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サウナの効果と入り方、守ってほしいマナーとは。日本サウナ学会の医学博士に聞いてみた(前編)

 続くサウナブーム。サウナ人口の増加により、その効能や心身へのメリット、正しい入り方について注目が集まっています。

 今回はサウナ学会理事をつとめる医師・医学博士の加藤容崇(かとう・やすたか)先生にお話を伺い、「サウナに入ってみたいけれど敷居が高そう」と様子見中の未体験者から、サウナは好きだけれど通う頻度はそれほどでもないという初心者、そしてサウナ大好き“サウナー”の皆さまへ向けた記事を、前後編にてお届けします。

 前編は、サウナで期待できる効果や心身へのメリット、入り方について。また、サウナに入る際、守ってほしいマナー・エチケットも聞いていきます。


[教えてくれたのは]
加藤 容崇(かとう・やすたか)
日本サウナ学会代表理事、医師・医学博士 専門は癌ゲノム医療と癌研究。予防医療の重要性から、第二の専門として、サウナをはじめとする世界中の健康習慣を最新の科学で解析し、発信していく「日本サウナ学会」を設立し、代表理事として活動している。

サウナの定義とは。そもそもサウナはどういう行為を指す?

──サウナ。暑い箱の中に入っている以外に、なにか種類はあるのでしょうか。

「サウナの定義というのは実はなくて、暑い部屋の中に入る行為を指します。日本でも大昔から蒸し風呂というものがありますし、とくに決まった形式はないですね」(加藤先生)

──サウナ室の中で、塩で体を揉んだり、仰いで風を起こしてくれる人がいますが、あれはオプションのようなものと考えてよいのでしょうか。

「そうですね。塩サウナというのもありますが、サウナ室内にシャワーを入れたり、下はタイルにする、排水設備を整える必要がありますし、塩は基本的にサウナ施設を腐食させるのであまり一般的ではなく、オプションという印象です。アウフグース(編集部注:サウナストーンに水などをかけて発生した蒸気をタオルなどであおぎ、熱風を送るドイツの風習)に関しても、やはり広いサウナがなかったり、アウフギーサー、熱波師と呼ばれる人たちも国内では多いわけではないので、一部の施設のみという感じですね。でも、これから広まってくるのではと思います」(加藤先生)

──ちなみにロウリュという言葉もよく聞きますが、これもサウナの特殊なオプションでしょうか。アウフグースとの違いは。

「アウフグースとロウリュはよく混同されるのですが、ロウリュはフィンランド語で、基本的にはサウナストーンの上に水をかけるという行為を指します。なので、特殊オプションというよりは、フィンランド式でセルフロウリュができる施設が限られているという感じですね」(加藤先生)

──なぜセルフロウリュができる施設が少ないのでしょうか。

「もともと日本にはフィンランド式サウナが普及していました。1960年代です。しかし日本にはまだフィンランド式サウナの知識が普及していなかったためトラブルが多くて、セルフでサウナストーンにお水をかける行為が禁止されて、いまドライサウナになっているという経緯があります。昔はかなり一般的だったのですが、どんどん減ってドライサウナばかりになってしまいました。しかし、いま再び本格的なフィンランドサウナが見直されていて、少しずつセルフロウリュができる施設が増えてきている状況です。セルフロウリュの代わりに、オートロウリュといって、機械が自動的にサウナストーンに水を噴射してくれるという施設がかなり多いかなと思いますね」(加藤先生)

サウナに期待できる効果とは

 サウナ室で熱い蒸気を浴び、そこから出て冷水に浸かり、ゆっくり休憩をする。それを何度か繰り返す。サウナのこの流れには、心身にどのような影響を与えるのでしょうか。

──サウナに期待できる効果を教えてください。

「まず健康面から。長期的な病気が予防できるというところと、快適に日常生活が送れるということ、あとはスポーツとの相性の良さ、この3点があると思っています。短期的な効果としては、自律神経の活動が活発になるというところです。今の時期だと熱中症予防。熱中症予防には暑熱順化、つまり体温の上昇を抑えられるかどうか、体温の調節がいかに円滑にできるかという点が非常に大事です。なので、サウナに入ると、それができるようになるということですね。実際にスポーツ前に、サウナに入っている人は、スポーツ中の体温上昇が抑えられるという論文も出ているぐらいなので、自律神経の活動が活発になり体温調整が上手になるので、暑い環境に適応できるというところですね」(加藤先生)

──サウナに入ると自律神経が整いやすくなるという話はよく聞きますが、熱中症予防にもおすすめなのですね。ほかには、どんな効果が期待できますか?

