2018年4月16日

競泳選手に必要な陸トレとは?北島康介を支えた3人の名トレーナーが集結した特別セミナー(田村尚之・桑井太陽編) (1/4)

 北島康介さんが代表兼ゼネラルマネージャーを務める「Perform Better Japan」が2017年12月、競泳コーチ・マスターズスイマー・トレーナー・理学療法士など水泳にかかわる45人の受講者を対象にしたセミナーを開催しました。後編では、田村尚之さん・桑井太陽さんのセミナーの様子をお伝えします。

▼前編はこちら

競泳選手に必要な陸トレとは?北島康介を支えた3人の名トレーナーが集結した特別セミナー(小泉圭介編) | トレーニング×スポーツ『MELOS』

選手ごとのトレーニング計画(PDCA)を組む

 2番目に登壇したのは、田村尚之さん。2001年から北島さんのウェイトトレーニングを担当し、水泳に特化せず身体全体の筋肉をパワーアップさせる「ストレングス&コンディショニング」を取り入れ上半身をバランスよく筋力アップさせた功労者です。現在は、国立スポーツ科学センター主任トレーニング指導員を務め競泳選手をメインに指導しています。

 講演のサブテーマは、「競泳選手に必要な陸上での準備と強化」。丁寧に作り込まれたプレゼンシートを用いた理論中心の講演では、選手ごとに異なる身体や筋肉に対して、どのようにアプローチすれば、バランスよく筋力をアップする方法が紹介されていきました。

「体力は基礎的体力要素(筋力・持久力・スピード・バランス・柔軟性など)と、専門的体力要素(最大筋力・最大スピード・有酸素系持久力など)に分けられます。単純に考えても柔軟性強化と筋力アップの方法は違いますよね。それぞれの体力要素を引き上げるためには、効果的な方法を見極めた上で1つ1つにアプローチすることが大切です」(田村さん)

 選手ごとに違う基礎体力。何が足りていて、何が足りないのかをさまざまな評価を使い不足部分を洗い出し、その部分に徹底的にアプローチするといいます。

「評価の1つの方法として、選手ごとにきちんとトレーニング計画(PDCA)を立てることです。Planの計画→Doの実行→Checkの確認→Aのアクションという流れです。1つの計画を何年やっても同じ結果しか得られません。実行のときも方法論だけでなく、きちんと効いているか動作が遂行されているかチェックすることが大切です。そこで効果がなければ、計画なのか、実行なのか問題点を探し出し改善します」(田村さん)

「みなさんトレーニングすれば、何かしら結果が出ると思いがちですが、効果のないトレーニングを続けても結果はでないんです。だから最後のアクションでは、修正すべき点に対し修正(リカバリー)しながら、プランに取り入れ年間サイクルを決定するという繰り替えしになります」(田村さん)

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