2018年7月14日

【クロッケー】ゲートボールの原型といわれる球技。歴史・ルール・体験会|一度やってみたい!珍しい海外スポーツ #7

 国内ではあまり競技人口の多くない海外スポーツを取り上げ、その特徴やおもしろさをご紹介する本連載。今回は「芝生の上のビリヤード」と呼ばれ、またゲートボールの原型でもある球技「クロッケー」です。いったい、どのようなスポーツなのでしょうか。また、国内でイベントや体験会は実施されているのかなど、詳しく見ていきましょう。

ゲートボールとの違い

 クロッケーは芝生のコートで行われる球技です。日本では高齢者向けのスポーツとして知られる「ゲートボール」の原型とされています。14世紀に南フランスの農民たちが行っていた「ペル・メル(Paill Maill)」という球戯が起源とされ(諸説あり)、イギリス連邦諸国に広まっていく過程で、現在のクロッケーへと進化を遂げました。

 クロッケーが日本に伝わったのは明治時代とされ、その後、日本独自にルール化されていったのがゲートボールです。クロッケーもゲートボールも、基本的にはボールをフープ(ゲートボールでいう“ゲート”)に通すスポーツという意味では変わりありません。ただし実は、両者には大きな違いがあります。それは、プレイヤーの人数とボール&フープ(ゲート)の数です。

<ゲートボール>
・1チーム:5人
・ボールの数:10個(1人1球)
・ゲート:3つ

<クロッケー>
・1チーム:1~2人(シングルスorダブルス)
・ボールの数:4個(シングルスの場合は1人2球、ダブルスは1人1球)
・フープ:6つ

 クロッケーは、ボールとマレット(ゲートボールでいう“スティック”)がゲートボールより重いという点も特徴です。そのため、正確に打つ必要がある場合はボールに向かって正面に立ち、マレットを股下から振り子のように振ります(=正面打ち)。

 クロッケーで使用されるボールには青・黒・赤・黄の4色があり、プレイヤーは事前に選んだボールを扱います。カラフルなボールを打ち、決められた順番で特定の箇所へ狙う。まるでビリヤードのようではないでしょうか。このような競技特性から、クロッケーは「芝生の上のビリヤード」とも呼ばれているのです。また、クロッケーは、体力的なハンディキャップがほとんどない球技となっています。そのため、ゲートボールと同様に老若男女が楽しめるスポーツです。

「ゴルフ・クロッケー」と「アソシエーション・クロッケー」

 クロッケーは厳密にいうと「ゴルフ・クロッケー」と「アソシエーション・クロッケー」に分かれます。コートセッティング(コートの広さ、フープの数や位置)は両者とも同じですが、細かいルールが異なります。以下、その違いをご紹介します。

<勝負の決まり方>

◎ゴルフ・クロッケー
7ポイント(4ポイント先取)、13ポイント(7ポイント先取)、19ポイント(10ポイント先取)のいずれか
※1つのフープを通過すれば1ポイント

◎アソシエーション・クロッケー
自分のチームの2つのボールがすべてのフープを通過し、そして最後にコート中央にあるペグに早く当てたほうが勝ち

<フープの通過について>

◎ゴルフ・クロッケー
4つのボールは常に各フープの(最初の)通過を目指し、いずれかのボールがそのフープを通過したら、打順に沿って次のフープの通過を狙う。

◎アソシエーション・クロッケー
各ボールは6つのフープを決められた順番で2回ずつ通過しなければならない。つまり、ボール1つにつき合計12回のフープ通過が必要になる。

<アソシエーション・クロッケーにおける特別ショット>

◎追加ショット
プレイヤーがフープを(正しい順序と方向で)通過させた場合、引き続きもう1回ショットできる。

◎クロッケー・ショット
接触させた2個(場合によっては3個)のボールのうち自分のボールを打ち、それぞれのボールをコート上の好きな位置に転がすショットのこと。

◎コンティニュエーション・ショット(継続ショット)
クロッケー・ショットの後に許されている1打。これをまだ当てていない別のボールに当てたり、フープを通過させたりすれば、再度追加ショットの権利が手に入る。

※ゴルフ・クロッケーでは原則1ストロークで終了となるため、上記のショットは認められない。
※日本クロッケー協会公式ホームページ「ゲーム内容」より情報抜粋

協会ホームページでイベントカレンダー公開中

 日本クロッケー協会のホームページでは、2018年のイベントカレンダーを公開しています。夏場は実施していないようですが、9月以降は毎月どこかで体験会を実施している様子。また、同協会はFacebookページも運営しており、過去の投稿を見ると東京都の国営昭和記念公園で多く体験会を実施しているようです。興味のある方は、ぜひ情報をチェックしてみましょう。

参考サイト
日本クロッケー協会 公式ホームページ  
日本クロッケー協会Facebookページ

<Text:松永貴允/Photo:Getty Images>