免疫力アップに欠かせない「6つの食事ルール」とは。免疫力を高める食べ物&レシピも!
花粉症や風邪予防、新型コロナウイルス対策などで注目されている「免疫力」。免疫力を高めることは、自分の体を守るために非常に大切です。とはいえ、なんとなくしか理解できていない、特定の食品を食べればよいなど、ふわっとした知識しか持っていない人も少なくないのでは。
今回は、免疫力とはなにか、免疫力を高めるための考え方や、とり入れるとよい食材などをお伝えしていきます。
[講師プロフィール]
細田明美(ほそだ・あけみ)
東京医療保健大学 医療保健学部 医療栄養学科所属。
学位:博士(学術)/管理栄養士/健康運動指導士/健康咀嚼指導士
研究テーマ:口腔機能と食習慣に関する研究、子どもの入院に付き添う親への食事支援について、マクロファージからの炎症性メディエーター産生に対する機能性食品の影響など
免疫力とは
「免疫」とは、体内に侵入してくる細菌、ウイルス、アレルギー物質の異物などを体外へ排除してくれる防御システムのこと。
感染症やがんなど病気になるモト(異物)を見つけて殺傷し、排除するのが免疫細胞です。免疫細胞は、病原菌などから体を守るだけでなく、傷ついた細胞の修復や、新陳代謝を活発にすることにより体の機能低下や細胞の老化防止も行ってくれます。
免疫細胞が元気に働き、免疫システムが適切に作動していれば、病気やアレルギーなどから体を守ってくれるほか、ストレスにも強くなります。
免疫力が低下する原因とは
免疫機能は、私たちの日常生活と密接に関係しています。免疫機能が低下する要因としては、以下のものが挙げられます。
- 加齢
- 極度のストレス
- 睡眠不足
- 運動不足
- 飲酒・喫煙など不適切な生活習慣
- 食生活の乱れ
とくに重要なのは、栄養と食事です。近年の研究から、免疫システムには多くの種類の食品成分や栄養素が関わっていることが分かってきました。
「免疫力を高める食べ物」はあるの?
免疫力に関係している栄養は、エネルギー、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、乳酸菌などがあります。
しかし、よく聞く「〇〇を食べて免疫力アップ!」などのように、ある特定の食品や栄養素だけを摂取しても免疫力アップにはつながりません。
さまざまな食品を摂取し、栄養バランスのよい食事をすることで、栄養素に含まれる成分が総合的に作用し、健康を維持することができるのです(※)。
栄養バランスの整った食事を意識することで、免疫機能に関係する栄養素の摂取に繋がると考えましょう。
(※)国連食糧農業機構「COVID 19 パンデミック期に健康的な食生活を維持する方法: Maintaining a healthy dietduring the COVID 19 pandemic」
免疫力を高めたい人が意識したい食事のポイント
栄養バランスの整った食事をすることを前提に、とくに意識するとよいポイントをお伝えします。
1.たんぱく質をとる
たんぱく質は、筋肉や臓器などを構成するだけでなく、免疫細胞の主要な成分です。不足すると免疫細胞が減少し、抵抗力の低下につながります。1回の食事で“手のひらの大きさ”ぶんのたんぱく質を摂るとよいでしょう。
食材例:魚、肉、卵、大豆・大豆製品など
2.ミネラルやビタミンをとる
ミネラルやビタミンは、疲労回復や体調を整える働きがあります。
亜鉛やセレンなどのミネラル、ビタミン A・ビタミン E・ビタミン C などは、細胞を傷つける活性酸素の働きを抑え、免疫細胞を守る働きがあります。また、ビタミンAは、鼻や喉の粘膜を強くする働きがあります。
ビタミン、ミネラルは野菜や果物に含まれています。野菜は1回の食事につき“両手に山盛り1 杯”ほど、果物は1日で“人差し指と親指の輪の中に入る大きさ”を目安に摂取しましょう。
