
なぜストレッチは自律神経のバランスを整える?呼吸と姿勢でコンディションをケアする方法 (4/4)
ストレッチはいつやればいい? 時間帯別ルーティン(朝・昼・夜)
ストレッチは、行う時間帯によって狙いを変えることで、生活リズムを整える助けになります。
【時間帯別ストレッチ ルーティン表】
時間帯 |
狙い |
おすすめストレッチ(所要1~3分) |
ポイント |
朝 |
心と体を活動モードへ |
①胸開きストレッチ ②背伸びをしながら深呼吸 |
カーテンを開けて日光を浴びながら行うのがおすすめ。体内時計のリセットをサポートします。 |
昼 |
緊張をリセット |
①肩甲骨寄せ ②首のストレッチ |
デスクワークの合間に。椅子に座ったままできます。一度立ち上がると気分転換にもなります。 |
夜 |
休息モードへの切り替え |
①背中丸め・反らし ②やさしい前屈 |
38~40℃のぬるめのお風呂の後がおすすめ。体が温まり、心身がリラックスしやすい状態です。 |
ケース別で見る、気になる不調へのアプローチ
スマホ首・在宅ワークが気になる方へ
PCやスマホの画面を目線の高さに調整する、30分に一度は立ち上がって軽く体を動かすなど、環境や習慣の見直しが基本です。
合間の30~60秒リセットとして、首や肩のストレッチを取り入れてみましょう。
眼精疲労が気になる方へ
目の疲れは、目の周りの筋肉の緊張や、集中によるストレスから交感神経を優位にさせやすく、自律神経のバランスに影響を及ぼす一因となり得ます。
定期的に遠くを見たり、意識的にまばたきを増やしたりして、目と心を休ませてあげましょう。
こんな症状は赤旗サイン! セルフケアの注意点と受診の目安
不調の原因は、自律神経のバランスだけでなく、他の要因も考えられます。 ストレッチはあくまでセルフケアの一環であり、すべてを解決するものではありません。
以下のような症状(赤旗サイン)がある場合は、ストレッチを中止し、必ず整形外科などの医療機関を受診してください。
- 腕や脚に広がるしびれ、または力が入らない
- ストレッチによって悪化する鋭い痛み、今まで経験したことのない痛み
- ぐるぐる回るような回転性のめまい
- 安静にしていても痛みが続く、夜間に痛みが強くなる
これらの症状は、専門的な診断と治療が必要な状態を示唆している可能性があります。
自律神経のバランスケアとしてストレッチをとり入れるのは有効
最後に、この記事の大切なポイントを振り返りましょう。
- 鍵は「呼吸」:リラックスのためには、副交感神経の働きを助ける「ゆっくり、長い吐息」を意識することが役立ちます。
- 3つの約束:ストレッチは「反動をつけない」「痛みを我慢しない」「呼吸を止めない」ことが安全のための鉄則です。
- 時間帯で使い分け:朝は「活動へ」、夜は「休息へ」と、目的に合わせたストレッチで生活にメリハリをつける助けになります。
- 過信せず、必要なら受診を:ストレッチは補助的なケアです。「しびれ」や「強い痛み」など、気になる症状があれば専門家を頼りましょう。
固まった心と体をやさしくほぐすストレッチと深い呼吸は、誰でも気軽に始められるセルフケアです。まずは1日3分、ご自身の体をいたわる時間を作ってみませんか?
その小さな習慣が、明日からの快適な毎日につながっていくはずです。
監修者プロフィール
用賀きくち内科 肝臓・内視鏡クリニック院長
菊池真大(きくち まさひろ)先生
慶應義塾大学医学部卒業、東海大学医学部客員准教授、米国ペンシルバニア大学消化器内科元博士研究員、日本アルコールアディクション医学会理事。日本総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本内視鏡学会専門医、日本人間ドック健診専門医、日本病態栄養学会専門医、日本抗加齢医学会専門医
2024年秋、メタボとロコモを同時予防管理する未来志向型クリニックを東京・用賀の地に開業。https://www.youga-naika.com/
<Text:外園拓/Edit:編集部>