「もう野球をやめたい」という息子の一言に母が返した言葉は。埼玉西武ライオンズ山川穂高(後編)│子どもの頃こんな習い事してました #2 (2/2)
ないです。やりたいことをやってください、と。サッカーでもいいですよ。僕自身が強制されたことがなく、ただ野球が好きでやって、ピアノも好きでやって、好きなことを続けてここまできたので、僕から強制することは絶対にしない。まず自分でやりたいと思ったらやってみて、本人が楽しいと思ったら続けるだろうし、やめるならそこまで。
子どもへの過剰な期待はだめ。必要なのは陰からのサポート
――山川選手の親御さんが野球に関して「続けなさい」と言ったことはない?
僕は一人っ子で母親と2人家族。お母さんは僕が「グローブがほしい」と言ったら買ってくれましたし、試合を見に来たりしてくれてましたが、何か言われたり強制されたりしたことは1度もない。そもそも僕も「野球をやめたい」と言ったこともなかった。あ、1回だけあります、本気で「野球をやめたい」と言ったこと。高校1年のとき、上下関係が厳しすぎて、「まじでやめたい」と言いました。そのときもお母さんは「別にいいよ~」って。
ただ、1年生だけの大会の直前だったので「それだけ出てみたら」と言われて。その試合を最後にやめるつもりで出たら、そこで人生初のホームランを打ったんです。ちゃんとした球場で初めてのホームラン。それで「やっぱり続けよう」と思い直しました。あの1本がなかったら、野球やめてました。
――親は子どもに過剰な期待や強制はしないほうがいいんですね。
絶対やめたほうがいい。陰でこっそりサポートしてあげることはいいことだと思うけど、期待しすぎることでいいことは一個もない。親が強制しちゃうと、子どもは言うこときくしかなくなりますよね。もしサッカーの天才なのに野球を無理やりやらせたらどうするんだって思います。
――逆にうまくいかないときも陰で見守るだけでいいのか、何かアドバイスをしたほうがいいのか……。
見守るだけでいいと思います。僕のお母さんはそうでした。僕の奥さんもそういう人です。アドバイスなんてもってのほかです。そんなこと言われたら、自分の気持ちとしては「じゃ、やってみろ」となっちゃう。子どもにそう思われたらよくない。でも……、野球の経験があるお父さんのアドバイスなら、もしかしたら聞くかもしれないですね。
――ありがとうございました。最後に、今シーズンの目標と選手としての目標を教えてください。
数字的な目標は言うべきではないと思います。ただ、今年の残り試合での目標は、4番にずっと座り続けたい、これが本当の心境です。4番はチームの顔といいますか、12球団で12人しかいない場所。今シーズン最初は6番から始まって、5番になって4番になった。ライオンズの重量打線のなかで、打てなければすぐ5番6番になりますから。常に活躍して4番で使われる、今の目標はそれです。
将来的な目標はホームラン王です。来年とらなきゃいけないと。試合に出続けて、自分を信じて突き進めばいけると思っています。
[プロフィール]
山川穂高(やまかわ・ほたか)
1991年生まれ、沖縄県那覇市出身。沖縄県立中部商業高校では高校通算27本塁打を放つが甲子園出場経験はなし。富士大学に進学し、日米大学野球選手権やアジア野球選手権の日本代表に選ばれる。2013年ドラフト2位で埼玉西武ライオンズに入団。2017年8月、初の月間MVPを獲得。背番号33
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「いやいやながら続けた書道だけど、今思えばとてもよかった」。埼玉西武ライオンズ山川穂高(前編)【子どもの頃こんな習い事してました #2】 | 子育て×スポーツ『MELOS』
<Text:安楽由紀子+アート・サプライ/Photo:玉井幹郎>