振り(肘が伸びてしまうような振り方や、肘から先しか動かない振り方)だと身体の連動が起こらず、どんなに一生懸命大きく速く振っても、速く走ることへ繋がりません。
そのため、速く走るために腕振りは大切な要素なのです。以下のやり方を実践してみましょう。
- 小さく前ならえをし、肘を90度の状態にする
- 肘の角度を保ったまま、親指を肩に刺すような意識でまっすぐ振る
肩に力が入ると腕の振りが横になるので、縦に振るような意識を持ちましょう。
NG例。正面から見たとき、脇に空間ができないよう縦に振ろう
走っているときの歩幅
歩幅を大きくすれば速く走れるのではと考えがちですが、歩幅(ストライド)は無理に伸ばそうとしてはいけません。
速い人の走りには、膝下を振り出すような走りが多く見られます。それを真似しようと膝から下を振り出すような意識をしてしまう人も多いのですが、かえってブレーキがかかる走りになってしまいます。
速い人ほど膝下はリラックスし、まっすぐ地面に振り下ろしています。リラックスしている分、後ろから前に脚を運んだときの慣性で、自然と前に振り出す動きになっています。
歩幅を伸ばすには「股関節の可動域」と「後の脚を引き付ける力」、この2つの向上が欠かせません。
カーブの曲がり方
走りの中で、カーブと直線、違う点が2つあります。ひとつは「遠心力」。そして「バランスの違い」です。
●遠心力
カーブを走るときは、外側へ遠心力がかかります。そのため、意識せずまっすぐ走っていると推進力が減り、スピードが上がりにくくなります。
そのため、カーブを走るときは、内側へ身体を傾けるようにして走ってみましょう。傾けて走れるようになったら、以下の順に意識するポイントを増やしていきましょう。
Level1. 目線を遠くにやる
Level2. 頭は傾けず、地面に対してまっすぐにする
Level3. 左肩を少し前に出すようにする
●バランス
身体が傾くぶん、脚をつくときの左右バランスが変わります。内側になる左脚のほうが右脚と比べて接地時間が長くなり、そのぶん左脚は地面を蹴りにくくなります。
カーブ走る機会を増やして、バランスの違いに身体を慣れさせましょう。
バトンのとり方のコツ
リレー大会で必須の「バトン」。受け取るとき失敗をしないか、またうまく渡せるかハラハラドキドキのタイミングですよね。
バトンを受け取るときは、少し走り出した状態で受け取ります。速く出すぎても、待ちすぎてもよくありません。バトン練習時はさまざまなスピード感で走ってあげて、スタートを切るタイミングを多く体験させるとよいでしょう。
また、よくあるバトンを落としてしまうミス。一番の原因は、まだ受け取っていないのに走り出してしまうことです。しっかりバトンを握ってから走り出せるよう、タイミングを意識して練習してみましょう。
子どもに教えるときの注意点
言葉で伝えきろうとしないことが大切です。
「もっとひじを曲げて腕ふりして!」「からだをまっすぐに!」「膝を高く上げて!」……子どもへの熱い思いが強くなるほど、こんな言葉を掛けたくなります。
子ども達は、言葉の意味は理解していることも多いです。ただ“できない”わけではなく、“知らない”というようにこちらの考え方を変えてみましょう。
ひじを曲げることが“できない”のではなく、ひじを曲げるためにどのように力を入れたらいいかを“知らない”。
体をまっすぐに“できない”のではなく、今どのような形になっていて、どのように力を入れると体がまっすぐになるのかを“知らない”。
肘を90度に保つと言われても、 “その表現の意味が理解できない”もしくは”90度はわかるけれど自分の肘がそうなっているかどうかがわからない”がほとんどです。
うまく理解してもらうために、正しい動きを直接見せる、写真や動画を使って指導しましょう。運動が苦手な子どもほど、言葉を頭でイメージし、その動きを身体で表現することが難しいことが多いです。
目で見て、それを身体で表現すること。その動きを写真や動画で撮影し、さらに見せる。そして再チャレンジしてもらう。その動きを繰り返していくことで、少しずつできる動きが増えていきます。
次:第2章 こんなときどうする?かけっこQ&A