体幹トレーニング「プランク」、何分やれば効果的?長時間はむしろデメリットに (3/3)
プランク世界最長記録は8時間15分15秒
人はどれだけ長くプランクの姿勢を保てるのでしょうか。そのヒントになるかもしれない記録が、ギネスブックに認定されました(*1)。
2020年2月15日、アメリカイリノイ州の男性、ジョージ・ウッドさんが達成した8時間15分15秒が現在のプランク世界最長記録です。
ウッドさんは元アメリカ海兵隊員の猛者ですが、驚くべきことにこの記録を達成したときの年齢は62歳でした。
彼は2018年には別の試みで、24時間以内に合計18時間10分10秒のプランク記録までも樹立しています。
米海軍兵士の合格点は3分40秒
彼のプランク記録は、人間が持て得る能力の極限とも言えます。しかし、普通の人が努力して到達できるプランク記録とは、どのくらいでしょうか。
アメリカ海軍では、兵士たちに課す運動能力テストの内容を刷新し、体幹の筋持久力を測る種目を、従来のシットアップ運動からプランクへと変更します(*2)。このことも、プランクの有効性が広く一般的に認められてきた証拠でしょう。
アメリカ海軍では、目標とするべきプランクの持続時間を、以下のように規定しています。
「17歳から19歳までの兵士は3分40秒以上をもって優秀とみなす。この基準タイムは、5歳ずつに分かれた年代グループが上がるごとに5秒間短縮される。例えば45歳から49歳までのグループだと基準時間は3分10秒に、65歳以上のグループでは2分50秒になる。なお、このテストは男女とも同じ方法で行い、同じ基準で測られる」
この記述を参考にするならば、一般人はプランクを2~3分できればまずまずのレベル、5分以上も続ける必要はないと解釈できるのではないでしょうか。
無理して長時間のプランクを行う必要はない
体幹筋力を向上させる方法としてアイソメトリック運動の有効性を証明したある研究(*3)では、被験者グループはわずか10秒のプランクを含むアイソメトリック運動を最多で5セットまで行いました。
他のグループは、伝統的なシットアップやツイストを行いました。
6週間のトレーニング期間終了後、シットアップやツイストを行ったグループと比較したところ、アイソメトリック運動を行ったグループの方が体幹部分の筋力が向上したと報告されています。
10秒間5セットは、合計1分にもなりません。それでも効果があるということですので、あえて無理して長時間のプランクを行う必要がないことが分かるでしょう。
プランクの正しいフォームとやり方
ここで、改めてプランクの正しいやり方を紹介します。
- 両肘を床につけ、うつ伏せになる
- 腰を浮かせ、背筋をまっすぐに伸ばす頭、背中全体、腰、かかとが一直線になるように姿勢をキープする
- まずは20秒キープする
動画では、1セット20秒×3セットでガイドしています。
参考文献
*1.ギネスブック公式サイト:Longest time in an abdominal plank position(male)
*2.Here are the Navy’s standards for the new fore arm planks, rowing events coming to the PRT
*3.Effect of Long-term Isometric Training on Core/Torso Stiffness
監修&筆者プロフィール
スポーツコーチ、トレーナー
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】
<Text & Photo:角谷剛>