フィットネス
2021年2月9日

インナーマッスルを鍛える筋トレ「オーバーヘッド・スクワット」の効果とは (1/2)

 オーバーヘッド・スクワットとは、バーベルを頭上に持ち上げたまま行うスクワットのこと。重量挙げの種目である、スナッチの動作の一部分でもあります。

 オーバーヘッド・スクワットは非常に優れた筋トレですが、動作の難易度が比較的高く、筋トレ初心者には少々ハードルが高いかもしれません。しかし段階を踏んで練習を行えば、オーバーヘッド・スクワットは全身の柔軟性や安定性、そして筋力の向上に大いに役立ちます。

 今回はバーベルを用いて本格的にこの動作を行う前の段階として、PVCパイプ(塩ビパイプ)などを使った練習方法と基本フォームを解説しましょう。

オーバーヘッド・スクワットの効果とは

 バーベルを用いて重量負荷をかけるスクワットといえば、バーベルを首の後ろに担いだバック・スクワットがもっとも一般的です。どの種類のスクワットでも「下半身および体幹の筋力を鍛える」「柔軟性を高める」「バランスを向上させる」という大きな効果があります。

 その中でもオーバーヘッド・スクワットは、特に柔軟性を高めることに秀でています。もちろんバック・スクワットや他の筋トレ種目のように筋力を鍛える効果もありますが、単純に筋肥大のみを目的とするならば、オーバーヘッド・スクワットを選択する必要はありません。

 また、オーバーヘッド・スクワットには、肩や体幹部分の安定性を高める効果があります。バーベルを頭上に持ち上げた姿勢を保つためには、体軸をまっすぐにしてバランスを保たなくてはいけません。そのため、スタビライザーと呼ばれる小さな筋肉群もフル動員することになるからです。

 オーバーヘッド・スクワットはバーが頭上にあるため、バック・スクワットに比べると重心がはるかに高い位置になります。いわば胴体が伸びた状態で負荷をかけるため、体の内部深くにある筋肉、いわゆるインナーマッスルをより強く緊張させることにも繋がるでしょう。

 さらに、オーバーヘッド・スクワットは全身運動です。体幹の中心部分から動作を始め、末端となる手足にエネルギーを伝達する”Core to Extremity”の法則を身体に覚えこませるのに適した動作となります。そのうえ、手首や肩、腰、膝、足首と全身のあらゆる関節の可動域を広げる効果も見逃せません。

まずは自重スクワットをチェック

 オーバーヘッド・スクワットの土台となる動作は、自重スクワットです。言うまでもないことかもしれませんが、自重スクワットを正確なフォームで行えない人は、オーバーヘッド・スクワットを試すのは早過ぎます。まずは「スクワットができない原因とは|深くしゃがめない、姿勢が崩れる、倒れる、膝が痛い」で自重スクワットのフォームを確認してください。

 言い換えれば、オーバーヘッド・スクワットは自重スクワットで気づきにくい弱点やフォームの誤りを明らかにしてくれます。自重スクワットが問題なくできる人は、下記も試してみてください。

ウォール・スクワット

 壁に向かって近い位置で立ち、両手を上に伸ばして、ゆっくりした動作でスクワットを行います。壁と体との距離を一定に保ち、体のどの部分も壁につかないようにしましょう。

 膝をつま先より前に出さず、上体が前かがみになることを防ぎながら、かかとに体重を乗せます。ここに問題がある人は、自重スクワットのフォームが正しくできていないことが多いでしょう。

パス・スルー

 塩ビパイプ(PVC)などの長い棒を使って、パス・スルーという動作を行ってみてください。肘を伸ばしたままで、バーを体の前・後ろに動かすことができるでしょうか。ここに問題がある人は、肩の可動域が十分ではありません。

スクワットの姿勢でパス・スルー

 上記のパス・スルーを、スクワットした体勢で4~5回繰り返してみてください。ここでスクワットの姿勢が保てない人は、股関節か足首の可動域が十分ではない、あるいは臀部やハムストリングス周辺の筋肉に柔軟性が不足しています。

次ページ:オーバーヘッド・スクワットのフォーム

1 2