フィットネス
2020年8月3日

ランニングの練習に「トラックの周回コース」がおすすめである理由 (3/3)

<時間設定で走るインターバル走>

 インターバル走をトラックで行う際、レスト(繋ぎ)を工夫してみましょう。通常、例えば1000m走って200mをジョギングで繋ぐなど、常に進み続ける形で行う方が多いはず。そうなると、遅い人がどんどん遅れていってしまいます。

 そこでオススメなのが“時間設定”という方法。例えば1000mのインターバル走なら、1本あたり5分半などと決めます。1本目のスタートから5分半後に2本目がスタート……、つまり4分半で走った人は1分のレスト、5分で走った人は30秒のレストで走り続けるのです。これなら、よほど走力に開きがない限り、常にスタートを一緒に行えます。スタートする際に誰かがいるだけで、「よし、やるぞ」という前向きな気持ちが芽生えるでしょう。

<負荷の高いバウンディング>

 バウンディングという練習をご存知でしょうか。着地した際に生じる地面からの衝撃に反発し、飛び跳ねるように移動する運動です。よく短距離向きの練習として行われますが、私はマラソンにもオススメします。なぜなら“走る”という運動では、距離に関わらず、常に地面への反発が生まれているから。そしてこの反発によって身体は前に進みます。

 バウンディングは、着地した際の反発を強制的に大きく生み出します。すると必然的に反発によって身体が進むことを感じ取れるでしょう。いかに効率的に反発を生み出し、推進力に変えていくか。これが身に付けば、より速く、楽に走れるようになるはずです。ただしバウンディングは、足への負担が大きな練習メニューとなります。そのため、アスファルトよりタータントラック等の方が良いでしょう。

<動画を撮影しながらペース走>

 最後にオススメしたいのがペース走。周回コースは距離が決まっているため、一定ペースで走り続けるペース走に向いています。しかし、ここに“動画撮影”を加えると、より効果的な練習になるでしょう。

 まずどこか一定の場所に、スマートフォンやビデオカメラを設置します。そして録画状態にしたまま、ペース走を開始しましょう。練習の中身は、通常のペース走と同様。ただし、できれば目標となるレースペースを意識してください。これによって、後から自分のランニングフォームを見直すことが可能。特に「目標ペースで走ったとき、どれだけフォームを維持できているか」を確認することは、改善点を見つけるうえで非常に有効です。周回コースでは何度もカメラの前を通りますから、この動画撮影によるフォームチェックに最適と言えるでしょう。

 市民ランナーの中には、トラックのような短い周回コースを走った経験がない方がいるかもしれません。例えば皇居でも周回5kmはありますし、ここでご紹介したような練習メニューには不向きです。理想は1km以下、できれば見通しの良い場所をオススメします。安全に、かつ効果的に練習するために、ぜひトラック練習を取り入れてみてください。

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。また、ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表
【HP】https://www.run-writer.com

<Text:三河賢文/Photo:Getty Images>

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