2021年7月22日

夏のマラソン練習、どこでやるべき?ランナーおすすめの“走る場所”とトレーニングメニュー (2/2)

仲間と走る際にはぐれにくい

 暑さでなかなか練習に身が入らないという方は、ぜひ仲間を誘ってみてください。仲間と走るといえば、LSDやジョギングなど、長い距離をゆっくり走るイメージが多いかもしれません。しかしトラックなどで行う練習も、実は仲間との練習に向いています。

 たとえばスピード練習。仲間と走る際には、どうしても走力の違いを気にされる方が多いのではないでしょうか。私もよく知り合いを練習に誘うのですが、「自分ではついていけないから」「足手まといになってしまうのでは」などの言葉をよく受けます。

 しかし心配無用です。周回コースでは、たとえ遅れてもつねにお互いが見えています。そのため、お互い“誰かと一緒に走っている”というモチベーションは維持しやすいでしょう。

 また、遅れたところで短い距離を周回しているわけですから、相手を待たせる、あるいは待つことも不要。さらに練習内容を工夫すれば、走力に関係なく、お互いのレベルで一緒に走り続けることは十分に可能です。

周回コースを利用した練習メニュー

 ランニングの練習といえば、ペース走やビルドアップ走、インターバル走などご存じの方は多いはず。ここでは、そういった一般的な練習メニューではなく、よりトラックのような周回コースに特化したオススメの練習、また“仲間と走る”ための工夫などについて取り上げておきます。

時間設定で走るインターバル走

 インターバル走をトラックで行う際、レスト(繋ぎ)を工夫してみましょう。通常は、1000mを走って200mをジョギングで繋ぐなど、つねに進み続ける形で行う方が多いはず。そうなると、遅い人がどんどん遅れていきます。

 そこでオススメなのが“時間設定”という方法です。1000mのインターバル走なら、1本あたり5分半などと決めます。1本目のスタートから5分半後に2本目がスタート……つまり4分半で走った人は1分のレスト、5分で走った人は30秒のレストで走り続けるのです。

 これなら、よほど走力に開きがない限り、つねにスタートを一緒に行えます。スタートする際に誰かがいるだけで、「よし、やるぞ」という前向きな気持ちが芽生えるでしょう。

負荷の高いバウンディング

 バウンディングという練習があります。着地した際に生じる地面からの衝撃に反発し、飛び跳ねるように移動する運動です。

全身を使い、地面を力強く反発させることで大きく前へと進むジャンプトレーニング

 よく短距離向きの練習として行われますが、私はマラソン練習としてもオススメします。なぜなら“走る”という運動では、距離に関わらず、つねに地面への反発が生まれているから。そしてこの反発によって身体は前に進みます。

 バウンディングは、着地した際の反発を強制的に大きく生み出します。すると必然的に反発によって身体が進むことを感じ取れるでしょう。いかに効率的に反発を生み出し、推進力に変えていくか。これが身に付けば、より速く、楽に走れるようになるはずです。

 ただしバウンディングは、足への負担が大きな練習メニューとなります。そのため、アスファルトよりタータントラックの方が良いでしょう。

関連記事:マラソン練習「バウンディングトレーニング」の効果とやり方

動画を撮影しながらペース走

 最後にオススメしたいのがペース走。周回コースは距離が決まっているため、一定ペースで走り続けるペース走に向いています。しかし、ここに“動画撮影”を加えると、より効果的な練習になるでしょう。

 まずどこか一定の場所に、スマートフォンやビデオカメラを設置します。そして録画状態にしたまま、ペース走を開始しましょう。練習の中身は、通常のペース走と同様。ただし、できれば目標となるレースペースを意識してください。これによって、後から自分のランニングフォームを見直すことが可能です。

 とくに「目標ペースで走ったとき、どれだけフォームを維持できているか」を確認することは、改善点を見つけるうえで非常に有効です。周回コースでは何度もカメラの前を通りますから、この動画撮影によるフォームチェックに最適と言えるでしょう。

関連記事:ランニングフォームのチェック方法&見るべきポイント

 市民ランナーの中には、トラックのような短い周回コースを走った経験がない方がいるかもしれません。皇居でも周回5kmはありますし、ここでご紹介したような練習メニューには不向きです。理想は1km以下、できれば見通しの良い場所がよいでしょう。

 安全に、かつ効果的に練習するために、ぜひトラック練習を取り入れてみてください。

[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。また、ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表
【HP】https://www.run-writer.com

<Text:三河賢文/Photo:Getty Images>

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