インタビュー
2022年7月28日

習い事はピアノ、英会話、書道。たまたま出会ったクライミングにハマってしまいました。スポーツクライミング・野口啓代(前編)|子どもの頃こんな習い事してました #31 (4/4)

高校になって初めて自発的に計画を立ててトレーニング

――高校受験はクライミングを意識して志望校を決めたのでしょうか。

高校に入ってからも海外遠征があることを想定して、競技に理解のある私立高校に進学しました。

――高校1年生のときに世界大会に出場しました。

はい。16歳の時に世界選手権に出場することになり、初めて自発的にトレーニングの計画を立てました。それまでもユースの大会には日本代表として出ていたんですが、このときは世界で一番大きな大会。日本代表として日の丸をつけて大会に出ることに責任というか、「ビリにはなれない」「予選落ちしたら恥ずかしい」といった気持ちがあって、それまでの何倍も練習しました。

学校から帰ってきて家でトレーニングして、夜ご飯を食べてからまたトレーニングに行ったり、走り込んだり。自分が考えたトレーニングに励んで、結果3位に入賞できた。やってきたことが実になったという達成感を得られたし、もっと頑張ればもっと上にいけるんじゃないかというやりがいも感じました。世界大会に出たことで、自分の中で世界が広がった。これが転機となり、本格的にクライミングにのめり込んでいきました。

――この時にプロ選手になろうと考えた?

いや、まだプロになろうとは思っていなかったです。まずは「世界一になりたい」という夢が見つかったという段階。高校のときはずっと2位にしかなれず、大学1年生の夏に初めてワールドカップで優勝しました。そこで初めて「この先どうなるかわからないけれど、自分にはこれしかない」と覚悟が決まり、大学を中退しました。

後編:父も58歳でクライミングを再開、子どもに限らず何歳から始めても楽しいし上達できるスポーツです。スポーツクライミング・野口啓代(後編)

[プロフィール]
野口啓代(のぐち・あきよ)
1989年生まれ、茨城県出身。小学5年生の時に家族旅行先のグアムでフリークライミングに出合う。その後数々の国内外の大会で輝かしい成績を残し、2008年、日本人として初めてボルダリング ワールドカップで優勝。2018年にはコンバインドジャパンカップ、アジア競技大会で金メダル。2019年世界選手権で2位。2021年、東京オリンピックで銅メダルを獲得し、引退。現在はクライミングの普及に尽力する。

<取材・撮影協力>
J&Sボルダリングジム 恵比寿店
https://www.js-bouldering.com/

<Text:安楽由紀子/Edit:丸山美紀(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>

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