腕立て 呼吸
フィットネス
2023年12月8日

腕立ての正しい呼吸方法。「息止める」のはダメ?[トレーナー監修]

筋トレの王道メニューである腕立て伏せですが、ガムシャラにやれば良いというわけではありません。そう、腕立て伏せの効果を最大化させるには「呼吸」が重要なのです。

本記事ではトレーナーさん監修のもと、腕立て伏せの正しい呼吸方法を解説します。息が上がる人に向けてのアドバイスなどもご紹介します。

腕立て伏せの正しい呼吸方法

腕立て伏せの正しい呼吸方法としては、体を下げる時に「鼻から息を吸う」・体を持ち上げる時に「口から息を吐く」ということを意識してください。呼吸方法次第で、腕立て伏せの効果を最大化できるでしょう。

筋トレ中は、コンセントリック(筋肉を収縮させる運動)の局面で息を吸うことをおすすめします。こうすることで、筋肉へ酸素供給がなされ、力を十分に発揮できます。

腕立て伏せの正しい呼吸方法

息は吸う時より、息を吐く時に意識を集中すると、呼吸のタイミングを取りやすくなるでしょう。

また、筋トレ中は、鼻から吸って口から吐くようにしましょう。鼻から吸うことで、大量に酸素を取り込めます。また、鼻呼吸にすることで吸い込んだ空気が適度に加湿されてウイルスや雑菌を吸い込みにくくなり、肺への負担が少なくなります。運動中は息を吐く量が増えるため、吐くときは口から一気に吐いたほうが楽です。

\腕立て伏せの動きを動画でチェック/

腕立て伏せ(ノーマルプッシュアップ)の動画のスクリーンショット

腕立てはどこに効く?

腕立て伏せは、上腕三頭筋(二の腕)・大胸筋などの上半身の筋肉に効くトレーニングです。また、全身の安定性の向上や心肺機能の活性化などにもつながる可能性があります。

腕立てで「呼吸が逆」だとどうなる?

正しい呼吸方法と逆のリズムで腕立て伏せを行うと、

  • 体が安定しづらくなり、フォームが崩れる
  • 筋肉への酸素供給が不十分になり、非効率的な筋トレになる
  • 疲労を感じやすくなる

といったデメリットが考えられます。

基本的に筋トレ時の呼吸は、コンセントリック(筋肉を収縮させる運動)の局面で息を吸うのがおすすめです。こうすることで、筋肉へ酸素供給がなされ、力を十分に発揮できます。

腕立てで「息を止める」のは良い?ダメ?

腕立て伏せを息を止めて行うのは、おすすめできません

息を止めることで、筋肉への酸素供給が出来なくなり筋肉が酸欠になります。筋肉が酸欠の状態でトレーニングを継続しても、エネルギーを生み出せず、効果的に筋肉を鍛えられないです。

また、呼吸を止めることで血圧が上昇し、心臓に負担をかけることになります。

「あえて」息を止めるトレーニング方法もある!

重いウェイトを持ち上げるトレーニングに挑戦する時、あえて息を止めることがあります。これは、腹圧を高めて体幹を安定させる目的があります。この方法は「バルサルバ法」と言います。ただ、自重トレーニングならば、バルサルバ法は必要ありません。

「腕立て伏せで息が上がる」「呼吸が苦しい」、原因と対処法

息が上がる・呼吸が苦しい「原因」

腕立て伏せは、上半身のトレーニングで「大胸筋」「上腕三頭筋」「三角筋」など複数の筋肉を使います。そのため、以下のことが起きます。

  • たくさんのエネルギーが必要となる
  • 筋肉が酸素を多く必要とする
  • 供給するために息が上がる

また、腕立て伏せをすることで、心拍数・心拍出量(左心室から体循環に対して1分間に拍出される血液量)の上昇により、呼吸数も速くなり、息が上がることがあります。

息が上がる・呼吸が苦しい「対処法」

運動により息が上がることは、当然のことです。だんだんと体がその負荷に慣れていくと、息の上りは改善してくるでしょう。これをホメオスタシス(恒常性)と言います。

しかし、過度に息が上がる・呼吸が苦しい場合は、呼吸方法が間違っている・トレーニング負荷が高すぎるという可能性も考えられます。

  • 正しい呼吸方法を確認する
  • 自分にあった負荷のトレーニングを行う

といった対処を行うと良いでしょう。また、ジョギング、サイクリングなどで心肺機能を高めると、腕立て伏せで息が上がらなくなるかもしれません。

「腕立て伏せで呼吸できない」、原因と対処法

腕立て伏せで呼吸できない「原因」

腕立て伏せで呼吸ができない原因として、体幹が弱いことが考えられます。

体幹の力が弱い人は、呼吸を止めることで体をまっすぐ保とうとすることがあります。そのため、腕立て伏せ中に呼吸ができていないのかもしれません。

腕立て伏せで呼吸できない「対処法」

腕立て伏せより負荷の低いトレーニングを継続し、筋肉をつけましょう。

  • 壁に手をつけて行う腕立て伏せ
  • ハイプランク(腕立てのスタートの姿勢)
  • 床に膝を着いて行う腕立て伏せ

などが初心者さんにはおすすめです。

腕立て初心者メニュー

少し慣れてきたら、少ない回数から腕立て伏せに挑戦してみましょう。この時、呼吸法は忘れないように要注意です!

正しい呼吸で腕立て伏せをやるコツ

コツ① 動作にあわせてリズムよく行う

呼吸と動作を連携させて、リズムよく呼吸を行うとしっかり呼吸できるようになるでしょう。

このとき重要なのは、呼吸リズムが早すぎたり、無理に息を吐き出しすぎたりしないことです。自然な呼吸を意識して、腕立て伏せを行いましょう。

コツ② 胸やお腹の膨らみを感じながら息を吸う

体を地面に近づける時に、胸や腹部が膨らむように意識して鼻から息を吸いましょう。意識することで、しっかり息を吸えます。また、吐く時もその分しっかり呼吸ができます。

息を吐き出す時は、口をすぼめて、腹部を引き締めるように口から息を吐くことで体幹に力が入りやすくなります。

筋トレと呼吸の関係性

「筋トレ」と「呼吸」は、密接に関連し、筋トレ効果に非常に関わっています

筋肉を動かす時には、酸素が必要になります。呼吸により、酸素が全身に供給され、筋肉まで必要な酸素が届くのです。筋肉に酸素が届くことにより、持続的にエネルギー供給でき、効率的に筋トレを行うことができます。

筋肉が酸欠状態になると、疲労しやすくなるため効果的なトレーニングが行えません。トレーニングを効果的に実施するためにも、正しい呼吸方法を身につけましょう。

監修者プロフィール

なか整形外科
スポーツナース 田中 悟志さん

NSCAーCSCS,認定スポーツナース、認定スポーツ救護ナースを取得。なか整形外科スポーツナースとして勤務中。筋出力を高める運動の指導を、地域の方へ行っている。

<Text:編集部>