金メダルは「銀」でできてるってホント?人に話したくなるオリンピック雑学 (3/3)
――デザインの発表後にTwitterの反応を確認したら「クッキーみたい」「ジャムを乗せたら美味しそう」との声がありました。
僕も見ました(笑)。これはおもしろいな、と思いました。でき上がったメダルを見て、僕もそう思ったんです。サザエのフタ、という意見もあって、おもしろいことを言うなと。美味しそう、というのは自分でも思いました。でもそれって、別に悪い意味じゃなくて、人間が直感的に感じることなんですよね。
金属でメダルをつくることの意味に思いをめぐらせ、金属だけれども金属っぽくない、という意識でデザインすることを考えていました。金属であるけれど静かになり過ぎないよう、光を当てたときにキラキラと反射させるようにしたり。
――温かみを持たせたり、ということもそのひとつでしょうか。
そうですね。
メダルリボンにも注目!ポイントは?
首に垂らしたときの長さは475mmほど。そのデザインについて、当時の文化庁長官であった宮田亮平氏は「藍と紅を基調とした日本らしい組市松模様にしました。色彩感があり、多様性が調和しています」と説明していました。実は歴代のオリンピアンに、過去の大会で獲得したメダルを持ってきてもらったとき、リボンがくしゃくしゃになっているメダルも少なくなかったそう。そこで、しっかりとした耐久性のある、肌にも馴染みのあるリボンにした、と明かしました。
さらに、ケースにもこだわりがありました。国産のタモ材を使い、日本の伝統色である藍色を採用。木目を生かしつつ、真ん中には浮き彫りでエンブレムを入れています。古来の工芸技術で、手作業でつくっているとのこと。
円形のフタと本体は磁石でくっつく仕様。メダルをディスプレイできるよう、ケースの側面には傾斜がついており、最適な角度で安定して置いておくことができます。心憎い演出ですね。
国産のタモ材を使ったメダルケース。製造/デザイン:株式会社山上木工/吉田真也(SHINYA YOSHIDA DESIGN)
※本記事はMELOSで公開された記事「「オリンピック」、名前の由来は?選手村ってどんなところ?オリンピック雑学まとめ【スポーツ雑学百科】」と「東京五輪メダルデザイナー川西純市さん直撃。デザインに込めた思い、「クッキーみたい」というネットの反響にも回答」を再編集したものです。
<Edit:編集部/Text:アート・サプライ/Photo:Getty Images>