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2024年2月20日

徒競走(かけっこ)で速く走る方法&コツ【子ども向け】 (2/2)

腕の振り方

速く走るためには、腕を大きく振ることが大切です。腕を動かすことで、脚も動きやすくなるからです。

肩と股関節は、離れているようで身体の中で繋がっています。肩の動きが少ない腕振り(肘が伸びてしまうような振り方や、肘から先しか動かない振り方)だと身体の連動が起こらず、どんなに一生懸命大きく速く振っても、速く走ることへ繋がりません。

そのため、速く走るために腕振りは大切な要素なのです。以下のやり方を実践してみましょう。

  1. 小さく前ならえをし、肘を90度の状態にする
  2. 肘の角度を保ったまま、親指を肩に刺すような意識でまっすぐ振る

腕を90度に曲げて手を振る男性

肩に力が入ると腕の振りが横になるので、縦に振るような意識を持ちましょう。

腕の下に空間ができてしまうNG例

NG例。正面から見たとき、脇に空間ができないよう縦に振ろう

走っているときの歩幅

歩幅を大きくすれば速く走れるのではと考えがちですが、歩幅(ストライド)は無理に伸ばそうとしてはいけません。

速い人の走りには、膝下を振り出すような走りが多く見られます。それを真似しようと膝から下を振り出すような意識をしてしまう人も多いのですが、かえってブレーキがかかる走りになってしまいます。

速い人ほど膝下はリラックスし、まっすぐ地面に振り下ろしています。リラックスしている分、後ろから前に脚を運んだときの慣性で、自然と前に振り出す動きになっています。

歩幅を伸ばすには「股関節の可動域」と「後の脚を引き付ける力」、この2つの向上が欠かせません。

カーブの曲がり方

走りの中で、カーブと直線、違う点が2つあります。ひとつは「遠心力」。そして「バランスの違い」です。

遠心力

カーブを走るときは、外側へ遠心力がかかります。そのため、意識せずまっすぐ走っていると推進力が減り、スピードが上がりにくくなります。

そのため、カーブを走るときは、内側へ身体を傾けるようにして走ってみましょう。傾けて走れるようになったら、以下の順に意識するポイントを増やしていきましょう。

Level1. 目線を遠くにやる
Level2. 頭は傾けず、地面に対してまっすぐにする
Level3. 左肩を少し前に出すようにする

バランス

身体が傾くぶん、脚をつくときの左右バランスが変わります。内側になる左脚のほうが右脚と比べて接地時間が長くなり、そのぶん左脚は地面を蹴りにくくなります。

カーブ走る機会を増やして、バランスの違いに身体を慣れさせましょう。

バトンのとり方のコツ

バトンを持って走る少年

リレー大会で必須の「バトン」。受け取るとき失敗をしないか、またうまく渡せるかハラハラドキドキのタイミングですよね。

バトンを受け取るときは、少し走り出した状態で受け取ります。速く出すぎても、待ちすぎてもよくありません。バトン練習時はさまざまなスピード感で走ってあげて、スタートを切るタイミングを多く体験させるとよいでしょう。

また、よくあるバトンを落としてしまうミス。一番の原因は、まだ受け取っていないのに走り出してしまうことです。しっかりバトンを握ってから走り出せるよう、タイミングを意識して練習してみましょう。

子どもに教えるときの注意点

言葉で伝えきろうとしないことが大切です。

「もっとひじを曲げて腕ふりして!」「からだをまっすぐに!」「膝を高く上げて!」……子どもへの熱い思いが強くなるほど、こんな言葉を掛けたくなります。

子ども達は、言葉の意味は理解していることも多いです。ただ“できない”わけではなく、“知らない”というようにこちらの考え方を変えてみましょう。

ひじを曲げることが“できない”のではなく、ひじを曲げるためにどのように力を入れたらいいかを“知らない”。

体をまっすぐに“できない”のではなく、今どのような形になっていて、どのように力を入れると体がまっすぐになるのかを“知らない”。

肘を90度に保つと言われても、 “その表現の意味が理解できない”もしくは”90度はわかるけれど自分の肘がそうなっているかどうかがわからない”がほとんどです。

うまく理解してもらうために、正しい動きを直接見せる、写真や動画を使って指導しましょう。運動が苦手な子どもほど、言葉を頭でイメージし、その動きを身体で表現することが難しいことが多いです。

