東京マラソンの不思議。リタイアランナーを乗せる「収容バス」、なぜ「はとバス」が担うのか? (3/3)
「下げたバスのステップすら疲れきって登ることができないランナーもいらっしゃいます。そういうときはゆっくり乗車していただきますので、もう1台の収容バスに先に出発してもらうなどドライバー同士、その場で状況を判断して、2台でロスなく運行するというところに気を配りますね」(三角さん)
また、タイムリミットぎりぎりで走るランナーの後ろを行く収容バスは、それこそ歩くようなスピードで運転する。時速1キロ、2キロの運転となり、普通走行時よりも高い運転スキルが必要で、さらに安全に気を配る緊張感を持続し続けるのだそうで、これはフルマラソンを走るランナーに負けないぐらい疲れるお仕事では。ドライバーさんは走行中にどんなことを考え、感じているのでしょう。
「自分も実は楽しいと言えば楽しい……、なんて言えばいいんですかね(笑)。交通規制された道で、応援されている方々の歓声が響き渡るあの雰囲気の中、最後尾につく収容バスを運転する。私はランナーではないですが、沿道の声援をバスからランナーの目線と同じように観られることはすばらしいのかなと思います。銀座を通り、東京駅を抜けて中通りを走るところとか、観客がすごく多いなって思ったんですね。これまでと違って華やかだなぁって、運転しながら、あーすごいって」(三角さん)
「去年初めて担当させていただいて、フィニッシュ目前の日比谷通りから皇居を走るときに応援の方がたくさんいて、運転している私もなんだか勇気づけられて(笑)。7時間、緊張感を持って走っているので、最後にたくさんの声援があると私も力が出てきました」(柳さん)
▲柳さんは東京マラソン2017で収容バスの運転を初体験。ランナーと沿道の声援の雰囲気にパワーをもらったそう
収容バスを運転するドライバーさんも、マラソンのスタートからフィニッシュまで、制限時間の7時間をランナーと同じように走り続けています。各関門で閉鎖のロープが張られる瞬間では、ランナーの通過を心の中で応援してしまうとも。大会前日には大量に届く水や毛布などの配布物を、50台を超えるバスに積み込む大変な作業もみなさんで手分けしてされるのだそうです。かなりの重労働です!
最後に、はとバスのみなさんから東京マラソン2018を走るランナーに応援のメッセージを頂きました。
「ぜひ、はとバスには乗らないように、完走していただければいいなと思います。我々はそれだけ希望していますので、よろしくおねがいします」(武藤さん)
「天候がどのようになるか分かりませんが無理せず、でもやはりはとバスには乗らないように(笑)。ケガされないように頑張ってください。応援しています」(三角さん)
「やっぱりはとバスに乗らないように、ぜひ完走していただけたら。大会全体が盛り上がって終われれば、自分も後ろで走ってて良かったなと思えるので、頑張ってください」(柳さん)
「せっかく当たったんですから、楽しんで走ってください。どうしてもダメになったら、いつでも収容バスにご乗車ください。待ってます」(石川さん)
東京マラソン2018ではドライバー62名、各ドライバーに指示を出す本部に3名、各関門にもスタッフ15名ほどが収容バス運行業務に就くとのこと。また、当日のマラソン祭にもテントブース(今年は芝公園)を出展し、バスガイドさんたちが大会を盛り上げるそうです。ランナーを応援しに沿道に出かける方はぜひ、多大な努力と心配りとともに収容バスでランナーをサポートするはとバスのみなさん、とくにドライバーさんにも声援を送ってくださいね!
《関連サイト》
・はとバス
https://www.hatobus.co.jp/
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<Text & Photo:京澤洋子(アート・サプライ)/Photo:はとバス提供>