「睡眠の改善効果も大きいです。先日プレスリリースを出しましたが、NTT東日本とブレインスリープ、ドーミーインという必ずサウナがある、サウナ愛好家御用達のホテルチェーンと共同研究しまして、実際にサウナ入るときと入らないとき、睡眠の質がどういうふうに変わっているのかという研究(*)をし、その内容を発表しました。温泉入浴のみと、温泉+サウナという2つで比較したところ、睡眠の改善効果が確認できました」(加藤先生)

(*)参考:サウナ浴で熟睡時間や熟睡度が向上傾向!ブレインスリープ×100plus(加藤容崇氏)×NTT東日本×共立メンテナンスの4社共同で実施

──睡眠は健康に大きな影響を及ぼしますから、睡眠の質が改善できれば本当にうれしいことですね。ちなみに最近、サウナに入る女性も増えてきたと感じていますが、美容面でのメリットはありますか?

「はい。でも、残念ながらデトックスできるというのは間違いなんですよね。サウナに入って何が変わるかというと、毛細血管の密度が上がります。毛細血管の密度は、酸素を届けたり、細胞に栄養を届けたりするために大切なポイントで、毛細血管の密度が上がると酸素化する血液が行き渡るので、かなり美容にはよい影響を与えるのではないかと考えられます。先ほどお伝えした睡眠の改善効果も、美容に関係することなのでよいことかなと思います」(加藤先生)

──美容を気にするサウナ男女のモチベーションが上がりますね。ちなみにサウナに入って気分がスッキリしたという言葉はかなり耳にするのですが、メンタル面にもなにかよい影響を与えてくれているのでしょうか。

「実際にデータがあるわけではないのですが、先ほどお伝えした『疾患の予防効果』という面では、統合失調症やうつ病といった精神科疾患のリスク低減効果というのが報告されています。軽度のうつ状態にある人がサウナに入ると、食欲の改善や、主観的な気分のつらさなどが低減されるという論文も出ていますね」(加藤先生)

──睡眠の質向上も、メンタル面にもよい影響を与えていそうですね。サウナに入ってスッキリした、よく眠れるという声を聞きますが、これはどういう理由でそう感じるのでしょうか。

「まず『スッキリした』という感じ方について。実際に脳の覚醒度が上がっているので、実際に脳がスッキリしているというのは本当だろうと。なぜスッキリしているのかというと、推測になるのですが、ひとつは体温の分布というのが重要であろうと言われています」(加藤先生)

──体温の分布ですか。

「人間の体温の分布は、覚醒度と相関するということが知られています。サウナ、水風呂、休憩という順番で入ると思いますが、水風呂から出た直後というのは深部がすごくサウナで熱くなっています。その後、水風呂に短時間入ると表面だけ冷たくなるという状況なので、疑似的に深部体温が上がって皮膚の表面の温度がすごく下がるという状況になります。そうすると頭がONの状態、つまり活動中の状態になるんですね。そのため、一時的にものすごく頭がはっきりした感じになるというのがひとつの答えです」(加藤先生)

──ありがとうございます。『サウナでスッキリした』のメカニズムについては分かりました。もしかして、『よく眠れる』というのも、その脳の覚醒度に関係しているのでしょうか。

「それも深部体温の続きになります。サウナ直後は眠くない状態、意識がはっきりした状態になるのですが、実はサウナ室に入って水風呂に入った後は、疑似的に、いつもよりも深部体温がとても熱く、表面はとても冷たい状態になります。身体はそれを調整しようとするのですが、だいたい1~2時間後の間に、逆に調節がいきすぎてしまいます。深部体温が下がって体表面が温かくなって、サウナに入らなかったときよりも深部体温と体表面の体温が逆転します。そのため、すごく眠くなるのです」(加藤先生)

──たしかに、お風呂で深部体温を上げて、下がるころに眠気が訪れるというお話を聞いたことがあります。サウナや温泉で時間がたつと眠くなってくるのは、こういうメカニズムも関係していたのですね。

サウナの正しい入り方

──ここからは、サウナの入り方と注意したいポイントなどを聞いていきます。まずは、サウナに入る前に行うとよいこととは。

「水分補給と自分の体調を把握することです」(加藤先生)

──基本の入り方は。

「サウナに入って、水風呂に入って、休憩をする。これを大体3周ぐらい行うというのが一般的なやり方です」(加藤先生)

