なぜ女性は睡眠の質が落ちやすいのか。原因と12の対策
OECD(経済協力開発機構)が、2021年に発表した調査データによれば、日本人の平均睡眠時間はOECD加盟国の中でも最下位の7時間22分でした。
いかに日本人が眠れていないかが分かりますね。
加えて、熟睡感がない、夜中に何度も目が覚める、日中に強い眠気を感じるなど、睡眠に関する悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
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とくに、今回は女性の睡眠について考えていきましょう。
日本の女性は世界でもっとも睡眠時間が少ない
OECDが2021年に調査したOECD加盟国における男女の平均睡眠時間比較を見ると、日本の女性は世界で平均睡眠時間がもっとも短く、世界で一番寝ていないことが判明しています。
世界的には、男性より女性の方が睡眠時間が長い傾向が見られますが、日本では男性より女性が13分短い結果となりました。
日本人女性の睡眠は、どのように改善していけばよいのでしょうか。
女性は睡眠の質が落ちやすい
株式会社ブレインスリープは睡眠に関する女性ならではの特徴として、女性ホルモンとライフステージの存在をあげています。
まず、女性ホルモンの量は女性の睡眠に大きく影響を及ぼすもの。月経前には日中の眠気を感じる方も多いでしょう。
さらに、ライフステージに伴って、女性ホルモンの量が変化することからも、睡眠の質は変わりやすいといいます。妊娠中には日中の眠気や不眠、出産後は睡眠不足、そして更年期には不眠になりやすいという特徴があるそうです。
女性は月経周期に連動して、月単位でも体に大きな変化が生じています。1か月の中での女性ホルモン量や体温の変化、そしてたった1日の中での体温変化など、女性は常に心身の変化に寄り添った日々を過ごしています。
どうしてこのような変化が生じるのでしょうか。
月経周期
たとえば、排卵が終わってから月経が開始するまでの期間「⻩体期」には、女性ホルモンの1つ「プロゲステロン」の分泌量が増加します。
これにより、月経が始まってから排卵までの時期「卵胞期」と比べ、0.3〜0.4°Cの体温上昇が起きるため、寝付きが悪くなるそうです。
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妊娠
出産前後の女性の6割は、中途覚醒や睡眠の質低下といった症状がみられます。また、妊娠中は睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群などのリスクが高まります。
・妊娠初期:眠気が強くなる(プロゲステロンの影響)
・妊娠中期:眠気改善
・妊娠後期:不眠が出現しやすくなる(子宮の増大・収縮や胎動、頻尿、腰痛の影響)
出産
出産による急激なホルモンバランスの変化、過度の疲労によって「マタニティブルーズ」という情緒不安定な状態が起こることも。眠れない、食欲がない、涙がすぐに出てしまうなどの症状がみられます。
睡眠と抑うつ症状には相互に強い関わりがあり、まとまった睡眠が取れないことで、産後うつにつながりやすくなります。
更年期
女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少することにより、不眠が増加します。
閉経後には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)やむずむず脚症候群も増加するといわれており、睡眠時無呼吸症候群は、女性ホルモンの低下による脂肪組織の増加、呼吸中枢への作用の抑制などが原因と考えられています。
睡眠時間が少ないなら、睡眠の質を高めるのも手
子育てや仕事など、多忙な日本の女性。睡眠時間をのばすことは難しいという方は多いでしょう。そんな方は、睡眠の質について考えてみませんか?
ブレインスリープによれば、睡眠の質を上げるには入眠直後のおよそ90分間、一番深いノンレム睡眠がとれる「⻩金の90分」が重要とのこと。
この90分間には「脳と体の休息」「記憶の整理・定着」「ホルモンバランスの調整」「免疫力アップ」「脳の老廃物を取る」といった、睡眠において重要な5つの生理現象が特に活発に行われます。
質の良い睡眠をとるための12か条
睡眠について悩みがある方は、寝る前のスマホをやめる、夕方以降は部屋を暗くするなどし、「⻩金の90分」を意識した生活に移行してみてはいかがでしょうか。
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<Text:辻村>