トマトジュース、毎日飲むデメリットとは?糖尿病になるという噂の真相[管理栄養士監修] (2/2)
トマトジュースは毎日飲んでも大丈夫?
適量であれば、トマトジュースを毎日飲んでも大丈夫です。
トマトは、低カロリーながら以下などの栄養素が豊富に含まれています。
- βカロテン
- リコピン
- ビタミンC
- ビタミンE
- カリウム
野菜不足の人は、補助的に毎日トマトジュースを飲むと良いでしょう。
トマトジュースを毎日飲む時の「量」はどれくらい?
トマトジュースは、1日200mlを1〜2杯程度までにしましょう。このくらいの量であれば、過剰摂取のリスクは低く、野菜不足の人はある程度の栄養素を補えるでしょう。
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「野菜ジュースは体に悪い」は本当?毎日飲むとどうなるのか
トマトジュースの飲み過ぎで糖尿病になるという噂も……
トマトジュースを飲み過ぎても、糖尿病につながる可能性は低いです。
むしろ、「無塩のトマトジュースを継続的に飲むことで、血糖値が下がる」という研究結果*1が出ています。そのため、糖尿病の方こそトマトジュースを活用すると良いでしょう。(疾病を持っている場合は、必ず主治医に確認してください。)
「トマトジュースが糖尿病に良くない」と言われているのは、他の野菜に比べ甘いイメージと、糖質が多いという誤った認識によって噂されたのかもしれません。
*1:2型糖尿病患者の健康管理 -血糖値の改善効果に果たすリコピンの役割-名古屋文理大学紀要 第7号(2007)
トマトジュースは体に悪い? 管理栄養士の意見は
トマトジュースが体に悪いという情報は、正しくありません。むしろトマトジュースは、トマトの栄養素を摂れるため、健康をサポートしてくれる飲み物と言えるでしょう。
「濃縮還元は体に悪い」は本当?
「濃縮完全のトマトジュースは体に悪い」という情報は間違いだと言えるでしょう。
濃縮還元トマトジュースは、香料・保存料などの添加物が加えられています。そのため、体に悪いという噂が流れたのでしょう。添加物は、厚生労働省が認可し、安全性を認めたもの・量しか使われていません。しかし、人によっては、過剰摂取によりアレルギーの原因となる・不調があらわれることが考えられます。
また、濃縮還元のトマトジュースは、トマトを煮詰めるなどして水分を飛ばしてその後に水分を加えて作られています。そのため、ストレートタイプのものより、栄養素や香りなどが劣っているものもあります。
「無塩なら飲み過ぎても大丈夫」は本当?
無塩タイプのトマトジュースであれば飲み過ぎても大丈夫ということはないです。どんな飲食物も過剰摂取には注意が必要です。
無塩タイプであれば、塩分の摂り過ぎの心配は無くなります。しかし、カリウムの摂りすぎになり、高カリウム血症につながる恐れがあります。
とはいえ、健康体の方であれば、継続して飲み過ぎていなければ大きな問題はありません。注意が必要なのは、腎臓機能低下など持病がある方です。
トマトジュースの嬉しい効果
トマトジュースには、健康や美容面などで嬉しい効果があります。
効果1 肝臓ガンの予防に有効
「トマトを摂取する人たちは、摂取の少ない人たちに比べ、肝臓ガンの発症リスクが抑えられる」という研究結果が国立がんセンターをはじめ、様々な大学や研究機関から発表*2されています。
ここで注目されたのは「NASH」という脂肪肝が原因で起こる肝炎です。NASHは肝硬変になり、最終的に肝臓ガンしわに移行するリスクがある肝炎です。
トマトに含まれるリコピンなどの作用で、NASHの発症自体が抑えられ、肝臓ガンのリスクが低下したのではないかと考えられています。リコピンは肝臓ガンだけでなく、前立腺ガンや肺ガン予防などガン細胞の増殖を抑えるなど多くの働きがあると分かっています。
*2:Association between Dietary Tomato Intake and the Risk of Hepatocellular Carcinoma: The Singapore Chinese Health Study-Cancer Epidemiol Biomarkers Prev
トマトから脂肪肝、血中中性脂肪改善に有効な健康成分を発見-京都大学
トマトおよびブロッコリースプラウトの肝機能改善作用に関する研究-九州大学学術情報リポジトリ
