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サーファーじゃなくて、サッパー!?┃連載「甘糟りり子のカサノバ日記」#4

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 アラフォーでランニングを始めてフルマラソン完走の経験を持ち、ゴルフ、テニス、ヨガ、筋トレまで嗜む、大のスポーツ好きにして“雑食系”を自負する作家の甘糟りり子さんによる本連載。

 第4回となる今回は、鎌倉在住で自身も楽しむサーフィンと、最近人気が高まりつつあるサップについて。

サーフィン好きの間にも、微妙な意識の違いが

 サップをやる人のことは、「サーファー」ではなく「サッパー」と呼ぶ。新しい年が始まったばかりなのに恐縮ですが、私が昨年もっとも驚いたことです。サーファーじゃないんだ……。

 確かに、サーファーって、ただ単にサーフィンをする人を指すわけでないかもしれません。サーフィン的ライフスタイルを生きている人、といったニュアンスでしょうか。例えば、何よりも波を気にして海を愛して、Tシャツ&タンクトップ、ビーサンが最高のおしゃれで、恋愛関係はちょっとだらしなく、社会的な上昇志向なんかには興味がなくて、みたいな。

 昨今の男性ファッションが取り上げている都会的なウィークエンド・サーフィンとは一線を画しています。ボルボのワゴンとかオメガのダイバーズ・ウォッチは、彼ら彼女らの生活には必要ない。もっと原始的に海を接しているのが「サーファー」です。まあ、私の勝手な偏見ですけどね。

 長いこと海のそばで暮らしているので、私の知り合いには「サーファー」もたくさんいますが、「趣味としてサーフィンをするけれどサーファーを自称しない人」もそれなりにいます。この微妙な違い、わかっていただけるでしょうか。

 で、サッパーです。

 ご存知の方も多いとは思いますが、サップ(SUP)とは、スタンドアップ・パドル・サーフィン(Stand Up Paddlesurfing)の略。大きめな板の上に立って、パドルで漕いで海の上を移動したり、時には波に乗ったりするスポーツです。通常のサーフィンだと波に乗れるようになるまでそれなりの時間と鍛錬が要りますが、サップはたいてい誰でもすぐ楽しめます。サーフィンに比べて、運動神経やライフスタイルの間口が広いといえましょう。ですが、ボードが大きく、ボードに加えてパドルも必要で、用具にはサーフィンよりお金がかかる。そのせいか年齢層も高いのが特徴です。

▲筆者のサーフボード

 ここ5、6年前から急激にサップが増え続けているようです。昨年は、私と同年代の友人が続々とサップ・デビューしました。みんな、それぞれ東京から逗子や鎌倉のショップに通い、海に入っています。

 一人は、これまでまったく運動に興味のなかった女性。気分転換に海に誘われ、暇つぶしにサップをやってみたらハマってしまったんだとか。もう一人は、体育会系のチームスポーツをやっていた男性。海の上でかなり遠出をしているそうです。ゴルフしかしていなかった男性がダイエットを兼ねて始めた、というパターンもあります。海から上がった後、ビールと焼き肉で打ち上げをするそうなので、あまりダイエットにはなっていないようですが。

 そして、最後の一人が、かつて「丘サーファー」だった男性。そう、‘80年代に六本木にうようよしていたパチもんサーファーです。ほとんど波に乗らない(というか、乗れない)のに、ショートボードをこれ見よがしに車にくくりつけて、ディスコやカフェバーの前を流していた彼ら。オキシフルで脱色した髪の毛、ひげ、パンタロンみたいなジーパン(当時はデニムなんて言いませんから)で夜な夜な活動していた男性が、何を思ったのか、サップを始めたというのです。

「30年かけて、丘サーファーからサーファーになったんだ!」

 私がからかうと、「いやあ、オレはサーファーじゃないし。サッパーだからさあ」、というではありませんか。

サ、サッパー? フリースタイルダンジョンに出ている人たちではありませんよ。

 私も、ボードは持っておりますが、サーファーではありません。でも、海の気持ち良さはわかります。波に乗れた時の、あの異次元の浮遊感はなかなか他のスポーツでは味わえない。もうブランド物のバッグも高いワインも欲しくない! てな感じになるんです。でも、まあ、うちに帰ってシャワーを浴びると、砂と一緒にそんなピュアな気持ちも流されていくわけで。これが気分転換というものなんでしょうね。

 暖かくなったら、また海に入りたいです。サッパーにもなってみようかな。

[プロフィール]
甘糟りり子(あまかす・りりこ)
神奈川県生まれ、鎌倉在住。作家。ファッション誌、女性誌、週刊誌などで執筆。アラフォーでランニングを始め、フルマラソンも完走するなど、大のスポーツ好きで、他にもゴルフ、テニス、ヨガなどを嗜む。『産む、産まない、産めない』『産まなくても、産めなくても』『エストロゲン』『逢えない夜を、数えてみても』のほか、ロンドンマラソンへのチャレンジを綴った『42歳の42.195km ―ロードトゥロンドン』(幻冬舎※のちに『マラソン・ウーマン』として文庫化)など、著書多数。『甘糟りり子の「鎌倉暮らしの鎌倉ごはん」』(ヒトサラマガジン)も連載中。

<Text:甘糟りり子/Photo:Getty Images>

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