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はちみつの栄養と効果的な食べ方を山田養蜂場の人に聞いてみた (2/2)

第2章 はちみつを知って活用する

はちみつの歴史と日本での広まり方

──はちみつが日本で広まったのは、いつの頃からでしょうか。

「イギリスには、“The history of honey is the history of mankind. (はちみつの歴史は人類の歴史) ”という古いことわざがあります。このことわざ通り、人間は長い間、はちみつを暮らしに取り入れてきました。そして、その歴史は養蜂の歴史でもありました。紀元前6000年頃には、スペイン東部のラ・アラーニャ洞窟の壁にはちみつを採る人々の姿が描かれてい ます。紀元前5000年頃には初めて養蜂家が登場。ギリシャ神話にも養蜂神が登場しています。一方、日本では、『日本書紀』に、大化の改新直前の643年頃の話として、養蜂の記事が見えます。そして、時代を下って明治時代、養蜂に適した西洋ミツバチが輸入されたことで、はちみつは庶民の間にも普及していきました」(松﨑さん)

はちみつは何の蜜?

──はちみつは『蜂の蜜』と書きますが、本当は何の蜜なのでしょうか。

「ミツバチの集めてくるはちみつは、大きく2つの源に由来します。ひとつは『花蜜(ネクター)』といって、その名の通り、樹木や草の花からとれる蜜からハチミツを作ります。もうひとつは『甘露蜂蜜(かんろはちみつ)』。ヨーロッパでは“森の蜜”とも言われ、さまざまな木の樹液や植物に寄生するほかの昆虫が出す分泌物をミツバチが集めたものです」(松﨑さん)

アカシアの花とアカシアはちみつ

「はちみつを採取する土地の気候や蜜源植物の種類により、多種多様な味と色をもつはちみつが生まれます。代表的なものですと、れんげ、アカシア、ボダイジュ、クローバー、とち、そばなどがあります。ミツバチはその行動範囲(巣箱を中心に約2km)の中にある蜜源植物から蜜を集めます。そのため、その土地にある蜜源植物によって採取できるはちみつが限られますが、地域、季節、そして気候によってさまざまな種類のハチミツができると言えます。ちなみに、一種類の蜜源植物だけのハチミツを採取することは、自然の中ではとても困難です。ミツバチはおよそ決まった花のところへ行きますが、一群の中には他の種類の花のところに行くミツバチもいて、同時に異なる花蜜を持ち帰ります。当社のはちみつも厳密に調べると他の花のハチミツも少し混ざっています。豊かな自然はそのままはちみつの種類の多さに反映します。その香りと味を言葉で説明することはできません」(松﨑さん)

──同じように楽しまれるシロップにはメープルシロップもあるかと思いますが、はちみつとの違いを教えてください。

「メープルシロップは人がカエデの樹液を採取し、煮詰めて作られたもの。はちみつはミツ バチが花の蜜などを集め、ミツバチが持つ酵素などとともに、巣の中で水分を蒸発させ、濃縮したもの。作られていく工程から明確な違いがあります」(松﨑さん)

──では、最近は知名度も高まってきたマヌカハニーとの違いは。

「マヌカ蜂蜜は、ニュージーランド原生のマヌカの花から採取できるはちみつのことです。通常のはちみつと比べて特長的なのは、抗菌成分であるメチルグリオキサールを多く含むという点です。製品などに記されているMGは、マヌカハニーの抗菌性の指標です。MG値が高いほど、抗菌活性成分である『メチルグリオキサール』の含有量が高くなります」(松﨑さん)

市販のはちみつの選び方

──スーパーや専門店では多くのはちみつ商品が並んでいます。購入時に見るとよいポイ ントなどはありますか?

「品質管理の徹底などは、ラベルで表示されないため、店頭ではちみつの見極めるのは、難しいことだと思います。まれに、加糖されたはちみつがありますので、念のため成分表を確認することは良いと思います。当社では、お客様が安心してはちみつをお選びいただけるよう、品質管理を徹底しており、グリホサート(除草剤成分)を含む328項目の農薬・抗生物質を厳しくチェックしております。そのすべての検査項目を、公式オンラインショップなどでご確認いただけるようにしております」(松﨑さん)

──自宅での保存方法と、はちみつが固まったときの対処法はありますでしょうか。

「直射日光や高温多湿を避け、涼しいところで保存されることをおすすめしております。また、固まってしまった場合は、そのままお召し上がりいただくこともできますし、湯せんをしていただくと溶かすことができます。はちみつが固まることを、結晶化といいますが、実はよいはちみつを選ぶひとつのポイントとなります。採れたままのはちみつには各栄養素を豊富に含む花粉が含まれています。はちみつの結晶は、この花 粉が核となり、はちみつの中のブドウ糖が集まり白く固まったものです。つまり、結晶化するはちみつは、花粉を含む本物のはちみつである証といえます。市販のはちみつの中には、花粉などの栄養成分を取り除く加工を施した、結晶化しないはちみつもあります」(松﨑さん)

ワンポイントアドバイス「湯せんの方法」
容器の蓋を必ず開け、40~50度(少し熱めのお風呂加減)くらいのお湯で湯せんにかけてください。時折かき混ぜると、きれいに溶かすことができます。また、小さな容器に食べる分だけ取り分けて湯せんすると、すばやく簡単に溶かすことができます。あまり熱すぎると大切な栄養成分がこわれてしまうので注意が必要です。

──ちなみに、食べる以外に活用術はあるのでしょうか。

「古代より、傷の治りを早めるために傷口に蜂蜜を塗る治療が民間伝承的に行われてきました。はちみつには保湿作用など塗布による美肌の効果があり、現在でもはちみつを含有する化粧品は当社を含めて数多く存在します」(松﨑さん)

記事協力
山田養蜂場 https://www.3838.com/

<Edit:編集部/Photo:山田養蜂場>

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