効果2 コレステロール値を下げる
トマトに含まれるリコピンは、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)値を下げる効果があると言われています。その結果、動脈硬化を抑え、心筋梗塞や脳梗塞予防につながります。
そもそも、LDLコレステロールとは、人の体内にある脂質の1つです。肝臓で作られたコレステロールを、全身に運ぶ役割があります。しかし、大量に増えてしまうと、血管壁にコレステロールが沈着してしまい、動脈硬化の原因となってしまいます。
効果3 アンチエイジング効果
トマトジュースは、リコピン・ビタミンC・ビタミンEなど、抗酸化作用を持っている栄養素が多く含まれています。
そのため、細胞のダメージを防ぐ働きが期待でき、以下のアンチエイジングに効果があると考えられます。
- 血管の老化(動脈硬化)予防
- 肌のたるみの予防
効果4 シミや日焼けの予防
リコピンは、紫外線を浴びることで発生する「メラニン」という日焼けの元となる物質の発生を阻害します。そのため、シミや日焼け予防に効果的です。
事前に摂取することで効果が期待できるので、紫外線対策をしたい人は、毎日トマトジュースを飲む習慣をつけると良いでしょう。
効果5 ダイエット効果
トマトジュースには、脂肪燃焼の働きがある不飽和脂肪酸が含まれています。
血中や肝臓で中性脂肪の上昇を抑え、血糖値改善にも効果が期待できます。
トマトジュースを飲んだらトマトを食べたことになる?
トマトを食べたのと近い働きは期待できますが、トマトを食べたことにはならないでしょう。
トマトに含まれている不溶性食物繊維や水溶性ビタミンは、加工の過程で減少します。そのため、生のトマトとは多少異なると言えるでしょう。また、「噛んで摂る」のと「飲んで摂る」のでは、噛んで食べる方が満腹感を感じやすいなどの違いもあります。
ちなみに、トマトジュース200mlで、トマト約4個分に近い栄養素が摂取できる計算となります。手軽に栄養補給したい人におすすめです。
トマトジュースを毎日飲むと肌は変わる?
トマトジュースを毎日飲むことで、肌が若返り、綺麗になると考えられます。
トマトジュースは、βカロテンが豊富です。βカロテンは、体に入ると必要量だけビタミンAになり、肌の生まれ変わりを促進する・乾燥を防ぐといった作用があるため、きめの細かいハリのある素肌になれます。
さらに、先述した通り、リコピンやビタミンC・Eによって、シワ・たるみ・シミ予防にも役立ちます。トマトジュースは、肌のアンチエイジングに欠かせない栄養素がたっぷり含まれています。
トマトジュースを毎日飲む時の「注意点」
過剰摂取になりすぎないよう、トマトジュースの飲み過ぎには注意しましょう。
トマトジュースに含まれるリコピンは、油分と一緒に摂ると吸収が高まります。リコピンの効果を最大限得たい場合は、トマトジュースにエゴマオイルやアマニオイルを垂らして飲むと良いでしょう。
また、食べる時間は朝がおすすめです。朝食べるとよりリコピンがより吸収されやすいと分かっています。
▼参考
LDLコレステロール - e-ヘルスネット - 厚生労働省
食品添加物 - 厚生労働省
2型糖尿病患者の健康管理 -血糖値の改善効果に果たすリコピンの役割-名古屋文理大学紀要 第7号(2007)
Association between Dietary Tomato Intake and the Risk of Hepatocellular Carcinoma: The Singapore Chinese Health Study-Cancer Epidemiol Biomarkers Prev
トマトから脂肪肝、血中中性脂肪改善に有効な健康成分を発見-京都大学
トマトおよびブロッコリースプラウトの肝機能改善作用に関する研究-九州大学学術情報リポジトリ
監修者プロフィール
健康検定協会理事長
望月 理恵子
株式会社Luce代表取締役、管理栄養士、山野美容芸術短期大学講師、服部栄養専門学校特別講師、小田原銀座クリニック栄養顧問、日本臨床栄養協会評議員。サプリメント・ビタミンアドバイザーなど、栄養・美容学の分野で活躍。多くの方が健康情報を学ぶための健康検定協会を主宰するとともに、テレビ・雑誌などで根拠ある栄養学を提供・監修をしている。「栄養学の◯と×」、「やせる時間に食べてみた!」など著書も多数。
<Text:編集部>