フィットネス
2023年2月6日

「重量挙げ(ウェイトリフティング)」ってどんな競技?筋トレ初心者でもできる? (1/3)

オリンピック競技のひとつ「重量挙げ」。「ウェイト・リフティング」や「オリンピック・リフティング」とも呼ばれますが、ここでは重量挙げで用語を統一します。

重量挙げとは

重量挙げは、床に置いたバーベルを頭上に持ち上げ、その重量を競う競技です。以下の種類があります。

スナッチ

床に置かれたバーベルを1挙動で頭上に持ち挙げる。

クリーン&ジャーク

床に置かれたバーベルをまず肩まで持ち挙げ(クリーン)、次に頭上に持ち上げる(ジャーク)。

重いバーベルを持ち挙げるので、よくスクワットやデッドリフトなどのパワー系筋トレと混同されます。

もちろんその要素もありますが、重量挙げは筋力以外にも瞬発力やスピード、タイミング、フォーム、バランス、柔軟性、そして精神的な集中力が求められる総合運動です。筋トレがスポーツをするための基礎作りだとすれば、重量挙げはよりスポーツに近い動きだと言えるでしょう。

そのため、オフシーズンは筋トレを中心に行い、本番シーズンが近づくにつれて重量挙げを取り入れるアスリートも少なくありません。

一般のトレーニングジムで重量挙げはやりにくい

重量挙げに必要な器具はバーベルと重量プレートだけ。

とはいえ、一般のジムで「少し重量挙げを試してみようか」と思い立ったとしても、現状では一般の人はなかなか手を出しにくい種目でしょう。その理由として、ジムの施設とルールが挙げられます。

「バーベルを床に落とす」が禁止されていることが多い

重量挙げでは頭上に持ち挙げたバーベルを足元に落とします。危険な行為に見えますが、むしろその逆です。重量プレートを両側につけたバーベルをまっすぐ床に落とすと、その場で軽くバウンドするだけで、周囲に危険が及ぶことはありません。

むしろ無理してバーベルを下ろそうとする方が、腰や背中を痛めることもありますし、下ろす途中でバーベルから手を離すと自分の体にぶつけてしまうことがあります。

しかし一般のジムでは、この「バーベルを床に落とす」ことをルールで禁止しているところが少なくありません。

床の強度やスペースの問題、あるいは騒音などを考慮してのことだと思いますが、そうしたジムでは重量挙げは事実上禁止されていると言ってよいでしょう。

重量挙げのプラットフォームを用意してあるジムは少ない

また、重量挙げを指導できるトレーナーが一般のジムに少ないことも理由のひとつです。重量挙げはフォーム習得が難しいので、まったくの初心者が自己流で行うことは無理があります。

重量挙げを部分的に行うやり方がある

そこで紹介したいのが、「ハング」と「パワー」と呼ばれる形式です。

  • 「ハング」=バーベルを両手にぶら下げて立った状態から重量挙げを行う
  • 「パワー」はバーベルをキャッチしたときに深くスクワットをせず、軽くヒザと股関節を曲げるだけに留める

つまり、バーベルが下から上へ移動する距離は、本来の動作の中央部分のみとなるのです。

この形式の利点は、前述した「一般のジムで重量挙げがやりにくい理由」の裏返しとも言えます。バーベルを床に落とさないで済みますし、動作が小さくなる分だけフォームやタイミングの習得が容易になるのです。

「ハング」「パワー」形式なら、狭いスペースでも重量挙げができる

「ハング」と「パワー」では、本来の重量挙げに求められる柔軟性やテクニックのレベルも低くなりますが、そのぶん、瞬発力の強化により集中して行うことができるというメリットも見逃せません。

重量挙げそのものを競技とする人にこれだけでは足りませんが、重量挙げ種目を他のスポーツに活かしたい人にとって「ハング」と「パワー」形式はいい選択肢になります。

「ハング」「パワー」形式で行うクリーン&ジャーク

「ハング」「パワー」形式のやり方を解説していきます。

1)スタート:両足を腰の幅で立ち、バーベルは太ももの外側近くで握ります。

2)ダウン:背筋の自然なカーブを保ちながら、バーベルが膝のすぐ上に来るまで上体を前に倒しましょう。かかとは地面につけたまま、両腕は伸ばしたままです。

3)アップ:股関節、膝、足首を一気に伸ばします(トリプル・エクステンションと呼ばれます)。肘をぎりぎりまで伸ばしたまま、肩をすくめてください(シュラッグ)。

4)キャッチ:下半身が完全に伸びきってから、両肘を外側からバーの前方に折り曲げ、同時に体をバーの下に潜り込ませます。このとき、膝と股関節は軽く曲げましょう(ハーフスクワット)。

5)フィニッシュ:バーを保持したまま、膝と股関節を伸ばして直立します。

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