インタビュー
2017年10月23日

「あきらめないこと」を体験できる。元世界チャンピオン木村悠にボクシングから学べることを聞いた

 11月19日(日)、幼児(4歳〜)および小学生を対象にした特別企画『元世界チャンピオン 木村悠のキッズ ボクシング体験会』(EPARKスポーツ主催)が開催されます。木村さんは、商社に勤めながらプロボクサーとして活動し、第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオンを獲得した「商社マンボクサー」という異例の経歴を持っています。そこで木村さんに今回の教室のねらいや自身の子ども時代について聞きました。

勝つ喜び、負ける悔しさから学べることがある

――キッズ ボクシング教室でどのような体験ができるのか教えてください。

ボクシングのおもしろさを知ってもらうことを目的とした初心者向けのレッスンです。サンドバッグやミットに向けてパンチを打ちます。ケガの心配をすることなく、4歳のお子さんでも楽しんでできるようなプログラムを考えています。

近年は外で遊ぶ子が少なくなり、室内でゲームをする子が増えているといいます。運動不足による子どもの肥満や肩こりも問題になっています。サンドバッグを思い切り打つ爽快感を知ることで、積極的に体を動かそうと思うきっかけになると思います。

――他のスポーツにはないボクシング特有の楽しみはなんでしょうか。

まず、何かを打つ・叩くという動きがストレス解消になります。実際に経験してみるとわかるのですが、心身ともスッキリして夜もぐっすり眠れます。また、個人競技ですからそれぞれの体格や体力に合わせた強度で運動でき、成長が実感しやすく、自分と向き合うことができます。

今回のキッズ ボクシング教室ではゲーム形式のメニューを考えています。みんなと切磋琢磨しながら汗を流して勝つ・負けるを体験してほしいですね。やはり勝ち負けがあるとやる気も違いますし、勝つ喜び、負ける悔しさ、それらがすべて自分の努力次第であるということなど、勝負を通して学べるものもたくさんあると思います。

――木村さんご自身はどんな小学生でしたか。

小学校、中学校のときはずっとサッカーをしていました。兄の影響で楽しそうだなと思って始めたことがきっかけです。スポーツは好きでしたが、体育の成績はそれほどでもなかったですね。長距離は得意なんですが、短距離が苦手で……(笑)。

中学のときサッカー部のキャプテンになったのですが、まとまりがないチームで、部員とケンカして負けてしまい、「強くなりたい」と思ってボクシングを始めました。最初は「ケンカに勝って見返してやりたい」という気持ちだったんですが、始めてみたらボクシングは自分との戦いであることに気づいたんです。がんばったらがんばった分だけ自分に返ってくるし、サボったらサボっただけそれもはっきりと出てしまう。僕にはそういうスポーツが合っていました。

――ボクシングをやめたいと思ったことはありますか。

何度かありますよ。試合に負けたときや、なかなか試合が決まらないとき、「この先、厳しいかな」と思ったことはあります。でも、やっぱりボクシングが好きですし、目の前の目標に向けてがんばることにやりがいを感じたのでやめずに続けました。ボクシング以上のものに出会えなかったとも言えますね。

目標に向かってがんばり続ける。努力する過程に意味がある

――商社に勤めながらボクサーとして活動するのは並々ならぬ努力が必要だったと思います。そうした粘り強く、努力できる人に育ってほしいと思う親御さんも多いと思います。

そもそも商社に勤め始めたのは、ボクシングのため。社会に揉まれることで精神面を強くしたかった。だから意識としてはボクシングがメインで、仕事はサブ(笑)。終業後は飲み会に誘われても断ってジムに通っていました。「強くなりたい」という目標が定まっていたので、「この行動をとったらその目標に近づけるのか?」という基準で常に動いていましたね。むしろ仕事のストレスをボクシングで発散し、次の日には気持ちをリセットできたので、二足のわらじを履くことがたいへんだったという思いはありません。

