2020年4月6日

子どもの「心の知能指数(EQ)」を高める方法とは。“非認知能力”を鍛える運動遊びを専門家が紹介 (1/2)

 新学習指導要領により、「非認知能力」を育成していくことが求められるようになりました。非認知能力とは、学力のように測ることができるものではなく、友達と仲よくしたり、物事を我慢するといった、数値では測れない能力の総称のこと。小さい頃からこのような非認知能力を培っていかないと、孤独でいることを望む子に育ったり、自分さえよければいいという考えが強い子になるかもしれません。

 「三歳児神話」「三つ子の魂百まで」というように、小さい時期の教育は一生を左右する大事なものです。「まだ小さいから」といっておろそかにしていてはいけません。では、どうアプローチすればよいのでしょうか。

運動遊びで非認知能力を高める

 幼児体育の世界では、幼児体育よりも運動遊びを行わせた方が、子どもの運動能力が育つということが研究により明らかにされています。大人が教え込むよりも、遊びの中で学んだ方が身につきやすいのです。非認知能力についても、大人が「ああでもない、こうでもない」と指導するより、遊びの中で仕向けた方が身につくでしょう。

関連記事:スポーツ教室に通っていない子どものほうが、運動能力が高い?

 たとえば、2人組で手をつないで行う手つなぎ鬼。自分勝手に好きなように逃げようとすると、息が合わずに遅くなってしまいます。少し我慢してスピードを落とすなど、2人で協力した方がスムーズに逃げることができるでしょう。そうした経験を遊びの中で積めるよう仕向けていくことで、非認知能力を学んでいくことができるのです。

 何となく遊ばせたりするのではなく、こうした意図を持って遊びを提案していくと、子ども達は遊びの中で友達を大切にするようになります。ここでは、そのような遊びについて具体例を挙げながら紹介します。

非認知能力を育てる運動遊び

手つなぎ鬼シリーズ

・「手つなぎ鬼」

鬼は最初1人。逃げる子は触られたら鬼と手をつなぎ、4人になったら2人と2人に分裂していく。ほかにも、鬼も逃げる子も2人組のペアで手をつないで行う、鬼は単独で逃げる子はペアで手をつないで行うなどのアレンジも可。

・「子増やし鬼」

鬼は最初1人で、逃げる子は触られたら鬼と手をつないで、分裂せずどんどん連なっていく。

・「がっちゃん鬼」

鬼は1人、逃げる子も1人、そして2人ペアの子どもを用意する。ペア組は動かずにいる。逃げる子がペア組のどちらか1人の手をつないだら、手をつながれていない子は離れ、今度はその子が鬼から逃げる役となる。どんどん逃げる子が変わる鬼ごっこ。

・「ことろことろ」

逃げる子は縦一列で肩に手をつないで並び、1番後ろの人を鬼に触らせないようにする。

・「ぐるぐる鬼」

「ことろことろ」の円形バージョン。みんなで手をつないで円を作り、円の中の1人を鬼に触らせないように回りながら守る。円は中心が移動しないようにその場で回転する。

助け鬼シリーズ

・「ケイドロ」

警察と泥棒に分かれて鬼ごっこをする遊び。

・「氷鬼」

鬼と子に分かれて逃げる。鬼に触られた子は“凍る”ため、ほかの子にタッチされるまで動けない。

・「木鬼・馬とび鬼」

助けるときに股の下をくぐったり、馬になって飛び越えたりすることで助ける行為を楽しくする。

・「バナナ鬼」

鬼に触られると“バナナ”のポーズを取り静止。ほかの子に“皮をむいてもらう”まで動けない。2人に助けてもらうようにするとよい。

・「レンジでチン」

氷鬼の派生版。凍った子を助けるには、他の子が“レンジで解凍”しなければならない。助けてもらうときは、他の2人が手をつないで囲み、「チン」と言って下から上に腕を振り上げ「解凍」する。

次ページ:まだまだ紹介

1 2