競泳選手に必要な陸トレとは?北島康介を支えた3人の名トレーナーが集結した特別セミナー(小泉圭介編) (2/3)
「仰向けで足を上げたときは、お腹にグッと力を入れて足と骨盤をグラグラさせないことが大事です。足に抵抗をかけたとき、お腹に力が入っているか確認してください。この姿勢では、お腹を凹ませながら腹筋に力を入れた状態の方が足を止めやすいと思います。ウェイトトレーニングなどのときは、お腹を膨らませた方が体幹が固まりやすいんです。でも、バタ足のときは、凹ませた方が足と体幹が連動しやすいので、足にかかる抵抗を腹筋で受けとめることができるんですね。ということは、たとえば、スタートで水に入るとき突き刺さるように入れない人は、お腹を膨らませてしっかり体幹を固める練習を陸上でした方がいいですね。でも、バタ足をしているとき腰がぐらつく人は、陸上でお腹を凹ませて骨盤を固定する練習をしてから泳いだ方がいい」(小泉さん)
この動作を試すことで、お腹を膨らませた方が得意か、凹ませた方が得意かなど選手の体幹安定性の特性がわかるといいます。普段泳いでいる人も意識したいポイントになると思います。
水泳のポイントはやはり手と腕の使い方
水泳は数多あるスポーツの中でも、手を使って前に進む数少ないスポーツです。前に進むために大切なことは、手を挙げた状態でお腹にしっかり力を入れられることだといいます。
「うつ伏せになり、へそを浮かせるようにお腹に力を入れて、腰を反らせないようにして手を挙げます。手はY字程度に開いた状態で、床から浮かせましょう。難しいようなら肘を曲げて挙げる方が簡単ですが、必ず、お腹に力を入れた状態で手を挙げないといけません」(小泉さん)
お腹に力を入れたまま手を挙げられたら、今度はY字のポジションで床を押します。腹筋が使えている人は、床を押すときに力がお腹に伝わります。このとき、お腹より背中から腰にかけて力が入ってしまう人は、泳いでいるときも腰が反っていることが多いと考えられるそうです。
「泳いでいるときに腰が反らないようにするためには、背中の筋肉に負けないくらい強く早く腹筋が働いているかどうかがポイントになります。水を手でかくときに使うのは背中にある広背筋なので、この筋肉に腹筋が負けてしまうと腰が反ってしまうんです。もちろん、泳いでいる最中に腹筋を気にしていては泳げませんが、だからこそ泳ぐ前に腹筋をトレーニングして収縮しやすくすることが効果的です。また、バタフライの場合は、お尻も軽く締めて泳いだ方が、腰は反りにくいですね。お腹と同時にお尻の筋肉にも軽く力を入れると、骨盤が少し丸まる方向で固定されますし、同時に足が広がるのを防ぐことができます」(小泉さん)
やはりお腹とお尻の筋肉と脚力は、バランスが大事になるようです。脚力があるならば、負けないほどの腹筋を鍛えなければなりませんし、逆に腹筋があればそれを使う脚力をつけることが理想です。
手と足を最大限使うためのストレッチ
次は水をかく「手」についてです。水泳は手(腕)を回して前に進みます。そのためには正しい動きで、正しい位置に手を挙げる必要があります。