――目標がはっきりしていれば、それに向かって努力することは苦ではないんですね。ただ、お子さんのなかには何が自分に向いているのか、どんな目標を持てばいいのかもわからない場合があると思います。親御さんはどのようにサポートすればいいでしょうか。

親御さんはまず機会を与えてあげることが大切だと思っています。親の影響を子どもは思った以上に受けます。「やってみれば」ときっかけを与えてあげることでのめりこむかもしれないし、そうでなければ別の違ったものを提供すればいい。まずはチャンスを与えてあげていただきたいですね。

――望ましい結果が出るかどうかは別として、ということですね。

勝つこと、チャンピオンなることは素晴らしいことではありますが、それよりも努力する過程に意味があると思います。僕自身、中学生でボクシングを始めたばかりのときは、「プロになりたい」「世界チャンピオンになりたい」なんて全然考えていませんでした。夢として「世界チャンピオン」を掲げたときもありましたが、そうすると自分の立ち位置と目標にギャップがありすぎてうまくイメージできない。それよりも高校に入ったら「高校チャンピオン」、大学では「アマチュア日本一」、その後はオリンピック、プロ……と、置かれる立場が変われば目指すものは自ずと見えるようになります。 たとえ目標が達成できなかったとしても、目標に向かって日々がんばってトレーニングを続けたという経験は、別の世界に行っても必ず役立つと思っています。

――まずはその第一歩として、こうした体験教室に参加してみることもひとつのチャンスですね。

はい。ボクシングを通してあきらめない心やチャレンジする楽しさをぜひ体験してもらいたいと思います。お子さん自身、自分が変わっていくのがわかりますし、親御さんも変わったと実感できると思います。

《お知らせ!!》
木村悠さんが講師を務める「元世界チャンピオン 木村悠のキッズ ボクシング体験会」が11月19日(日)に開催されます!幼児(4歳以上)〜小学生まで対象で、グローブレンタル付き。ぜひこの機会に、本格的なボクシンググローブでのミット打ちにチャレンジしてみませんか? 申し込みは先着順ですので、お早めに!

[開催日]11月19日(日)
[第一部(幼児クラス)]
12:00〜13:00 (11:30集合、対象:幼児(4〜6歳)、定員:15名)
(11:30)受付開始 (12:00)レッスン開始 (13:00)レッスン終了、記念撮影 (13:30)解散
[第二部(小学校 低学年クラス)]
14:00〜15:00 (13:30集合、対象:小学1〜3年生、定員:15名)
(13:30)受付開始 (14:00)レッスン開始 (15:00)レッスン終了、記念撮影 (15:30)解散
[第三部(小学校 高学年クラス)]
16:00〜17:00 (15:30集合、対象:小学4〜6年生、定員:15名)
(15:30)受付開始 (16:00)レッスン開始 (17:00)レッスン終了、記念撮影 (17:30)解散
[会場]東京都渋谷区恵比寿のジム(詳細はご予約完了メールにてお知らせいたします)
[対象]幼児(4歳以上)〜小学生
[参加費]3,000円(グローブレンタル付き)/各回
[持ち物]運動できる服装、軍手、タオル、着替え、飲み物など
[申し込み]https://sports.epark.jp/events/20

[プロフィール]
木村悠(きむら・ゆう)
1983年生まれ。千葉県出身。大学1年でボクシングアマチュア日本一になり、その後世界チャンピオンを目指してプロに転向、帝拳ジムでプロデビューを果たす。自分を変えたいと思い商社に勤めながらのボクサー生活を選択、商社マンボクサーとなる。第37代日本ライトフライ級王者。第35代WBC世界ライトフライ級王者。戦績は22戦18勝(3KO)3敗1分。現在はボクシングでの経験を活かして執筆や講演活動を行なう
【オフィシャルHP】http://y-kimura.com/

[取材・撮影協力]
GLOVES グローブス
東京都世田谷区用賀4-12-12 Hiro’s用賀 2.3.4F
03-6447-9128
http://glovestokyo.com/

<Text:安楽由紀子/Edit:アート・サプライ(丸山美紀)/Photo:小島マサヒロ>