インタビュー
2017年8月25日

自宅でできる「北島康介式トレーニング」で実践しよう!トレーナー小泉圭介インタビュー(後編) (2/2)

●「助間筋ストレッチ」で猫背を改善!

 胸郭が縮むことは、姿勢の悪さにもつながる。特に猫背の人は胸の前側が縮んでくるので、この胸郭を開くストレッチが有効。肋骨が開くことで呼吸もしやすくなる。腕を挙げるとき、肋骨の間が開くことで、当然、腕も挙げやすくなる。胸郭のほかに、腰の両脇にある腰方形筋も伸びる。

<POINT>
◎左脚を伸ばし、右膝を曲げて座り、左手は右足先を持つか、伸ばした脚のほうへ置く
◎右腕を頭上に挙げ、身体を左へ倒すように右の脇腹を伸ばす
◎10秒キープして2セットを左右ともに行う

<注意点>
◎身体を真横に開くようにし、上半身の重みで脇から腰のほうまで伸びる範囲でOK。腰が硬い人は、膝を曲げたほうの脚が浮かないよう注意。ただし、伸ばしているほうと反対側の脇腹が痛いときは、すぐに中断すること。倒しすぎて痛い場合が多いので、倒しすぎたら少し戻してみよう。
◎肋骨を閉じたまま腕を挙げると、肩に負担がかかって痛くなるので注意。
◎左右差がある場合、硬いほうの回数を増やすこと。一般に肩が低いほうの肋間は硬いことが多いので、まっすぐ立って鏡に映った姿勢をチェックしてみるといいだろう。

●地味だけど意外と難しい「サイド・トランク・アーク」

 体幹を鍛えるトレーニング。簡単そうに見えるが、体幹だけを使って脇腹を持ち上げるのはなかなか難しい。腕を挙げて寝た状態で、すでに下の胸郭は広がっている。持ち上げると脇腹の筋肉全体が動いてアーチを描く。体幹の部分の骨1つずつがしなやかに動いて、全体として1つのアーチを作る。アウターマッスルが優位になってくると直線的な動きは得意だが、曲線的な動きが難しくなるのでインナーマッスルを使うことを意識してみよう。

<POINT>
◎下の腕を挙げて横向きに寝る
◎腹筋に力を入れて脇腹だけ持ち上げ3秒キープ
◎左右交互に10回2セットが目標

<注意点>
◎力みやすい人は、脚の力で持ち上げてお尻が浮いたり、腕の力で持ち上げ肩が浮いたりするので、なるべく腕と脚に力を入れずに脇腹だけを上げましょう。左右差があれば、上がりにくいほうを多めにしよう。

●お尻と内ももに効く!「ワイドスクワット&ツイスト1」

 腰幅くらいのスクワットだと腰が反りやすく、内ももが縮んで硬くなりやすい。足幅の広いワイドスクワットだと、腰も反りにくく骨盤をまっすぐ下ろせて、股関節の可動域を使って内ももをしっかり伸ばすことができる。相撲の四股と同じ動作となる。ただし、腰を反らさずにまっすぐ下ろそうとすると、バランスをとるのが難しいので前に棒をつくなど安定させる。これで内転筋をストレッチしながら、大殿筋を鍛えられる。さらにストレッチ効果を高めるために、この状態から上半身をねじっていこう。

<POINT>
◎つま先と膝の向きを揃えて脚を大きく開き、前に棒をついて支えにして、腰をまっすぐ下ろす
◎腰を下ろした状態から右腕を後ろへ伸ばして上半身をツイスト
◎次に反対の左腕を後ろへ伸ばして上半身のツイスト
◎これを交互に10回2セット

<注意点>
◎腰を低い位置まで落とすのは難しいときは少し下げるだけとし、高い位置から始めよう。
◎膝とつま先が同じ向きで、膝が内側に入らないこと。お尻が後ろに出すぎないよう腰を垂直に下ろすこと。膝の下に足首がくるとよい。
◎ツイストの動きは、ねじったほうと反対の脚が動かないよう下半身を安定させてツイストすること。
◎棒がなければ、壁に手をつくなど転ばないように注意して行うこと。

◆前編はこちら
・北島康介の五輪2冠2連覇を支えたトレーニングとは。トレーナー小泉圭介インタビュー(前編)

[プロフィール]
小泉圭介(こいずみ・けいすけ)

1971年、福井県生まれ。北陸高-明治学院大-東京衛生学園専門学校。早稲田大大学院スポーツ科学研究科修士課程修了。現在は東京スポーツレクリエーション専門学校専任教員、㈱パフォームベタージャパン テクニカルディレクター。競技経験は大学から社会人までアメリカンフットボール。水泳では水球日本代表(2006-2007年)、競泳Jr日本代表(2007-2008年)、競泳日本代表(2009~2015年)にトレーナーとして参加。多くのトップアスリートの指導にあたっている。理学療法士、日本体育協会公認アスレティックトレーナー、日本水泳トレーナー会議運営委員、(公財)日本水泳連盟医事委員

<関連サイト>
・書籍『北島康介トレーニング・クロニクル』(ベースボール・マガジン社)
http://www.sportsclick.jp/products/detail.php?product_id=8620

<取材協力>
・Perform Better Japan ※トレーニング用品
http://www.performbetter.jp/

・スマートスティック ※「ワイドスクワット&ツイスト1」で使用
https://www.performbetter.jp/products/detail.php?product_id=447

・FLUX CONDITIONINGS ※取材・撮影場所

http://www.flux-conditionings.com/

<Text:大熊美智代+アート・サプライ/Photo:小島マサヒロ/北島氏写真提供:ベースボール・マガジン社>

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