フィットネス
2018年2月19日

競泳選手に必要な陸トレとは?北島康介を支えた3人の名トレーナーが集結した特別セミナー(小泉圭介編) (3/3)

「実はジュニアの選手も、そもそもバンザイしたときにきちんと上まで真っ直ぐ手が挙がってないよという人も多いんです(笑)。特に肋骨の間が拡がらない、いわゆる猫背の選手が多い。肋骨の間がきちんと開けば手は挙がりやすいんですけど、動きが悪いので手が上まで挙がらない。しっかり手を挙げるためには、胸の前の部分が開くように動かすことが大事なんです。このときポイントになるのは広背筋です。広背筋が縮んでいると背中が丸まり腰も反ってしまうため、まずは広背筋をのばすことが重要です」(小泉さん)

 広背筋を伸ばすためには、2人組になって手を引っ張り合い、股関節を曲げて広背筋を伸ばすストレッチが有効になります。右手から左手。脇から腰を伸ばすイメージで実践していきます。このトレーニングは、水泳を意識したトレーニングともいえます。

「みなさん、スタート・ターンのときはどこの筋肉を使いますか? 飛び込み台ではブロックを蹴る動作、ターンの場合は壁を蹴る動作。どちらも共通して大切なのが、お尻の筋肉なんです。バタ足キック動作で最も鍛えられるのは太ももの前側ですから、スタート・ターンとは逆の筋肉になりますね。つまり、陸上の動作と水中の動作では使う筋肉が逆になるということなんです。泳ぎが上手なこととスタート・ターンの上手さが比例しないのは、この辺がポイントになります。なので、スタート・ターンが弱い人は、まず陸上でお尻のトレーニングすることが大切なんです」

 身体の前側だけでなく、後ろ側いわゆる大殿筋を鍛えるためのトレーニングが「壁押し」。膝を軽く曲げた状態で、お尻を使って前に押します。前に押すときに体幹を固定する腹筋の力、さらに手を挙げて押すので胸を開くように意識し、体幹と連動して大殿筋に力を入れることで効果が高まるそうです。

 実践に役立つトレーニングとともにセミナーが進む中、参加者のみなさんは真剣な表情でトレーニングに取り組んでいました。スクールで生徒に教える人、コーチとして選手に教える人など想いはさまざまですが、水泳に対する熱い想いが伝わるセミナーでした。

▼後編に続く!

競泳選手に必要な陸トレとは?北島康介を支えた3人の名トレーナーが集結した特別セミナー(田村尚之・桑井太陽編) | トレーニング×スポーツ『MELOS』

《関連サイト》
Perform Better Japan
https://www.performbetter.jp

<Text:松田政紀(アート・サプライ)/Photo:小島マサヒロ>

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