食材例:葉物野菜(レタス、ほうれん草など)、根菜類(にんじん、だいこんなど)、緑黄色野菜(ブロッコリー、トマト、かぼちゃなど)、その他の野菜(キャベツ、たまねぎ、もやしなど)、果物類
3.食物繊維をとる
食物繊維は、腸の動きを活発にし、便通をよくする働きがあります。また、腸内の善玉菌を優位にし、腸内環境を整えます。腸内環境を整えることで、免疫細胞も活性化され、免疫力を高めてくれます。
食材例:豆類やきのこ類、海藻類、野菜や果物など
4.発酵食品をとる
腸は、全身の免疫システムの重要拠点です。発酵食品は腸内の善玉菌を効率的に増やし、腸内環境を良好に保ち、免疫力の低下を防ぎます。
食材例:納豆、ヨーグルト、キムチ、味噌など
5.体を温めるものをとる
体を温め、血流をよくすると免疫細胞が全身に行き渡り、活発に活動してくれます。体温が1℃下がると、免疫力が 30 %下がると言われているため、体温を上げてくれる成分が含まれている食べ物を食べるのも効果的です。
なお、暑い季節でも、極端に冷たすぎる飲み物・食べ物のとりすぎには注意が必要です。
食材例:生姜、にんにく、ねぎ、とうがらしなど
6.定期的に水分をとる
常に外気と触れ合っている鼻と喉は、細菌やウイルスが侵入してこないように粘膜で覆われています。しかし、体内の水分量が減ると粘膜が乾燥し、細菌やウイルスが侵入しやすくなります。
また、水分量が不足すると血流も悪くなり、免疫システムも低下します。こまめに水分を摂ることが大切です。
水分摂取の目安としては、1日にコップ 6~8杯です。
免疫力アップ食材を使った簡単レシピ
紹介した食材例を活用したレシピを紹介します。今回は、トレーニーが愛するブロッコリー、鶏むね肉を使ったものをピックアップ!
ブロッコリーのヨーグルト味噌和え
材料(2~3人分)
ブロッコリー1/2房
★ヨーグルト大さじ2
★味噌大さじ1/2
★砂糖小さじ1/2
いりごま(白)大さじ1
作り方
- ブロッコリーは小房に分け、色よく茹でる
- ボールに★の調味料を入れ混ぜ合わせる
- 水気をふき取った1とごまを2に入れ和える
免疫力向上のポイント
- ブロッコリー・・・β -カロテン、ビタミン C が豊富。ブロッコリーは、緑黄色野菜の代表格で、免役力を高めるはたらきが期待できます。さらにブロッコリーに含まれる辛味成分のスルフォラファンという成分は、高い抗酸化作用があります。
- ヨーグルト・・・乳酸菌が多く含まれています。乳酸菌は、腸内の悪玉菌の増殖を抑え、腸内環境を整えてくれます。
- 味噌・・・味噌などの発酵食品は腸内環境を整え、免疫細胞を活性化し、免疫力を高めます。
- ごま・・・ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富。ごまは、抗酸化のあるビタミンE が多く含まれています。セサミンやゴマリグナンというごま特有の成分は、抗酸力が非常に高く、免疫力を高めてくれます。また、ごまに含まれる不飽和脂肪酸も免疫力を高めてくれます。
すりごまにして料理に用いるとさらに栄養吸収がよくなります。
鶏むね肉の南蛮漬け
材料(2~3人分)
鶏むね肉(皮なし1枚)
酒 小さじ2
片 栗粉大さじ2
油 大さじ1
玉ねぎ1/2個
にんじん1/3個
ピーマン1個
★酢100g
★しょうゆ大さじ2
★砂糖大さじ2
作り方
- 玉ねぎは薄切り、にんじんとピーマンは千切りにする。
- 鶏むね肉は2cm大のそぎ切りにし、酒を振り約5分おく。
- 耐熱ボールに★の調味料を入れ、よく混ぜる。1の野菜を入れ、電子レンジ (600W×1分で加熱し、バット(あるいは保存容器)に移し冷ます。
- 鶏むね肉の水分をふき取り、片栗粉をまんべんなくつける。
- フライパンを熱し、油を入れ、鶏むね肉を広げて並べ、蓋をして弱めの中火で約2分焼く。裏返し、再び蓋をして約2分焼く。蓋をとり、強めの中火にし、両面に焼き色がつき肉に火が通るまで焼く。
- 3に鶏むね肉を入れ調味液に漬ける。冷蔵庫に約 15 分置き、味をなじませる。
<Edit:編集部>