──どのくらいサウナ室に入っていればよいのでしょうか。また水風呂は。

「とくに決まりはなくて、暑ければ出ればよいです。水風呂はだいたい20~30秒から最大1分ぐらいで、休憩はたっぷりという感じでしょうか。少なくともサウナ室に入っている時間よりも長くという感じです。サウナは個人差が大きいんですよね。その人やその日の体調、サウナ室の形式によって大きく変わるので、あまり一概には言えないかなと思います。やっぱり暑くなったら無理せずに出るというのが基本的な入り方かなと」(加藤先生)

──そういえば、サウナ室のどこに座ればいいのでしょうか。施設によっては段差などもあります。

「基本的には上に行けば行くほど暑くて、下に行けば行くほど温度が下がっていくので、その日の体調や好みに応じて、あまりつらくないところを選択するのがよいと思います。段差がなくてもサウナストーブが近いところは輻射熱で少し暑かったり、吸気と排気のところで空気の気流ができるので、排気口のところはやや暑かったりします」(加藤先生)

──サウナから出た後に行うとよいこととは。

「水分補給を行う、体が落ち着くまできちんと休むことです」(加藤先生)

──ちなみに『こんな状態になったらサウナ室から出たほうがいい』という基準はありますか?

「基準はなく、暑かったら出てくださいということですね。あとは身体に変調をきたしたら、もちろんすぐ出たほうがいいですね」(加藤先生)

──ちなみに私の場合ですと、サウナ室に入ると1分後にはもう耐えがたく感じてしまうのですが、1分ぐらいで出ても大丈夫でしょうか。

「なぜそう感じるかというと、とくに女性の場合だと顕著なのですが、女性のほうが熱を感じやすいんですね。体に暑さを感じるセンサーの感度が違っていまして。顔とか手とか足というのはすごく敏感で、暑さを感じやすいところなんです。サウナ室って、顔が一番熱い部分にあるじゃないですか、一番上なので。一番暑く感じやすい部位が暑い場所にあるので顔がほてってしまうんですね。なので、顔を乾いたタオルで覆うことがオススメです。髪の毛だけではなくて、顔の面の部分です。ここを乾いたタオルで覆うと、ストレスホルモンの上昇が抑えられるという論文があるので、とくに女性にはオススメです」(加藤先生)

──顔にタオルをかけている人は上級者なのかと思っていました。余計に暑くなるのかなと。

「めちゃくちゃ楽です。濡れタオルだと、最初はいいのですがだんだんと余計に暑くなってきます。なので乾いているタオルがよいです。よく絞ったほうがいいですね。濡れているタオルだと、最初は冷たくて気持ちいいのですが、どんどん暑くなってきます」(加藤先生)

──あと、水風呂が冷たすぎて入れないのですが、なにか対策方法はありますか?

「多分、体が温まってないのだと思います。さっき1分くらいで暑くて出てしまうとのことでしたが、体がきちんと温まってないうえ一番温まってない足から水風呂に入るので、しんどく感じてしまう。体をじっくり温めるといいですよ。いかにやさしく、しんどく感じずに体全体を温められるかというのが大事です。体全体を温められると、水風呂がありがたいものになってきますよ」(加藤先生)

──先ほど聞いた、顔にドライタオルを乗せて試してみます。

「あと、身体を慣らすというのも大事ですね。最初は温度調節ができるシャワーとかで体を慣らして、次はちょっと膝まで、次は胸までとか、だんだん冷水に体を慣らしながら入ると良いと思います」(加藤先生)

サウナは1日何回まで? 毎日入ってもOK?

──サウナは1日何回までが適切でしょうか。また、毎日入っても問題ありませんか?

「先ほどお伝えした、女性のストレスホルモン上昇の研究では、1日2回、1回あたり1時間、毎日入ると、7人中5人が月経不順になるという結果が出ています。毎日1日2回は明らかに入りすぎなので、1日1回でいいんじゃないかなと思います。朝サウナと夜サウナをやる人もいるかと思いますが、朝サウナはフルセット入らず1セット短めという入り方が基本なので、そういうどちらか片方がすごく短いという入り方でやるのはいいかなと思います。朝晩フルセットで毎日入ってしまうのは明らかに入りすぎですね。ちなみに病気の予防効果という面で一番恩恵が大きいのが、週に4~7回でした。つまり1日1回までなら体にいいというデータが出ているという状況です」(加藤先生)

──やる人は少ないと思いますが、女性の場合、生理中にタンポンを入れてサウナに入るというのもNGでしょうか。

「生理中はやめた方がいいですね。衛生的によくないですし、100%防げるわけでもないと思いますので。体調的にも不安定な時期なので、そういうときに入ると失神する危険性もあります」(加藤先生)

