インタビュー
2018年11月6日

夢はパラリンピアンの「伴走者」。マラソン芸人が語る盲人マラソンの世界(後編) (2/4)

視覚障害のある方は練習パートナーを探すのもひと苦労

――シンプルな疑問なのですが、選手と伴走者はどのようにマッチングされるものなのでしょうか?

(自身がアンバサダーを務めていたことがある)『かすみがうらマラソン 兼 国際盲人マラソン』の場合は、エントリーの段階で、自分で見つけて申し込むパターンと、エントリーはしたけど、まだ伴走者が見つかっていないパターンがあります。前者はそれで問題ありませんが、後者の場合には「伴走ボランティアバンク」を利用します。そこに伴走者が登録されており、その中でマッチングが行われます。でも、ほとんどの場合は自分で見つけてくるパターンが多いですね。もっとマッチングの連携がスムーズにいけば、出場しやすいのかなと思います。

ただ、大会でマッチングができたとしても、大会までの練習パートナーは別で探さなくてはいけません。フルマラソンは長い時間を走るので、ある程度の信頼関係は必要ですし、もちろん継続して練習を行う必要がありますから。

――現在、Mさんが一緒に走られている方は、どのように知り合ったのでしょうか?

ある日、駅の構内で杖をついている方がいて、声を掛けてみたんです。そうしたら、あきらかにマラソンの格好をしていて、少し話してみたら「伴走者を探している」ということだったんです。

その方はパラリンピックを目指している方なので、伴走者は「いればいるほど良い」そうなんです。というのも、1日の中で朝練習と午後練習があり、それを毎日継続するとなると、1人の伴走者では当然すべてに対応できません。今日はこの人、明日はこの人、というようにシフト制にしていき、お抱えの伴走者が20人くらいいて、ようやく成り立つのだそうです。

――練習パートナーを探すのも大変な世界ですね。

伴走者の皆さんは、それぞれ仕事を別に持っている方ばかりですし、合宿を組む場合は帯同してくれる人も必要です。あとは選手のレベルが上がれば上がるほど、伴走者の走力も同様に求められます。選手がフルマラソンをサブスリー(3時間切り)で走る場合は、そのレベルの練習に付きあえるパートナーが必要になるわけですから。

――Mさん自身はどの程度のペースで練習に同行しているのでしょうか?

月に1~2回ですね。僕自身も仕事があるので、なかなか毎週は厳しいです。音声メールでやり取りをして、スケジュールを相談しながら決めています。

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