手でカメラのカポーズをとる

目で見て、それを身体で表現すること。その動きを写真や動画で撮影し、さらに見せる。そして再チャレンジしてもらう。その動きを繰り返していくことで、少しずつできる動きが増えていきます。

第2章 こんなときどうする?かけっこQ&A

ここからは、子どもの徒競走(かけっこ)に関するよくある質問をQ&A形式でまとめていきます。

運動神経が悪い、運動が苦手でも速く走れるの?

走れます。もちろん、クラスで1等賞はとても高い目標かもしれません。しかし、今よりも速く走るようになることは、運動神経に関わらず誰でもできます。

シューズはどんなものがいい?

とくにかけっこ用の靴で選ぶポイントは大きく3つあります。

  • 足の幅(幅は合っているか)
  • 甲の高さ(甲の部分に圧迫感がないか)
  • つま先(きつくないか)

靴を選ぶ際、つま先の部分だけを押して判断してしまうことが多くみられます。もちろんつま先のゆとりも大切ですが、幅は合っているか、甲の部分に圧迫感がないかチェックしましょう。足の幅や甲の高さが合わず、足を痛めてしまうことも非常に多いです。

また、履いた後、少しジャンプしたりなどして、動いたときに違和感がないかも確かめましょう。子どもの感覚だけだと判断は難しいので、親の目でしっかりと見る必要があります。

玄関に2足の子供靴

子ども達は、どんどん成長していきます。足のサイズもすぐに大きくなるため、大きめの靴を買ってあげたり、おさがりの靴を履かせたりすることも多いです。

しかしながら、足は身体を支えるとても大切なもの。その足を守り、支えるのが靴の役目です。

「すぐ大きくなるから」と合っていない靴を履かせていると、足だけでなく身体全身のバランスも悪い方向へ進み、身体の成長を阻害してしまいかねません。

走る前、子どもが緊張していたらどうすればいい?

緊張している時は深呼吸をすすめましょう。ただし「吸って〜、吐いて〜」だけでは、あまり効果がありません。

緊張している、とくにスポーツのシーンにおいては、過呼吸状態が緊張を引き起こしていることが多く見られます。無意識に呼吸が深く、多くなってしまうことが原因です。

そのため、深呼吸を促す際は「鼻から吸って〜、吐いて〜、吐いて〜〜(息を出し尽くすまで)」このような声掛けを繰り返していきましょう。少しずつ緊張がほぐれていくはずです。

速く走れなくて悩んでいる子には、どう声をかけたらいい?

「絶対評価の目標(※1)」と「相対評価の目標(※2)」、まずはそれぞれで小さい目標を立ててあげましょう。

(※1)絶対評価とは、他者に左右されず、あらかじめ決めた目標をクリアしたときに評価をする
(※2)相対評価とは、他者と比較し、集団内においてどれくらいできたかを決める

中でも、絶対目標をより大切にしてあげてください。できている、できていないだけの見方だけでなく、一生懸命取り組んでいること、やりきったことできていなくても「いい感じ!」とポジティブな声かけを意識しましょう。

STEP UP

相対評価の目標例

去年は3番だったから今年も3番をキープ!

去年は3番だったから2番を狙う!

一緒に走る子の中で一番速くなる!

クラスで一番速くなる!

学校で一番速くなる!

絶対評価の目標例

休日は必ず1回走る練習をしよう!

1日1回走る練習をしよう!

50mを40歩かかるから、39歩で走れるようにしよう!

◯秒台を目指す!

EPARKスポーツではキッズスポーツイベントを常時開催中!

今回解説してくれた富田巧哉さんが所属するEPARKスポーツでは、かけっこ教室をはじめ、サッカーやなわとび、自転車、体操などさまざまなスポーツイベントを開催しています。

東京、神奈川、千葉、埼玉を中心に全国各地で行っているほか、出張、オンラインでもマンツーマンレッスンも実施しているので、気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。

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<Edit:編集部/Photo:EPARKスポーツ>

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