──ちなみに意識が飛んでしまった人を見た場合、まず何をすればよいでしょうか。

「暑いところから出し、呼吸をしているかどうか確認します。呼吸をしていなかったら、すぐに心肺蘇生をします。まわりの人を呼び、救急車を呼んでください。その間にAED(自動体外式除細動器)を持ってきてもらい、使うという感じですね」(加藤先生)

──ちなみに男性は月経がないのですが、入りすぎによる男性ならではの不具合とかはあるのでしょうか。

「男性は、基本的に症状としては現れづらいですね。精子の数が減るとかそういうことを想像するかもしれませんが、実際にはそれほど減らないです。ちょっとだけ減りますけれど。実際、毎日サウナに入るフィンランド人男性も多いですが、フィンランド人の人口は減っていませんし、さほどの影響はないと考えられます。日常生活のいろいろなパラメーターと精子の数や質を比較した論文がありまして、その中でもっとも精子への影響が大きかったのは、ピチピチのパンツを履いていたときです。風通しが悪いパンツを履くと精巣の温度が上がってしまい、そちらのほうがサウナよりよほど精子に対するダメージが大きいという結果でした。男性はサウナによる悪影響が現れにくいので、自分で調整しないと体に悪いということに気づきにくくなります。そのため、より深刻というか、注意しないといけない」(加藤先生)

──そもそもサウナを控えたほうがいい人はいますか?

「まず、基礎疾患がある人でしょうか。病気のコントロールが良好で、かつ主治医の許可を得られるという人であれば入ってもいいかなと思いますが、まずはかかりつけ医に相談してからですね。入る場合も、最初はぬるい温度から短時間。水風呂もいきなり入るのではなくて、最初はシャワーで体を慣らすというのが大事かなと思います」(加藤先生)

──子どもは何歳から入ってよいのでしょうか。

「子どもに関しては、論文的には10歳からですね。ただ日本のデータではないので、あまり参考にはならないかもしれません。というのも、日本のサウナは少し特殊で、フィンランドとはサウナ室の構造が違うんですね。フィンランドはサウナ室の扉の下が空いていてスースーしているので、下の段はすごくぬるくて、上の段はすごく暑い。大人は上の段、子どもは下の段という感じで入るようにできているのですが、日本は消防法の関係上、サウナ室の扉の下が開けられないんです。そのためサウナ室全体が比較的高温になります。そういうわけで完全に日本で当てはまるかは分からないですが、論文的には一応10歳からとなっています」(加藤先生)

サウナ施設でのマナーについて

──サウナ室を利用するときのマナーやエチケットを教えてください。

「まず、施設のルールをまずは確認してそのルールを守ること。特に、サウナ室内での会話はまず気をつけなければいけないポイントです。これはもう本当に。そして、体をよく洗ってから入るということ。あとは、サウナから水風呂に入るとき、きちんと汗を流して入ることです。それから、セルフロウリュをするときは、必ずまわりに『水をかけてもいいですか』と聞いてからかけること。ロウリュはサウナ室内がすごく暑くなるので、嫌だなと思う人もいます。そのため、必ず聞いてからかけてください。暑くならないからといってひたすらかけまくる人もいるのですが、機械が壊れてしまうので、高頻度で大量にかけないということも注意したい点です」(加藤先生)

──おしゃべりを嫌う声はよく聞きます。そういう場合は、サウナ室を出るしかないのでしょうか。

「店員さんに注意してもらうというのがひとつの手かもしれないですね。直接言うとケンカになったりするので」(加藤先生)

──ほかにも気をつけたいポイントはありますか?

「イチサウナファンとしてですが、もういっぱいありますね。サウナ室の中でタオルを絞らないとか。汗ロウリュ(※編集部注:汗がしみ込んだタオルを絞り、サウナストーンにかける行為)もすごく嫌われます。あとは汗をビチャビチャ跳ねさせない。汗を払う人がいますが、それもマナー違反ですね。場所取りも禁止です。一部で『ヌシ』と呼ばれる人たちがいて、特定の時間に特定の場所を占拠する常連客を指しますが、場所取りはマナー違反です」(加藤先生)

──なるほど、細かなことでも結構ですのでほかにはございますか。

「休憩で椅子を使い終わったら、お湯などで流してから出るということです。水風呂に入るときもゆっくりと静かに入る。ドボンと入らない」

──ありがとうございます。汗ロウリュに驚愕です。そんなテク(?)を使う人がいるとは……。公共の場所であることを理解して、皆が気持ちよく入れるように配慮することが大事ですね。

関連記事:サウナの「ととのう」ってどういう状態?ととのうためのポイントとは。日本サウナ学会の医学博士に聞いてみた(後編)

<Text:編集部>

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