2020年10月31日

目的別で選ぶダンベル筋トレ。全身を鍛えるか、ひとつの筋肉を筋肥大させるか

 少し前ですが、アメリカ大手紙『USA TODAY』電子版が「アメリカからダンベルがなくなったわけ-今でも手に入れることができるのはここだ」と題する記事を8月31日付で掲載しました(*1)。新型コロナウイルス感染拡大によって多くの人が自宅トレーニングを志向するようになり(あるいはやむを得ず)、ダンベルやケトルベルなど自宅用のトレーニング器具が極端な品薄状態に陥ったのです。

 バーベルやマシンと比べると、ダンベルは使用するスペースが小さくて済みます。さらに自重エクササイズでは得られない重量負荷をかけることができるのも人気の理由だと考えられるでしょう。ところが、ダンベルはエクササイズの選択肢が非常に幅多いトレーニング器具なので、どう使ってよいか迷う人も少なくありません。

 そんな人に向けて、今回はダンベルを使った単関節運動と複合関節運動を紹介します。

ダンベルを使った単関節運動

ダンベル・カール

 多くの人がまず試してみるのは、ダンベルをぶら下げて持ち、肘(だけ)を折り曲げてダンベルを肩側へ持ち上げる動作ではないでしょうか。この動作は「ダンベル・カール」と呼ばれ、単関節運動にカテゴリーされます。単関節運動とは1つの関節だけを動かす運動のことで、この場合は肘関節になります。

▲ダンベル・カールでは力こぶに意識を集中する

 この動作で鍛えられるのは腕の力こぶの部分、つまり上腕二頭筋(バイセップ)のみです。そのため、「バイセップ・カール」と呼ばれることもあります。ダンベル・カールは片手でも両手でもできますし、イスに座った状態や立ったままでもできます。鍛えている筋肉への集中度を最大にするためには、座って片手で行うのがよいでしょう。

 このように、単関節運動はある特定の筋肉を集中して鍛えることができます。別の言い方をするならば、ボディビルダーらがよく言うように、筋肉に「効かせる」ことができるエクササイズです。しかし、単関節運動は多くの場合で単調な動きになりますし、よほど重量や回数を増やさない限りは運動量もさほど大きくはありません。

 ダンベル・カール以外のダンベルを使った単関節運動には、たとえば手首を曲げる「リスト・カール」や腕を伸ばしたままで肩を使って体の前を上下させる「フロント・レイズ」、体の左右で上下させる「サイド・レイズ」などがあります。筋肉を肥大させることより健康やダイエットが目的の人にとっては、こうしたエクササイズはやや物足りない運動量になってしまうケースが多いようです。そのような背景から、ダンベルを買ったものの、すぐに飽きて使わなくなった人は多いでしょう。

ダンベルを使った複合関節運動

ダンベル・ハング・パワー・クリーン&ジャーク

 ダンベルを使った筋トレ種目は無数にあり、なかには全身の筋肉を使って激しい運動を行うものも少なくありません。ここで紹介する「ダンベル・ハング・パワー・クリーン&ジャーク」もそのひとつ。もともとはオリンピック競技の重量挙げにある、「クリーン&ジャーク」の動作をダンベルで置き換えたものです。

セットアップ:両足を肩幅ぐらいにして立ち、ダンベルを両手にぶら下げて持つ。両手は体の内側に向ける。

ディップ:膝と股関節を同時に軽く曲げて、体を沈める。両腕の肘は伸ばしたまま。

ドライブ:すばやく立ち上がり、膝と股関節を伸ばす。肩をすくめて肘を上方向に曲げ、ダンベルを肩まで持ち上げる。

キャッチ:膝と股関節を軽く曲げて、ディップの姿勢に戻る。肘をすばやく下方向へ曲げ、ダンベルを肩に担ぐ。

セットアップ(2回目):ダンベルを肩に担いだまま、膝と股関節を伸ばす。

ディップ(2回目):膝と股関節を同時に軽く曲げて、体を沈める。

ドライブ(2回目):すばやく立ち上がり、膝と股関節を伸ばす。同時に腕を伸ばしダンベルを頭上に持ち上げる。

ディップ(3回目):膝と股関節を再度曲げ、体を沈めた位置で両腕を完全に伸ばしきって肘をロックする。

フィニッシュ:ダンベルを重心線上に保ったまま膝と股関節を伸ばし、まっすぐに立つ。

 このエクササイズは1動作内で多くの関節を屈伸させ、多くの筋肉を動員します。全身を使ってダンベルを持ち上げるので、動作に慣れれば自己の最大限で高重量を扱うことも可能。運動量を増やしたい場合は、軽めの重量で高回数をこなすこともできます。つまり多くの筋肉に、より強い刺激を同時に与えられるのです。さらにはより多くのエネルギーを消費するので、副次的に心肺能力の向上にも繋がるほかダイエット効果も上がります。

ダンベルを使った複合関節運動には、他にも片手スナッチやスラスターなどがあります。

片手ダンベル・スナッチ

ダンベル・スラスター

 こうした動作の多くは複雑で、習得するまでにはある程度の練習期間が必要です。慣れないうちは無理のない程度の負荷で始めて、徐々に重量や回数、動作スピードを高めていきましょう。

*1.There'sadumbbellshortageintheU.S.—here'swhereyoucanstillbuythem
https://www.usatoday.com/story/tech/reviewedcom/2020/08/31/where-buy-dumbbells-and-weights-still-stock-amazon-walmart-and-more/5677542002/

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text&Photo:角谷剛>